桜色の春をこえて

入学したばかりの女子高生が主人公。家庭の事情で一人暮らしをする事になったが、不動産屋の手違いで、借りた家を出なければならなくなってしまった。その時、隣室に住んでいた少女が、自分の部屋に住めば良いと誘う。その少女は主人公と同じ高校に通っているが、見た目は不良、性格も色々と難ありっぽくて...と言うお話。

とても面白かったです。主人公・杏花と居候先である有住。最初は相性の悪かった2人の少女が、徐々に仲良くなっていく展開が素敵でした。どちらの少女も家庭に問題があり、心に傷を持っている。それを最初は表に出さず、それぞれが様子をうかがいながら仲良くなっていく。学校での評判が悪い有住に、最初はひるんでいた杏花ですが、結構しっかしとした性格で気が付けば打ち解けて。くすぐったくなるような甘さが2人の間から漂ってきました。キーホルダーの下りとか、ホント最高。
しかし、最後までただ甘い訳が無く。それぞれの家庭の事情が表に出てきて、それが理由で喧嘩して。ここで生まれた絶妙な苦さ。これが素晴らしかったです。正面からぶつかり合って、最後には喧嘩する前以上の仲になる。展開としては王道かも知れませんが、その王道が良かったです。何とも言えない清々しい気分になる読後感に大満足な1冊でした。