ほうそうぶ^2

『アンシーズ』の作者の新作。タイトルに「2」と入っていますが2巻ではありません。これが1巻。
主人公は名探偵を父親に持つ高校生。引退した父の跡を継ごうと名探偵を目指し、とある依頼を引き受ける。それはある高校に現れる「兎レポーター」と呼ばれる謎の人物の正体を突き止める事。生徒や教師の悪事を暴き、学内の動画投稿サイトで暴露する「兎レポーター」の容疑者として名前の上がったのは4人の女子生徒。主人公はその学校に転校し、放送部に入って調査を始めるが...と言うお話。

凄く面白かったです。終盤の展開が熱い!!
話は、主人公が容疑者として名前の上がったヒロイン1人1人のアリバイを確かめて行く形で進みます。誰が「兎レポーター」なのか? と言う部分は若干謎解き要素もありながら進みますが、決してミステリでは無く。何とも凄い話でした。
まず、名探偵にはイイ女が付き物だ、と好みの女性を見かければ「俺の女にならないか」と真っ直ぐに告白する主人公が凄い。一見ただの変態にしか見えないのですが、本人は至って真面目。「名探偵となるために」と言う目標ありきで、女性に対する下心的なものをあまり感じないのが好印象。さらにこの目標に対する信念はどんな状況でも揺らがず、最後まで貫き通す所も素晴らしかったです。
ヒロインは4人いて、放送部部長代理に生徒会長、天才発明少女、そして前髪で顔が隠れて暗めな少女。4人とも個性がバラバラでそれぞれ魅力的。個人的には生徒会長さんがメッチャ可愛かった。生真面目な性格な反面、男性に免疫が無くて、主人公に言われた告白を真に受けてあたふたする所が素敵でした。

そして。何より凄かったのはラスト。突然起こった超展開には賛否両論ありあそうですが、自分は大好きです。主人公が決死の状態で迫られた1つの選択。選んだ理由と意味。そこに書かれたたった1つの単語。それが目に入った瞬間に感じた興奮は半端無いものがありました。それがどんなに予想の斜め上を行く展開であったとしても、この一瞬に感じた熱さは最高の一言に尽きます。名探偵は探偵とは違うのだよ!

こんな感じで物凄く楽しめた1冊でした。前作も好きだったけど、これも大変面白くて嬉しい限り。続きにも期待です。