銀盤カレイドスコープ vol.7

銀盤カレイドスコープ』新刊。最終巻かと思いきや、バンクーバー五輪への特訓と、タズサがある覚悟を決めるまでのお話でした。
続き物なので、この巻だけでは何とも言えず。どちらかと言えば、もの足りねぇ...と言うのが正直な感想。
前巻が個人的にはすんげー面白かったので、この巻ではそれ以上の努力と情熱、そしてプレッシャーに満ちた内容を期待していたのですが...今回はまだオリンピックの前哨戦。もちろん、新天地に赴いて特訓を重ねるタズサの努力は凄いんですが、盛り上がりのピークがラストにある分、それまでの過程が長かったかなぁと。
と言うか、タズサとリアの話がどうにも。あれはあれで面白かったのは間違いなく確か。これまで殆ど描かれなかったリアの姿が読めたのは良かったし、思わず噴き出してしまうようなシーンもあちこちに。しかし同時に、読んでいて「何じゃこりゃ」と思っていたのもまた事実。ここまでやらんでも...と思わずにはいられませんでした。タズサのリアに対する心境を描いているのは分かるけど...もう少し短ければともかく、やたらと長かったしなー。
しかし、その後の展開は良かったです。特に、最後のタズサの記者会見は素晴らしかった。タズサが何を言い出すのかはすぐ分かるのに...その一言を実際に目にするまでの間、一行読み進める度に自分の心拍数が上がっていくのが感じられたほど。プレッシャーに潰されかかっているガブリーのため、そして何より自分のために、自らを後戻りできない窮地へと追い込むタズサが最高でした。
弱気になった自分を奮い立たせるのに、この方法は諸刃の剣だろうけど...この発言を受けて、次の巻では一層の緊迫感に包まれた熱い話が繰り広げられる事でしょう。最終巻が非常に楽しみです。