□月 ●日  No4036 輸送限界


 やつの携帯電話を少々盗み見しようとしたところ、その内容はまさに名状しがたい何かであった。
 普通の人間なら発狂しそうな代物だが、我々とてきちんとした訓練を受けている以上は
 そうそうこういうものにはやられない。
 しかし彼らは危険だと思われる。これではほとんど妖怪の類だ。
 たぶん、結界を強制的に通過するためにこのような方法をとっているが
 我々の方法とは違いすぎる。

 
 我々の手法はあくまで、人間と身の回りの物しかいどうできない。
 巨大質量を運ぶのは結局マルハチでなければ難しい。
 もちろん、上位存在なら巨大質量を運ぶことも不可能ではないだろう。
 昔はほとんど裸同然でしか移動できなかったそうだから、
 だいぶ改善したとのことだ。


 彼の手法には興味はある。明らかに活動範囲が広がるからだ。
 とはいえ人間であることをやめては意味がない。
 我々は我々の手法で行う必要があると思われる。