自動改札通行不可

横浜、大宮など、JR東日本の首都圏184駅で、12月1日0時ごろ、Suicaで自動改札機を通れないトラブルが起こった。JR東日本では4時38分にプログラム修正作業を完了し、5時10分までに全駅で復旧した。
トラブルがあったのは、「モバイルSuica」「Suica定期券」「View SUICAカード」のユーザー。誤作動したのはすべて、日本信号製の自動改札機だった。
JR東日本では原因を調査中だが、「モバイルSuicaSuica定期券、View SUICAカードには6カ月以上利用がないと、自動改札の扉を閉じて、有効なカードかどうか問い合わせを行う機能がある。今回はその機能が誤作動して、利用しているカードでも問い合わせを行ってしまう不具合ではないかと推測している。Suicaでこのようなトラブルが起こったのは初めて」(広報部)とコメントしている。
(2006年12月1日=IT media News)

<2006年12月5日追記>
CSKホールディングス有賀貞一取締役が執筆したコラムです。

Suicaのシステムは一定期間利用がないカードに対してはゲートを閉じてカードの破損などをチェックをすることになっている。ところがそのプログラムにミスがあり、カードをかざした際にゲートが閉鎖されてしまう事象が起きたらしい。「らしい」というのは、その後どこにも経過を伝えるニュースがないからである。
JR東日本のホームページには、原因などについては何らのコメントも掲載していない。日本信号のホームページも同様だ。マスコミも、その後口止めされたわけでもなかろうが、何も報道していない。それとももう報道価値がないと思っているのだろうか。
自動改札機が通過できない。それも日本信号のものに限られる。利用可能なカードかどうかのチェックロジックにミスがあったようで、そこを直したら作動した。したがって解決したのだからいいじゃないか、という向きもあろう。しかし、極めて多様な機能を、広範囲な地域で利用させようとしている意向があるのだから、これではやや扱いがずさんではなかろうか。
途中に土曜、日曜が入っているにしても、3日間たった4日の夕方に至るまで多少なりとも原因について説明がないというのは、JR東日本にしても、日本信号にしても説明責任がなさ過ぎる。
トラブルを起こしてはならないが、ソフトウエアで実現しているのだからトラブルが起こる可能性はある。問題は、原因がカードの有効性チェックのところだけだったのか、それとも違う原因もあったのか、対策はソフトウエア修正のみでよかったのか、自動改札機製造各社には類似トラブルを避けるためにどのような指示をすべきなのか、今後の更なるトラブルの防止策としてどのような対策をとるのか、ラッシュ時等に発生したら本当に自動改札は開放しておくのか、等々考慮すべき点がたくさんあることだ。
謝罪をすべきとかではなく、きちんとした原因を公表し、業務が成立するように対策を取る。利便性のみの追求ではなく、リスク評価が必要だ。それができないなら、いたずらに機能拡張を行うのは考えものだろう。
(2006年12月5日=NIKKEI NET)