世界の果ての崖っぷちで

20041112
2005010203040506070809101112
2006010203040506070809101112
2007010203040506070809101112
2008010203040506070809101112
2009010203040506070809101112
2010010203040506070809101112
2011010203040506070809101112
20120102030405060708091011
20130102030411
201402
201604

2009-02-02 (月)

[][]海外ヤングアダルト小説を、早川書房メディアファクトリー日本で出すとこうなる

 百聞は一見に如かず。まずはちょっと、これを見て欲しい。見てと言っても、買って中身を読めと言うんじゃない。いや興味が湧いたら買ってもらって結構だけど、とりあえず今は表紙だけでいい。

ティンカー (ハヤカワ文庫SF)

ティンカー (ハヤカワ文庫SF)

ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫SF)

ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫SF)

 見た? 頭に焼き付けた? 表紙のイラストを見て、どんな内容なのだろうかと、ちょと想像してみるのもいい。それこそ本物のエロゲーライトノベルで、ありそうなタイトルじゃありませんか。「女たちの王国」ですよ。それがまた「ようこそ」と来たもんですよ。あなたならどうします。………………そろそろいいかな。

 では次にこれ。

Tinker (Baen Fantasy)

Tinker (Baen Fantasy)

A Brother's Price

A Brother's Price

Alien Taste (Ukiah Oregon)

Alien Taste (Ukiah Oregon)

 一番上のタイトルがそのままなのですぐ気が付いたと思うけども、それぞれ同じ本。上3冊が、早川書房から出ている日本版。下3冊が、海外で出ている英語原書版。真ん中なぞは「その商品リンクミスしてね?」と思いたくなるだろうけれども、これであっている。原題『A Brother's Price』。邦題『ようこそ女たちの王国へ』。同じ本だ。


 マンガアニメゲーム。一般的にオタクが好むとされる(と言うか、これを好むとオタクとされる)この3つに共通するのは、いずれも「海外作品がなかなか受け入れられない」こと。好まれる傾向が全く違うものだから、海外では超の付く人気作品であっても、日本ではさっぱりと言うになる、映画のそれとは大違いだ。特にビジュアル面での美醜の基準の違いが如何ともしがたく、それでいてビジュアル重要性は決して下がることがないので、「キャラの見た目が萌えないからクソ」レベルの判断基準で吐き捨てられることもしばしば。

 かと言って、キャラクタデザイン日本向けに変えてしまえばいいかと言うと、これも難しい。手間がかかる。ゲームなら、キャラクタ以外のビジュアルタッチの統一、そのキャラクタに使えるハードの性能やソフトウェアデータサイズの余裕と、他の要素との整合性もいちいち考慮に入れないといけない。マンガもそう。ゲームと違って視覚だけに訴えるマンガなんて、もっとそう。キャラクタを変えようとしたら、それは全ページを一から描き直すということで、出来上がったものはもう別の作品でしかない。


 そんな中、ひとつ異なる事情を持つのが、小説視覚と言っても、マンガと違い絵ではなく文字で表現するメディアのため、作品ビジュアルは読者の頭の中で構築される。挿絵はほとんどないか、あっても数ページ、十数ページ。つまり、どういうことか。

 そう、他のメディアと比べて圧倒的に低いコストで、書き換えられるわけだ。なんたって中身は文字なのだから、表紙と、多くても後は数枚の口絵と挿絵で「こういうキャラクタなんですよ、そういう作品世界なんですよ」と印象付けてしまえば、あとは読者が頭の中で勝手に置き換えてくれる。

 その結果が、冒頭のあれだ。3冊とも挿絵はない(らしい。実はまだ、いつものごとく、積んだままで読んでない)。表紙だけ。つまり、エナミカツミイラストたった3枚だけで、あの衝撃的な光景が生まれるのだ。勿論、その3枚を書くまでにいろいろなデザイン案が検討されたろうし、絵を描く以外にもまず最初には「よし、こういう方向性で日本版を出そう、出してみよう」と決めた編集者なりもいるはずで、そう言う過程を経た上での最後の完成形ということだろうが、ゲームマンガならどうであるかを考えると、その手間は雲泥の差だ。


 すごい。ああも作品の印象を変えてしまう日本版に、異論がある人も多いだろう。私自身、日本の「萌え」にあまりに媚びるようなのは、見ていて良い気はしない。被害妄想気味だが、「こういう流れが出来ると、海外作品に対して、自分萌えないからってだけで下に見てせせら笑おうする、つまらない増長したオタクがまた増えるんだろうな」と思ってしまって、不快に感じる。

 と同時に、でも、こうまで明確に「どうだオラ売ってやるぜ! お前らのためだ! 買え!」というメッセージをばりばり発信されると、思わずクラクラっと来てしまうのも事実だ。「そこまで言われちゃ、俺だって買うしかねぇな!」と思えてしまう。ネタとしてもあまりに捨てがたい。まぁ、これは、俺がライトノベルに対していまだに捨てられないでいる郷愁と言うか何と言うか、そういうのも複雑に絡んでの感情だと思うけども。だから、有名文学作品に人気マンガ家の表紙絵を付ける「あっち」の流れに対しては、一向に、これっぽっちも興味が湧かないんだよね。うん。


 ま、何だな。何か言いたいことがあるわけじゃないので、締めに困ったね。「おいおい日本版と原書版の表紙が違いすぎるぜ、見てみろよ」て言いたかっただけなのでね。うん。じゃあなんかグダグダと長いこと書いてないで、最初の「同じ本だ。」までで十分じゃねーか、と言う。

 ちなみに。上記3作品の作者のウェン・スペンサーさんですけども、日本版の表紙を見て、本人もたいそう喜んでいるようで。なんでも、元々からして日本アニメマンガの影響が色濃い作品を書く人で、『ようこそ女たちの王国へ / A Brother's Price』は、実際に読んだ人によると、日本版表紙の方が実は内容に合っている、とのことですよ。


 さぁ、興味が湧いたら、今すぐ本屋に走れ!


オマケ

 この記事は先週くらいから書こうとしてたんだけど(文章がうまいこと浮かばなくて、結局うまく行かないまま書いたのがこれ。いつも通りでもある)、そしたらなぁ。昨日。こんな出会いがあったわけですよ。もう、ねぇ。興奮して余計に文章が書けないて話ですよね。いつも通りですけど。

 で、さて。せっかくなので、こっちの表紙比較も、してみましょうか。

The Book of the Sword

 まずこれが、メディアファクトリーから出た日本版の第1巻。

サムライガール1

サムライガール1

 で、その英語版がこれ。なんか検索してみたらいろいろな版があるのだけど、海外出版事情とかよく知らないので、全部並べておきます。日本で言う文庫落ちとか児童向けとか、そういうのでしょうかね。

The Book of the Sword (Samurai Girl)

The Book of the Sword (Samurai Girl)

The Book of the Sword (Samurai Girl S.)

The Book of the Sword (Samurai Girl S.)

The Book of the Sword (Samurai Girl)

The Book of the Sword (Samurai Girl)

The Book of the Sword (Samurai Girl)

The Book of the Sword (Samurai Girl)

The Book of the Shadow

 第2巻はこっち。まず日本版。

サムライガール2

サムライガール2

 そして海外版。

The Book of the Shadow (Samurai Girl)

The Book of the Shadow (Samurai Girl)

The Book of the Shadow (Samurai Girl S.)

The Book of the Shadow (Samurai Girl S.)

The Book Of The Shadow (Samurai Girl)

The Book Of The Shadow (Samurai Girl)

 なんだか日本版を入れるまでもなく、全ての版でイメージが違いすぎて大混乱な感じですね。Thorndike PressのLarge Print版なんて、何がどうしてそんなことになっているのかと聞きたいもんです。表紙のモデルがLargeとか、そういうことでしょうか。

 実は2004年に出た6巻目で刊行は終わってるみたいですけど、上に挙げた第1巻の一番新しいやつ、2008年刊のは、どうもこの作品があっちのテレビで映像化されたらしくて、その記念新装版のようです。ブラウザを最新版にアップグレードしろや、と言われてテレビ版の公式ウェブサイトに繋がらないので、Wikipediaにしときます原作の終了から時間が経ってるのに、継続した人気があるということなのでしょうかね。新装版表紙のモデルデヴォン青木……かな。いやそれにしては若いか。ごめん、あの辺の俳優さんはそれほどちゃんと顔覚えてないので、あまり見分けが付かなくて。あ、映像版の主役を演じたJamie Chungという人でしょう、きっと。なかなか綺麗な表紙で、結構ですな。

nyapoonanyapoona 2009/02/03 17:26 いや、早川は昔から海外文学にラノベっぽいイラストをつけることで有名なんですよ。
有名どころだとロバート・A・ハインラインの『人形つかい』だとかカロン・ロワチーの『戦いの子』だとかジーン・ウルフの『新しい太陽の書』だとか。

fuyunatufuyunatu 2009/02/03 19:54 責められるべきはラノベっぽい表紙をつけることではなく、早川がつけるその手の表紙には絶望的なまでにセンスがないことだと思わなくもない。
『たったひとつの冴えたやりかた』あたりが走りなのだろうか。

yoshirinyoshirin 2009/02/04 00:41 メディアファクトリーは、他にソフィー・オドゥワン=マミコニアンの「タラ・ダンカン」もオススメしておきます。カバーイラストは村田蓮爾さんで、現在5巻まで発売中(全10巻)。

なまえなまえ 2009/02/04 13:10 「ようこそ女たちの王国へ」は思いっきり邦題に騙された。
英題の方が内容に見合ってるし、オレの見たところ表紙もそうです。
出てくる女はみんなマッチョでダイハードか老婆かです。日本版の表紙みたいなにこやかな女なんかいなかった記憶が。
基本的に北斗の拳の性別逆転版(容姿はほぼそのまま)と思ってくれるととてもわかりやすいです。

torojatoroja 2009/02/05 10:54 ハヤカワの青版(背表紙が青い文庫)が萌イラスト化してきたのは最近の版からですね。

通りすがり。通りすがり。 2009/02/06 05:55 早川の表紙詐欺といえばコラプシウム。…面白かったんだけどね。
主人公じゃないのかよ、と。

なまえなまえ 2009/02/06 10:11 内容がわからないので何とも言えないが、
少なくとも『サムライガール』シリーズは、
日本版の表紙が一番いいような……

ozoneozone 2009/02/06 13:36 早川の表紙詐欺は松本零士や石森章太郎の頃からだから
40年近い歴史があるやろ

なまえなまえ 2009/02/06 15:10 エヴァンゲリオンが騒がれるタイミングで
人類補完機構(全くの無関係)が猫耳幼女表紙で再販
ですね。わかります。

通りすがり通りすがり 2009/02/07 04:41 『ようこそ女たちの王国へ』は、たとえ内容を読んでいても、表紙の誰が誰なのかパッとわからないところがちょっとなぁ。タイトルもなにが『ようこそ』なんだかわからないw。でも内容はたしかにハーレムファンタジーなので漫画っぽい表紙をつけるという選択は正しいと思う。

漫画っぽいといえば、『虎よ、虎よ』の新装版の表紙は好き。

BBBB 2009/02/07 13:15 ウィル-マッカーシイの「コラプシウム」は表紙の女の子が主役かと思ったら完全な脇役でガッカリした覚えがありますw

HajiめHajiめ 2009/02/08 06:32 ようこそ女たちの王国へはまんまだったと思うけどなぁ…
ただどこら辺がSFなのか理解に苦しんだ。
SF文庫だからきっとSFな理由があるに違いないとwktkして読むと大変なことに…
後、人形使いの表紙は詐欺だった…
ちょっとハードボイルドすぎるだろ表紙。典型的なSFなのにさ

後、海外は統計主義らしく、昔「統計学的に人が表紙に写ってる本のほうが写っていないのより売れる」って統計が出てからこぞってみんなが人物の表紙をつけ始めて、雰囲気的に「別に人いなくてもいいけどみんな人つけてるし俺たちもつけないとな」的なことになっているとかなっていないとか…

なまえなまえ 2009/02/08 09:56 コラプシウムの表紙に騙されたのが俺一人じゃないと知って安心。
「ようこそ〜」は個人的に大好きだけど、表紙の誰が誰なのかわからない、というのは俺も感じた。
スタージョンの「人間以上」も以前と現在とで随分表紙が違うようで、自分の持ってるのは赤ちゃん抱いてる女の子の両脇に双子が立ってるやつなんだが、どっかで見た古い表紙はリアルな赤ん坊の顔だったように記憶してる。

なまえなまえ 2009/02/08 13:05 大宇宙の魔女か

なまえ なまえ 2009/11/29 15:45 挿絵が無いのは普通じゃない?
ライトノベルに慣れすぎだと思うけど。