ファッションには必ずルーツがある!プリンセスドレスの後編 横田@スタジオ・バラック
皆様こんにちは、tamaraデザイナーの横田@スタジオ・バラックです。
今日は先日のプリンセスドレスラインについての後編として、プリンセスラインの由来となったアレクサンドラ妃についてのお話です。
アレクサンドラはデンマーク国王の娘として1844年に誕生しました。美貌の誉れ高く、オーストリア帝国のエリーザベト皇妃もアレクサンドラの美貌と自分の美貌がどちらが優れているか気にしていたそうです。(アレクサンドラはイングランドのエリーザベトとも呼ばれていたそう)
イギリス王室の中で初めて写真に写された王妃だったそうです。
19歳の時に後のエドワード7世、イギリス王太子アルバート・エドワードと結婚します。エドワードはとても素行が悪く、派手好き女好き、自由奔放だったため、母親であるヴィクトリア女王が美貌の妻を与えて、おちつかせよう・・・と考えたのでした。
そこで白羽のあたったのがアレクサンドラ。同時にデンマークは経済的窮地に陥っていたため、イギリス王室との縁談は願ってもない話でした。
そんなアレクサンドラが王太子妃時代に好んで着用していたのが、プリンセスラインと呼ばれるシルエットのドレスです。
私が感じるのは、このデザインは完璧なパターンと縫製、上質な素材でなければ美しく仕上がらない、ごまかしがきかない作りのとても贅沢な、まさにプリンセスが着用するのにふさわしいドレスだということ。
対して、現在日本でも人気のいわゆる「プリンセスライン」と呼ばれているギャザーやフリルがふんだんに使われているようなデザインのドレスは、ウェディングドレスの主な生産国であるアジア各国で作られているものの主流ではないでしょうか?
さて、アレクサンドラ自身の話に戻りますが、結婚後三男三女に恵まれたものの、エドワードの素行は直りませんでした。王太子の奔放な女性遍歴は生涯絶えることなく、アレクサンドラは冷え切った夫婦関係の屈辱に耐えていました。また、最愛の長男の28歳という若さでの病死も大きな苦しみのひとつでした。
101人もの愛人がいたというエドワード7世でしたが、中でも一番の愛妾だったのがアリス・ケッペルという女性。王太子時代からの長い愛人だったアリスは、時にはアレクサンドラと同様の扱いをうけ、公式行事にもエドワード7世と共に参列したそうです。
そんな決して幸せとはいえないかのような結婚生活であっても、天性の明るさと誰にでも好感を持たれる人柄で国民からも愛されていたアレクサンドラ。
好んで着用していたドレスのスタイルがプリンセスライン、と呼ばれるようになった以外にも流行となった王妃のスタイルが数多くあります。
王妃は首に頸部リンパ節結核の手術による醜い傷跡があり、それを隠すため長い髪をたらしていましたが、髪を結いあげるスタイルが流行すると今度は宝石をちりばめたチョーカーをし、3人目の出産後に合併症にかかって後遺症で足を自由に動かせなくなると、杖の代わりにパラソルを手にするようになり、とそういったスタイルのすべて王妃のスタイルをまねて作られた流行でした。
何となく、どんな状況にあっても明るさや強さを失わない(ポジティブ思考というのでしょうか)、生命力溢れる知的な女性だったのでは・・・というのが私の印象です。
プリンセス・ラインとは、、、
「英国国王エドワード7世の妃、アレクサンドラ王妃が王太子妃(プリンセス)時代に好んで着用されていたことに由来する。ウエストに切り替えを入れず、縦切り替えの線だけで上半身をフィットさせ、ウエストを絞って、腰から裾にかけて広がりを持たせたデザインのドレス」
と、言われたら、アレクサンドラ王妃って、どんな女性だったのだろう、と、少なからず興味を持つ人はいると思います。
でもそれが消えてしまったら?
アレクサンドラの事も忘れられていってしまうようで、何だか哀しくなります。
そうそう、エドワード7世の最も愛したと言われている女性、アリス・ケッペル。
この方もとても美しい方であります・・・。
アレクサンドラは実は多くの夫の愛人達に寛容に接していた、といわれていますが、このアリスに対してだけは、一生憎悪していたそうです。
危篤状態になったエドワード7世自らが連絡をとって、最後の別れをするために手元に呼び寄せたにも拘らず、夫が危篤になるや国王の寝室から追い出したといわれています。
そしてこのアリス・ケッペルのひ孫にあたる方が、なんとチャールズ皇太子の現夫人であるカミラさん。
何か因縁めいたものを感じます。英国王室・・・。
ダイアナ妃も美しく、国民に愛されたお方でした。
「プリンセス・オブ・ウェールズ」という、ダイアナ妃にちなんで命名されたバラがありますが、このバラを見る時、人は皆ダイアナ妃を思わずにはいられないはずです。
それがもし遠い未来、何か流行やいろいろな要因が重なって、このバラの名前が別の名でよばれるようになったら。今の世に生きている私達は、哀しい、と感じますよね。
150年前のイギリス国民も、遠い未来にアレクサンドラ妃が忘れられていく・・・と知ったら、きっと哀しく感じるのではないでしょうか??
確かに、おとぎ話のお姫様のように、フリルいっぱいのボリュームスカートシルエットのドレスは可愛いですし、人気です。
でも、ちょっと待って!!こういうプリンセスが実際にいたんです!!
・・・という事を 言いたかったのでした。
ファッションには必ずルーツがあるものです。
身の回りの流行のルーツを調べてみるのも楽しいですよね。
:::::::::
日本の花嫁のウェディングスタイル研究会J-Brides Laboratory は、ウェディングドレスメーカーとアクセサリーメーカーにより企画運営されている日本の花嫁の装い・コーディネイトの可能性を探る研究会です。
:::::::::
各アイテムのご購入方法、その他それぞれの詳細については各担当にお問い合わせくださいませ。
アクセサリー 有)スタジオバラック / スタジオバラック小売販売代理店citta