烙印の紋章

杉原智則の新刊。
戦争に巻き込まれて奴隷となり、剣闘士として生きてきた少年が主人公。姿形が似ている事から、政略結婚を控えた一国の皇子の影武者となるお話です。
これは面白い。夢と現実が入れ替わったり世界が入れ替わったり...と、あれこれ入れ替わる話が多い作者ですが、今回は皇子と剣闘士。読みやすい入れ替わりでホッとしたのは内緒です。しかし、ホント面白かった。
復讐のため、影武者としての立場に甘んじつつも己の野望を叶えるべく動く主人公。相手に譲歩する形で受けた政略結婚を逆手に取り、ともあれば夫を篭絡して自国に有利になるよう企む隣国の姫君。どっちの方向に話が転がっていくのか分からない展開で、先が気になって仕方ありませんでした。
手に入れた大きなチャンスを最大限生かすために感情を殺し、目的を果そうとする主人公の決意は素晴らしかったし、ヒロインも良かった。民を思い、どんな場面でも高貴さを失わない姿はとても綺麗。キャラが立ってる話は、それだけで面白いです。
ところで、これシリーズ化するんでしょうか。続きそうな終わり方なので、すげー期待。この主人公とヒロインの行末がどうなるのか、とても楽しみです。