ロミオの災難

『哀しみキメラ』の来楽零、新刊。
男2人女3人だけの高校演劇部が舞台。5人でできる『ロミオとジュリエット』の脚本を部室から発見して文化祭でやる事に。しかしその脚本、過去に男1人女4人だった演劇部がやろうとした代物で、しかもその男を巡ったドロドロとした恋愛模様があった挙句に全員が交通事故で死亡...と言う曰く付きのもの。その呪いか、過去のメンバーの思いが圧し掛かってきて...と言うお話。
表紙を1枚めくったところのイラストが結構怖くて、あらすじもあらすじなので「ホラー?」と思いつつ読み進めてたんですが...全然ホラーじゃなかった。むしろコメディじゃね?
死んだ人達の思いが各メンバーに乗り移り、全員が主人公を好きになってしまうという展開。突然のハーレム状態に陥った主人公のキョドりっぷりが面白いです。けどメンバーには主人公以外にも男がいて阿鼻叫喚。しかも、自分の意識がなくなるわけじゃないから、余計タチが悪い。本人の意思とずれて起こる様々なやりとりが、そのギャップと合わさって楽しかったです。
終盤の舞台本番では、メンバー同士が姑息な足の引っ張り合いをする訳ですが、この辺は完全にコメディですね。タバスコって。
しかし、メインヒロインの雛田は可愛いなー。妙に子供っぽいところとか、抱えている悩みが悩みだったりと、なんかアレコレ素晴らしいです。エピローグの後、2人の関係がどうなったのか、非常に気になる。
という訳で、割と満足な1冊でした。次の作品にも期待。