ランジーン×コード

第1回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作。
遺言詞と呼ばれる言葉によって脳が変質し、世界の認識が普通の人間とは異なってしまった、「コトモノ」と呼ばれる人達。主人公は他者のコトモノを絵として描くコトモノ・ダリを宿した高校生。他人のコトモノを喰らうコトモノが起こした事件に関わる事になったが、その犯人とおぼしき人物が実は昔なじみで...と言う感じに話が始まります。
主人公は昔なじみ・成美の変わり様に戸惑い、大きな流れに翻弄されるかのように話が進んでいきます。主体的に動いているようで、結局は大人たちの思惑に振り回されている所が何とも辛い。しかも大人たちの目論見は子供たちに優しくなくて、読んでいてたまにイラッと来ました。負けないように張り合おうにも、いくらコトモノを宿しているとは言えまだ高校生の主人公に出来る事は限られている。でも、その限られた中で精一杯の奮闘して、成美と向き合おうとする姿勢は好感が持てました。そしてコトモノと言う存在との距離感が掴めず悩んでいた主人公が、最後には自分なりの結論を出す。ちゃんと成長してますね。
...しかし、イマイチ遺言詞とコトモノの設定が頭にすんなりと入って来ず、読むのが大変でした。ボリュームも400p近くと結構なものだったし。

読み終えて、コトモノとして変質してしまった認識は普通の方法では戻らないけど、変わってしまったからと言って人間は人間。その人の個性の一部として捉えて付き合って行けば良いんじゃないかなぁと思ったり。まぁ社会としてはそんな単純な話では収まらないと思いますが...。