目と花の先。


揺らいで見える蜃気楼。
旅の途中の水の底。
目を凝らして見えるもの。
人の背に花を添える。
人の『生』とはこういうものだろう。
暗い狭い部屋で聞こえる僅かな空気の流れる音。
漂う星の瞬き。
稀に『死』を孤独と勘違いする。
孤独が死を呼ぶのではなく、生が死を手招きしている。
人が人らしく生きていき、人が人らしく死んでいく。
甘い匂いは花の香り。
あなたはあなたの瞳を見つめ続ける事は出来ますか?
寒い、寒いと鳴いている鳥の声。
羽ばたく為に歩むのです。
来た道を戻らず、振り返らず。
新しい生命はきっと涙を流している。
産まれてきた喜びと、死んでいく事を知っているから。
突然広がる目の前の世界は、光であり影である。
何かを得ながら、失う世界。
現実であり、夢であり、希望であり、また絶望である。
燃える火の光は太陽の偽者で、輝きすら届かない。
それでも放つ願いは空の下の小さな物語。
僕達はその物語を幼い子供に言い聞かしている。
お伽話のように、子守唄のように。
皆眠りゾロゾロと列を連ねて前に進む。
はぐれないように、見失わないように。
時々逃げ出した人間が遠くの景色に気付きそれを眺める。
一体どこを目指し、どこに行こうとしてるのか?
疑問は一つ心に大きな穴を創り、深く、深くに潜り込む。
闇を好むから。
けれど光は差し込む。
ここに居る、僕らの元に。