山田風太郎原作でせがわまさき作画のコミック『バシリスク』は風太郎の作風をよくとらえている。
身体の奇形による変身能力は武器ともなり、まっとうな生き方の障害ともなる。風太郎独自の身体感覚がキャラクターからまざまざと感じられる。ヒットするわけである。
ところで『バシリスク』のタイトルはハーラン・エリスンの名作から本歌取りしている。ベトナム反戦をテーマに軍神マルスから能力を授けられた傷痍軍人が、「愛国者ども」に復讐する話だ。アドレナリンが湧き出る反戦小説とはこのことだ。
禍々しさと末路は日米で好一対となる。
風太郎ワールドにおける忍者コミュニティでは主人公が自虐的に滅びの道を歩むのだが、エリスンの愛国者のコミュニティでは怒りの奔逸のなかに主人公は身を滅ぼす。
深読みすれば日米の戦争後遺症の文化比較ができるかもしれない。
- 作者: せがわまさき,山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/05/02
- メディア: コミック
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ハーラン・エリスンの代表作が網羅されている。
表題作はともかく「少年と犬」は映画の「my life as a dog」と対比されたい。そのつまり、両者が恐るべき対偶となっているという意味で!
世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)
- 作者: ハーラン・エリスン,浅倉久志,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/01/01
- メディア: 文庫
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