ガジェット 4

世界は神様の見ている夢で、夢に飽きて目を覚ましたら世界が終わる。その世界の終わりを目指す"雑音"と、それを阻止しようと奮闘する主人公達の話の4冊目。前巻で大きな戦いを1つ乗り越えた主人公達ですが、休む間も無く次なる混乱へ。神様を楽しませる「端末」の1人である「人形使い」に招かれて南の島へ向かうものの...と言う感じに始まります。
確かに世界滅亡の危機が目の前に迫っているのですが、それよりも大事なのはヒロイン達の恋心。主人公にベタ惚れな真白、真白のサポートに回るつもりが、いつの間にか自分の気持ちが抑えきれなくなっている黒乃。そして「雑音」の姫であるディンタニアも、主人公の事が気になって仕方無い。
真白は主人公のため、黒乃は真白のため、主人公は自分の親しい人達のため。世界を守る理由に、これ以上強いものがあるのだろうか? と思わせてくれる展開がとても良かったです。世界がどう転がるか分からない瀬戸際の状況でも、第一に考えるのは好きな人の事。良いなぁ。
切ない立ち位置にいるのがディンタニア。敵側の要にいるキャラですが、何でそっちサイドにいるの! と何度も言いたくなってしまう。引くに引けない所まで来ている感じですが...今回、彼女を説得するために主人公の取った行動が素晴らしい。いかにもこの作品らしい瞬間だったと思います。人を動かすのは恋だね!!
そしてもっと切ないのは黒乃。真白をサポートするために生まれた存在なので、これまで自分の気持ちを噛み殺してきたものの...主人公に対する気持ちがどんどん高まっているのが読んでて痛いぐらい分かる。本人は必死に否定しようと、主人公には厳しく当たるけど、それが読んでて辛い。ラストでは遂にとんでもない事になりかかっているし...。
さて、次の巻が最終巻。いよいよ大詰めですね。どんな結末を迎えるのか楽しみです。