ヒューイ&デューイの日記(私見運用版) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-09-12

[]ファインモールド「1/35 陸上自衛隊 61式戦車」

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戦後初の国産戦車61式戦車、ファインモールドの新作キットを発売前にメーカー頒布されたサンプルでレビューして見ます。今回の記事に使用したテストショットには正規販売版とは異なる可能性があることをご注意ください。

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車体上下はAランナー。長らくこの戦車のキットはタミヤの1/35が主流でありましたから、先の静岡ホビーショーでの発表にはいろいろと驚かされました。


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Bランナーはリアパネルなどです。タミヤのMM61式はもともとモーターライズ製品として1970年に発売されたベテラン選手でありましたから、1/35スケールの61式戦車としては44年ぶりの新規開発キットと言うことになるのかな?ツッコミ入れられる前に言うときますがコイツは除外の方向で。


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Cランナーは車体側面など。ファインモールドの陸自アイテムもいろいろ揃ってきましたから、60式装甲車をお供に据えるなどいろんな用途も考えられます。


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Dランナーは主に足回り関係、2枚封入されています。


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砲塔を構成するEランナー。この砲塔部分の形状修正が入って本キットは発売が遅れたのですが、砲塔部分の修正といえばやはりファインモールドの一式中戦車を思い出します。チヘの時は金型を起こしてトライ1射出後に形状不備が明らかとなったと記憶していますが今回の61式は3Dプリンターによる形状試作で問題点を見つける流れで、プラモデル開発技術も進歩したものだな……などと感慨にふける。


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ペリスコープやライトレンズはFランナーでクリアーパーツ化されています。今回は一升瓶とかついてないのね(笑)まー仮にそういう「遊び」のパーツがあったとして、実際の自衛隊もそうなのかと誤解する人が出ないとも限りませんからねえ。


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砲塔下面は独立したGランナーでひと枠起こされています。


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誘導輪や砲塔部手すりなどを含んだHランナー。


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デカールエッチング、ワイヤーロープ用のナイロン糸が付属。エッチングはマフラーカバーとフェンダーステイのみがキット付属品で、それ以上のオプションは別売りの「1/35 61式戦車用エッチングパーツ」が用意されています。

デカールは第3戦車大隊第4中隊ほか5種類。「工具箱」や「付属品収納箱」の力強い筆致がステキ(笑)


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エンジングリルなど綺麗に抜けて良いディティールが入ってます。


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キャタピラは部分連結式で各部フック類も別パーツ。このあたりタミヤのキットとは隔世の感がありますねって世が隔たっているのだからそりゃそうだろ!でも実際良いキットです。61式戦車ってこういうカタチをしていたんだなーと、生まれて初めてメガネをかけた時のような感動である。視力の良い人には共感され難いかも知れないけれどね……


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アンテナは70年代ぐらい?までの自衛隊戦車によく見られる、二本のロッドを連結したもの。とてもよく再現されていてそしてとても繊細なパーツですから、扱いには注意しましょう。実は開封したら一本折れていたのは箱詰めされていないサンプル故のアクシデントで、製品状態でのパッケージングならば問題は無いでしょう。だからおれはわるくないぞ!!


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砲塔部分には鋳造表現のテクスチャーが美しく施されています。自衛隊の戦車は世界にも類を見ないほど美しく仕上げられた鋳造砲塔を装備しておりまして、手作業で仕上げられたそれを「実戦には向かない」などと揶揄する向きもありましょうが、雑な仕上げより丁寧な作業のほうが何かとよいものですよ?萌え方向で擬人化するときとか。


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では早速取説に従って組み立てていきます。車体は箱組み、リアパネルには隠し穴の開口指示がありますのでお忘れなく(ドリル口径1.6mmが指定)。隠し穴だけモールドされて開口しない箇所もあるのは、やっぱりバリエーション展開を考慮しているのでしょうねえ。


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下部転輪は2枚合わせに加えてリップ部分が別パーツになっています。この部分文字で説明するより絵で示したほうがわかりやすいんでモリナガ・ヨウ先生のイラストを参照。


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学研「イラストとDVDで見る陸自マシーン大図解!」より

「プラモ」というのは古いタミヤのキットのことで、実物はこんな断面形状なのですな。実にイイ感じであります。


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誘導輪も4パーツからなる構成です。ファインモールドの一連の旧日本軍戦車キットを組んでこられた方ならお判りでしょうが、パーツNo.でいうとH5とH6に開いている軽め穴は2枚のパーツをあわせたときにズレた位置に来るのが正しくて、H4パーツを使って再現するリム部の軽め穴は左右で揃っているのが正しい。日本伝統な九七式中戦車の誘導輪と供与戦車として配備されていたM24軽戦車のそれとを合わせたような形状で実に面白い形をしています。これまで61式の写真はなんども見てきたけれど、ここに注目したことは無かったなあ。


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上部転輪は完成後見えなくなる裏側もディティール完備。起動輪は2パーツ構成ですがM4シャーマンのように本体とスプロケット部分が別体構造になっているのが見て取れる、61式戦車の特徴を余すところなく捉えていてとにかく足回りは力が入ってんですよこれ!ガッツ!!


「それ全部60式装甲車のキットで実装済みのディティールだから」


( ゚д゚)えっ


(つд⊂)ゴシゴシ


(; Д ) ホントダ!!


まったくもって無知は罪というやつでありますびしびし。


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サスペンションアームやダンパー類が別パーツなのも、フォーマットとしては60式装甲車のキットと同様です。実車に置いては同時代的な特徴を示すもので、模型的には経験値を重ねるような意味合いもあったのかな?実車的な話を加えると61式戦車に装備されたトーションバーサスペンションの技術は戦時中には遂に導入できず、戦後になって漸く確立できたのでした。国産戦車だけに限ると74式以降の陸自の戦車は油気圧サスペンションが開発されたので、自走砲装甲車をのぞいた戦車だけに限ると全輪トーションバー懸架ってこの61式のみなんだな。世界的にはよくある機構でも日本の戦車開発史のなかでは独特という、ちょっと変わった立ち位置だったりしますね。


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裏面には操縦手用脱出ハッチのモールドも完備されています。ここから脱出するのはスゲェ大変そうです。


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転輪関係はすべて車体に接着する指示ですが、キャタピラ接続を考慮したら起動輪はまだ固定しないほうが良いでしょう。後部にエンジンを置き前方で駆動するスタイルは若干古めかしいものですが(実際、当初の要求性能案では後輪駆動が指示されていたのですが)、「米軍流にエンジンと一体化したパワープラント全体を野外整備でも吊り上げてアッセンブリ交換するような手法は、まだ自衛隊には対応する機材と経験がなかった」とモノの本(カマドの「戦後の日本戦車」ね)にはあります。ただスペックを見るだけでは実態はつかめない、支援車両や様々な周辺インフラを考慮しないと是非は語れないということでしょうね。

…ところでほぼ同時期に陸自に供与されていたM41軽戦車はパワーパック構造だったのですが、そっちの整備はどうしてたんだろう?


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部分連結キャタピラも取説指示通りの順番で組んでいけば確実に決まります。履帯外側、設地面に接合される路面保護用ゴムパッドは付属していませんが、履帯内側には転輪保護用のゴムパッドが存在するので丁寧に塗り分けるか、あるいは泥汚れで誤魔化しまショー。


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エッチングフェンダー支持架は差込んで折り曲げるだけでばっちり位置決め出来るのは最早ファインモールドキットの伝統。


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車体上部を乗せてみると砲塔リング径がぎりぎりの限界までとられているのがよくわかるかと。光人社刊行月刊丸別冊「陸上自衛隊の戦車」には「車体幅は狭くとも戦闘室は米軍戦車と同等の広さとするため車体上部に軸部(履帯上部に車体を張り出すこと)を設け、砲塔の旋回用軸受けの直径は米軍戦車と同一に、極力室内を広くすることに心がけた」との解説がありました。車体幅に制限を受けたのは鉄道輸送を考慮してのことで、戦略輸送としての鉄道重視は当時の道路事情や支援車両を考えれば自然な決定でしょう。61式戦車の時代ってトランスポーターは何を使ってたんだろう?M26ドラゴンワゴンは20両しか供与されてないので、やっぱり自走が主たる移動手段だったのでありましょうか。


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車体左右にはOVMがごっちゃり積まれています。バールのようなものやツルハシの柄など丁寧に塗り分けずに全部車体色で塗ったほうがリアリスティックではあるのだが、戦車模型の「リアル」は実物とイコールを意味するわけでもないのですなこれが。現在ならば出来る限り車体内部に納める排気管が大きく露出しているのは、この時代ならではの特徴かな?

なお部隊マークによってはこれら車外装備工具に至るまで細かく番号が記されている車体もあります。自衛隊の備品管理の厳しさを伝えると共に、当時はまた自衛隊に対する世間の目も厳しかったであろうと推察されます。無くすと大変なのよ。


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大変といえばエンジンデッキにはやたらとフックがついてとにかくタイヘンである。なぜ当時の開発責任者は後世のモデラーの苦労を考えないのか。考えないよな。この手の部品は取り付けてからゲート処理したほうが楽なのですが、なにしろ数が多くて密着するところもあるので、一度にやるより少しずつ順を追って処置するほうがスムーズに進みます。


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マフラーカバーは治具を使って一気呵成に丸める。


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かくて終了した車体後部の工作部分。この位置に主砲トラベリングロックがあるのはM41と同様で、フィッシュテイル型排気管に開口モールドがあるのにも注意だ。コの字型フックは結局18個もありましたか。装着位置を見ればなるほどそれぞれのパネルがどう開くのかなんてのも、見えてきますねえ。そんでやっぱりグリルメッシュは欲しくなりますね……


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車体全部では「世界で最も複雑な形をしている」ライトガードの製作がキモとなります。ひと昔前はインジェクションで再現は不可能ではないかなんて言われたものですけれど、めでたくパーツ化されました。組み立てを急いだので若干雑になってますけど(オイ)、落ち着いて組めばエッチング使わなくても十分な完成度で組みあがるでしょう。「滑り止め」があるのはここがステップに使われていたから?だから実車はこんなに歪んでいたのか……な??展示車両ですけれど


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ワイヤーロープをナイロン糸で巻いて車体は完成。「正面装甲は厚くても点検ハッチのボルトが脆弱」って話も聞きますけれど、配備当時の自衛隊の戦車運用ってどんな想定だったんだろう?スペックの変遷だけではなく戦術やドクトリンの変化を知りたいものですね。


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主砲は日本製鋼製61式90mm戦車砲米軍の砲を元に国産化されたものです。防盾キャンバスカバーはご覧の通りにプラパーツで成型、自然なシワがモールドされています。


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キャンバスですからE4・E5パーツの合わせ目は砲身部分ともども消したほうが良いのですが問題は裏側。ここには一段凸モールド的なディティールが在りますが……


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前述「陸自マシーン大図解!」より

実はデカいジッパーがついているのでここはディティールアップのポイントです!微細なモールドをうがち極小のプルタブを取り付け超絶仕上げで!!


……こんなとこに力入れても誰も見てくれません(´・ω・`) 社会の窓なんてほっとけばエエと思います(・ω・)ノ


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キャンバスカバーがモールドされている関係上主砲は固定となります。これはさすがに致し方有りませんね。


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バスル部分の合わせ目には若干パテを必要としそうです。キットの素性を見せるためにもシンプルなラインで合わせ易かった砲塔左側を基準に組んでみたけれど、処理を考えたら複雑なライン取りの右側で合わせて左側面を修正したほうが作業効率が良いかも知れません。


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車長キューポラのハッチは開閉選択式、内部には1m速遠機の接眼部分も再現されています。砲塔上の50口径機銃はいささかシンプルなつくりですけれど、アフターパーツ溢れる昨今の事情では、この部分が省略されがちになるのは自然かも知れないなあと思うわけだ。

陸上自衛隊M2重機関銃もいろいろ細かな違いはあるので、どこぞのメーカーで「自衛隊M2重機関銃セット」でも出してくれれば有り難いなあと思うだけなら度し難くもまた可也、でしょうか?


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思いのほか大きな車長キューポラ。試作車両ではこの部分にも様々な試行錯誤がなされてこの形に落ち着きました。コマンダーキューポラを銃塔式にするのは同時期の米軍戦車に見られる構造ですが、機銃を外装式にして測遠機を収めたのが61式独特の工夫。主砲発射時の衝撃から機器の安全を保ちつつ、車長に独立した索敵と砲撃管制能力を持たせるための処置です。その後ベトナム中東での戦訓を受けて大型銃塔は廃れていきましたが、現代では高精度のカメラやセンサーを備えたRWS(リモートウェポンステーション)として再評価されつつあります。車長用RWSはロシアのT-90MSが装備して話題となりました。とはいえ喧伝されるほどには使われていない装備でもありますし、RWS自体がどこまで有効であるかは、これまた戦訓次第と言うことになりましょうが。


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キューポラは旋回するものですから接着せずにただ乗せるだけでも宜しいでしょう。装填手ハッチもこれまた開閉選択式で可動化の改造よりは剥がせるノリのピットマルチを使った仮止め式のほうが簡単で、楽しくフィギュアを乗せたり降ろしたりで遊べそうです。フィギュア無いんですけどねー1/35スケールの自衛隊員じゃなくて「じょしらく」のみなさんがねー。


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アンテナは取説ですと直立させておりますが、当時の演習風景では斜め後ろに傾けているのを良く見ます。通信感度になにか違いはあるのだろうか。なお61式戦車の砲塔バスルは製造番号400番までとそれ以降では若干形状がちがってるんだそうでこのキットはどっちを立体化してるんでせうか。ちなみに形状が変わったのは車載銃のラックをM1ガーランドから64式小銃用に変更したためで、考えてみたら普通科の基幹武装よりも戦車の方が先に国産化されたのだなあ。


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砲塔を車体に乗せれば完成です。61式戦車はその名の通り1961(昭和36)年に正式採用された陸上自衛隊初の国産戦車です。その後40年近く配備され日本の防衛の一翼を担い、2001年までに全車が退役しました。「戦争せずに済みました!」とは当時AM誌に掲載されていた投稿イラストに書かれていた言葉で、なるほどそういう評価の仕方もあるなあと唸らされたものです。戦争せずに済むのがいちばんですからね。災害救急車両などにも言えることなのです。


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往年の怪獣映画では典型的なやられ役として踏まれたり溶かされたりぶっ飛ばされたりと散々な目に遭わされていましたが、幸いにして現在では後進にその道を譲り(笑)日本各地の自衛隊駐屯地で展示車両として余生を過ごしています。関東近辺では駒門や土浦、あと横須賀防衛大学構内にも展示があったかと。それらの場所ではいささか古めかしくもユーモラスささえ感じられる61式戦車の姿を存分に味わえることでしょう。


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個人的にはかろうじて一度だけ、生きている姿の61式戦車を見たことがあります。20世紀最後の年となる2000年、平成12年度の総合火力演習に参加したのを見ておけたのは貴重な経験となりました。90式や74式と並んで加速力の違いを比べるという体の良い引き立て役ではありましたが、ブルドーザーのような挙動に親しみを感じたものです。あの年の総火演は植生擬装を施したままの訓練展示とか64式MATの射撃とか、いまではやらないことを色々見られて楽しかったなあ(遠い目)


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砲塔を中心にタミヤウェザリングマスターをぺけぺけっと乗せてみましたら鋳造テクスチャが浮きだってよく観察できます。この鋳造砲塔というのも戦時中に四式中戦車で導入を図ったものの達成されず、戦後漸く実現したものですね。61式戦車の開発史をひもとくといくつかの箇所で「チト式」の技術や装備が検討されていて、五式中戦車チリの名前が挙がってこないのは何か理由があることなんだろうか。技術的あるいは人員的なわけがどうもありそうで不思議。


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砲塔バスルの上部には演習時に世帯道具を積んでる姿がよく記録されていますから、それを再現するのもよいでしょう。それともいまならWoTで世界中の戦車と実戦繰り広げる光景かな? この長大なバスル内部に主砲弾薬庫を設けるのは西側戦車に一般的ですが、61式のそれはちょっと工夫がされています。一般的には(61式がモデルとしたM36駆逐戦車などでは)バスル弾庫の砲弾は後ろ向きに搭載され、それを引き出した装填手は砲弾かあるいは自身の体を回転させて装填作業を行います。61式の場合は砲弾は前を向いて収納されていて、そのままストレートに砲弾を引き出した装填手は狭い範囲の小さな動きで装填作業を完了します。また弾庫自体もリップ部分にローラーを設けて素早い引き出しが可能となっています。速射連射にこだわるのはただ旧軍以来の伝統というだけではなくて、当時既に威力的な限界の見え始めていた90mm戦車砲を、初弾では撃破できなくとも素早く次弾を命中させ、日本国内の地勢に応じた近接戦闘に備える設計でありました。また61式の試作車両ではロータリー式の自動装填装置もテストされ、その技術は75式自走砲での経験を経てベルトコンベアスタイルの90式戦車用自動装填装置として結実されています。


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同時期に自衛隊に配備されていたM41軽戦車と比べてみると、やっぱりずいぶん違うものですね。似ているのは精々砲塔のアウトラインくらいなもので、車体の面構成やフェンダー形状など、旧軍戦車のDNAを色濃く感じます。しかし細部にはやはり当時のアメリカ戦車の影響も見て取れる、組んでみるとそのことがよく分かって楽しいプラモデルでした。自衛隊発足当初の1950年代から国産化を模索し、技術を着実に積み上げてきたから現在最先端10式戦車が存在するのであって、この61式戦車こそは自衛隊の歴史、戦後日本社会の歴史に於いても貴重なマイルストーンといえるのです。戦マガ別冊の古い陸自写真集見てたらこの61式とM41で混成される戦車部隊が60式装甲車を率いて突進みたいな演習情況が載っててやっぱり戦争しなくてよかったなあと、思わずにはいられない……


それとこの写真でのM41のマーキングについては気にするな。親心のようなものだ。


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新しいキットとはいえ古い人間なので、61式戦車と聞けばいまでも思い出すのはタミヤの古いリモコン版のボックスアートに描かれた、掩蔽壕にダグインした無反動砲搭載ジープの脇で力強く稜線を越えていく姿です。車種こそ違えどファインモールドからは無反動砲搭載の73式小型トラックが出ていますから、あの状況を作ってみるのも悪くない。ちなみにそのボックスアートで鮮烈な印象を残した陸上自衛隊第七師団のマークはアスカモデルに製品があります。お、「残りわずか」ですよ?


今月末発売のモデルアート11月号がこのキットをメインに61式戦車の特集を予定しています。実車解説や製作上の諸注意など、そちらも参考にして下さい。思えば1970年に登場したタミヤの1/35スケール61式戦車は、それまで市場にあった先行他社の製品に代わってスタンダードな地位を得ることが出来ました。実車配備期間よりも長い44年の時を経て、いままた新しいこのファインモールドの製品が、タミヤに代わって新しいスタンダードな「61式戦車プラモデル」となるのでしょう。

バリエーション展開の話はさすがにまだ気が早いと思いますが、展開のアカツキには是非70式戦車回収車を!正式配備車両なのに生産総数5両(試作車1両を含む)とか泣かす!!

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