紅牙のルビーウルフ

今月の富士見新刊。第17回ファンタジア長編小説大賞・準入選作です。
主人公・ルビーウルフは、赤ん坊の頃に盗賊団へ預けられて育った王女。ある日突然、盗賊団は軍に襲われ壊滅。王族が途絶えて傾き始めた国を建て直すため、ルビーウルフは女王として担ぎ上げられる羽目になったが、仲間を殺されて黙っている訳も無く...。
こんな感じ。新人さんのデビュー作に椎名優がイラストを描くと言う、何とも豪勢な編成に富士見の力の入れ様が伺えます。思惑通り? 椎名優の素晴らしいイラストに目を惹かれつつ読みましたが、文章もしっかりしてるし、キャラも立ってる。面白かったです。
生まれながらの気質と、盗賊団の中で育ったと言う生い立ちの主人公。勝気で芯の強く、それでいて優しい性格がとても魅力的。殺された仲間の仇を討つため、国を支配している宰相一派を打倒して国を盗ると言う展開は、かなり盛り上がって良い感じでした。
ただ、ラストの決着が普通のバトルで終わってしまったのが、少々物足りない。色々と企んでいるような伏線が張ってあったので、読みながら期待していたのですが...もう少しアッと驚くような展開があったら、より面白かったと思います。
まあしかし、デビュー作と言う事で、これはまだ1冊目。今後が楽しみです。この作品はきちっと完結しているので、次は別の作品になるのかなぁ。