まあいいか。

2011.06/04 Sat. 珍しく観光した

[] ”葵” ヒカルが地球にいたころ…… 1

野村美月の新作。顔と目つきが怖くて、周りから恐れられているけれど性根は普通に真面目な男子高校生・是光が主人公。ある日、同級生で女たらしで有名な男・ヒカルが突然死んでしまった。その幽霊が何故か是光に憑き、ヒカルの生前の心残りを晴らす事に協力する事になったが...と言うお話。

とても面白かったです。源氏物語をモチーフにした作品で、幽霊・ヒカルは文字通り光源氏。この1巻のヒロインはサブタイトルにある通り、"葵"...葵の上です。婚約者だけど、ヒカルはあまりにも大事で他の女性と同じようには接する事が出来ず、自分の気持ちを伝えられない。葵の誕生日を目前に死んでしまい、彼女に贈るはずだったプレゼントを是光が代わりに贈る、と言う展開でした。

見た目の怖さから不遇な扱いを受けて友達がまるでいない是光。女性受けが良すぎて男性からは疎まれ続けたヒカル。そんな2人が巡り会い、最初はずっと一緒にいなければならない状況を疎ましく思った是光だけど、徐々にお互いの境遇に共感し、親友となっていく展開が最高に熱かったです。いいなぁ、こう言う友情。

葵はヒカルの名前を出すだけで拒絶するぐらいの頑なさで、是光とヒカルを拒絶していきます。途中であまりにヒカルの事を悪く言われて怒る是光とか、でも初めての友人の望みを叶えたいと再び積極的にアタックを繰り返す姿には心打たれました。

そして徐々に凍った心が融けていく葵。もうヒカルは死んでしまっていないし、幽霊となった彼の声が聞こえるのは是光だけ。でもヒカルの想いはちゃんと届いたし、是で前に進めるよね。良かった。

ヒロインの中では、クラスメイトの式部さんが好きです。男嫌いで、でもそれに屈するのが嫌で恋愛ケータイ小説を書いたら人気がでてしまい恋愛の達人と誤解され、でもホントの事が言えなくてサイトに来る恋愛相談には律儀に答える。もうこの設定だけで素敵過ぎるんですが、是光がとあるきっかけでこの事を知り、葵の事を相談してからの展開が大好き。最初は是光の事を怖がりつつ、アドバイスするだけだったのが、段々怖い人じゃない、良い奴なんだと気付いていく展開が好み過ぎます。最終的にはきっちりと恋に落ちましたが...報われるんだろうか。どう考えても、『文学少女』のななせと似たようなポジションなんですが...。

しかし、他のヒロインが源氏物語の登場人物をモチーフにしている中、式部さんだけは作者たる紫式部の名前を冠しているので、扱いも特別だよね? と言う一縷の望みがあります。幸せになるよね?

こんな感じでとても楽しめた1冊でした。ヒカルが既に死んでいる以上、いつか成仏する日が来たら是光とも別れる事になる。あとがきにもはっきりと「お別れの物語」と書かれているし、切ない展開が続くと思いますが...その別れが笑顔で迎えられる事を願いながら続きを待とうと思います。

2011.05/05 Thu. また1日休みが過ぎてしまった

[] 半熟作家と"文学少女"な編集者

文学少女』シリーズ、これが本当に最後の1冊。タイトル通り編集者となった遠子先輩と、売れっ子だけど自信過剰なまでの強気な性格をした高校生作家・快斗のお話です。主役は快斗くんで、幾つかの話を通じて、遠子先輩への淡い想いを募らせていく...と言う展開。

とても面白かったです。凄く良い話だった!!

大人になった遠子先輩、少しは変わっているのかなぁと思ったのですが、相変わらず遠子先輩は遠子先輩でした。あまりの変わらなさに懐かしさと共にホッとした気分になりました。そして根っこにある本への愛情はそのままに、編集者としての顔もキチンと見せてくれます。快斗くんへの接し方、そしてもう1人の担当作家・早川緋砂へのアドバイスと遠子先輩自身の身の振り方に、作家と作家が良い作品を生む環境に心を砕く展開に、昔の心葉くんへの接し方を思い出したり。

さらに持ち前の天然たらしっぷりも存分に発揮。あっと言う間に快斗くんが惹かれていく展開にはニヤニヤが止まりませんでした。しかしその恋心が叶う事は無い事を知っている以上、どんな展開になるのか不安だったのも事実。なにせ快斗くん、挫折には慣れていなさそうだったし。でもそこは遠子先輩。伊達にヘタレ心葉くんを再起させた実績がある訳じゃない。快斗くんの成長っぷりが素晴らしかったです。

最初にタイトルを見た時は「半熟作家 = 心葉くん」かと思っていたのですが、読んでみれば心葉くんは名前すら出てこない勢い。快斗くんは井上ミウの事を思いっきり意識していて、ちらほらミウの名前は登場するぐらいでした。心葉くんはいつ出てくるのかなーと思いながら読んでいたら、本人が出てくる前に遠子先輩から爆弾発言が飛び出してビックリしました。あのヘタレだった心葉くんが!! 心葉くんがっっっっ!!!! アレを心葉くんがどんな顔で渡したのか、すっげー見てみたい。

そしてラストにはあの娘も登場。元気そうでなにより。成長すると言うのは変わるとはちょっと違う。元々の部分を残しつつ、より磨きがかかった面々の皆の未来が幸せでありますように...と思った、素敵な最終巻でした。大満足。

2011.01/05 Wed. まず無理だと思うが

[] "文学少女"と恋する挿話集 4

文学少女』シリーズの短編集・第4弾。雑誌掲載分に書き下ろしを加え、これが最後の短編集。

短編集と言う事で、色んなキャラの話が沢山。菜乃はやっぱり良い娘だなぁとシミジミしたり、遠子先輩の勘違いから始まる暴走っぷりに笑ったり、舞花の話で切ない気持ちになったり...と、よりどりみどり。個人的には美羽と芥川の話が良かったです。まっっっっったく素直じゃない性格の美羽を、どこまでも正直な芥川が支える。美羽が歩み寄らない限り、2人の距離は縮まなさそうですが、もう時間の問題だよね、これ。しかし芥川...正直だけどちょっと不器用な所が妙に可愛いかったなぁ。

ななせ派としては、彼女のその後の話が少し読めたのも良かったです。夕歌(と言うか彼)がどうなったのか、気になっていたのですが、この分なら大丈夫そうで一安心。

でもやっぱり、遠子先輩と心葉の話が好きです。高校の頃、2人が何気なく過ごしていた文芸部の話を読むと、何か暖かい気分になります。もうあの頃に時間は戻らないけれど、こうして垣間見ると、本当に幸せな時期だったんだなぁと心底思える。この先に続いた茨の道を思うと少し物悲しい気分にもなるけど...さらにその先には、明るい未来がある。残すは後1冊。大人になった遠子先輩がどんな風に活躍するのか、今から楽しみです。

2010.09/03 Fri. やっと週末

[] "文学少女"見習いの、卒業。

"文学少女"見習いシリーズ、これにて完結。遠子先輩が卒業し、残された心葉。新一年生として文芸部に入部して、ひたすら心葉へアタックを繰り返した菜乃。心葉の卒業が迫る中、菜乃の親友・瞳が抱えた問題を解き明かしていく展開。

こんなに切なくて哀しくて、でも幸せで笑顔が溢れる結末が読めるとは思いませんでした。菜乃の恋が実る事は無い。遠子先輩がいる以上、覆らない事実。だから、心葉の卒業と同時に彼女の恋に一区切りが着く事は最初から分かっていた事ですが...その瞬間にどんな風に辿り着いて、菜乃と心葉が何を思うのか。楽しみにしていた結末が、こんなにも素敵なものになるとは。予想以上の素晴らしい結末に、涙が止まりません。最後の1ページをめくった時の感動はどう言えばいいのかわからない。このエピローグのためだけに、シリーズ全部読んでも損はない、そう思うぐらいの素晴らしいラストでした。普段あとがきから読む人でも、今回ばっかりは後回しにする事を激しくお勧めします。ページをめくり間違って、先にラストに目を通すような事は間違っても避けないと。

また、メインのお話となる瞳の話ですが、題材となる文学作品は夏目漱石の「こころ」。学校に司書としてやってきた忍成先生と瞳、そして2人の過去に絡む、自殺した少年・櫂。この3人の関係がそのまま「こころ」の先生とK、お嬢様に照らし合わされて進むのですが、「こころ」って決して幸せな話ではないので、これと照らし合わせる事がしっくり来てしまう時点で辛い。でも、その裏に隠された真実は決して不幸なものではなくて。ちょっとしたすれ違いが生んだ悲劇。過去は変えられないけれど、残された人達が前向きに生きて行く姿を見る事が出来て良かったです。

と言う訳で、とても満足なラストで幸せでした。楽しかった!! ...しかし、あとがきの後にあった広告で驚愕したんですが、まーじーで!?

2010.06/09 Wed. レアな経験だった

[] やっと見てきた

劇場版"文学少女"を見てきました。流石に平日のレイトショーは人がいない。1割も埋まってなかったような。お陰でゆったりと観賞。

しかし終わった後、なかなか客電が点かなくて、自分含めて戸惑う観客たち。「絶対スタッフ寝てるだろ」と思いました。終わったよ!! とアピールのために自然に拍手とか起こって、ちょっと面白かったです。暫くして点いたんだけど、こんな事もあるんだなぁ。

[] 劇場版"文学少女"

そろそろ公開が終わりそうなので見てきました。基本は1巻の内容だけど、劇場版用に微妙に変えてある感じでした。

想像していたよりもシッカリとした出来で良かったのですが...動いて喋る心葉くんがここまでイラッとさせてくれるとは思いませんでした。ヘタレにも程があるだろう!! 本で読んでいた時以上のヘタレっぷり。

ななせファンな自分としては、見る前から悲しい気分になる事は分かっていましたが、それでもやっぱり辛いなぁ。ホント不憫だよ、凄く良い子なのに。いくら可愛らしい振る舞いを見ても、報われない事を知っている以上心痛むばかりで幸せな気分になれない...。あー辛い。