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海辺の文箱 〜湘南ふらふら日記〜

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2011-10-26

文は人なり、と言うことの一つの例。 日経新聞 私の履歴書

 私の履歴書というのは、日経の最終面に載っている名物記事で、功成り名遂げた各界の著名人が一ヶ月単位で、自己の人生を振り返り書き記すものである。

 1年に12人と言うことになり、芸能界、財界、学界、映画、絵画、演劇などに振り分けられ、さらに海外の政治家、経営者なども入ってくるから、ここに連載できるのは、「大変名誉なこと」だと伝え聞いたことがある。

 僕などは文章の面白さで読んでいるのだけれど、今年は今のところ小田島雄志先生(シェークスピア学者)がおもしろかったかな。

 おもしろくないのは、正しくて立派なことばかり書く人、結局自慢ばかり書く人で、なるほど文は人なりというのはこういうことかな、と思ったりする。それでも経営者は文章の素人だから、天真爛漫に自慢話に徹してくれれば、かえってかわいげがあったりすることもあるけれど。

 家族についてどのように言及するかも、密かに注目している。切ない恋を成就させた人というのはやはりいるもので、そういう人は恋女房と添い遂げたことがやはり人生の宝物だから、書かずにいられず、筆も乗ってくる。若く美しい奥様の写真も掲載されほほえましい。逆に事務的に数行で済ませてあったりすると、まあ、そういうことなのね、と思ったりする。

 過去おもしろかったのは、たとえば野球の広岡元監督である。(僕たちの世代では、ヤクルトや西武の監督としての印象が強い)。とにかく巨人のことを根に持っていることが感じられて、要するに、「今はなんの遺恨も無いが、おれは巨人にひどい目に遭った」「俺は何とも思っていないが、川上は本当に冷酷で嫌なやつだ」ということが繰り返し書いてあるわけで、笑って読んだものだ。 

 そうだ、今日(報道されたのは、と言うことだけど)、北杜夫が亡くなったのだった。中学高校時代、結構読んだものだった。以前読んだ北杜夫の「私の履歴書」はなかなか立派だった。「私の履歴書」という枠に全くとらわれない、出世の階段を上がってあがりの場所にいる作家の文章という趣の全くない、はちゃめちゃでリアルな老人の文書で、さすが北杜夫と思ったものだ。謹んでご冥福をお祈りします。合掌。

 

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