ごめんねツーちゃん

第22回ファンタジア大賞・銀賞受賞作。高校2年生の主人公。クラスメイトの少女・ツバサは多重人格者で、主人公はよく表に出てくるイブを名乗る人格と仲良くなっていく、その交流を書いたお話。
謎の話でした。中盤ぐらいまで、ツバサの人格の1つであるイブとの会話を通して、ツバサの特異な性分と、トーコと呼ばれる特別な人格、そしてツバサが多重人格になった理由を追う話なのかと思っていたのですが...終盤で急に違う話になったように思いました。どっちつかずな感じがして、いつの間にか終わっていた印象。
「サンタはオフに何をする?」と言うツバサの疑問や、イブとの会話に漂う謎めいた雰囲気が面白くて最初は楽しく読めていたのですが、後半、話の展開がガラッと変わるのがどうにも。主人公はツバサではなくイブを想うが、トーコが全面に出てきて、失われていくイブとの時間。同じ顔をしていても人格は別人で、トーコを拒絶し続ける主人公の気持ちは良く分かる。この切ない恋愛の話は、それ単体で読めば楽しめたと思うのですが...どうにも前半との繋がりがなさ過ぎて、浮いた印象を受けてしまったのが残念でした。それぞれ別の話として読みたかった...と言うのが正直な所です。
続きが出ても買わないと思うけど、前半後半それぞれを見たら楽しめたので、新作が出たら読んでみよう。