三津田信三 『魔邸』

魔邸

作家だった父親を亡くし、母親の再婚で新しい父となった義父と中々馴染めない小学校6年の優真。ですが、義父の弟の叔父さんのことは大好きで、この叔父さんと夏休みを過ごすことになり優真は喜びます。かつて叔父さんが、神隠しにあった子どもを見つけたことで譲渡された別荘へと連れられて行った優真ですが、そこでは不審な物音や気配がして・・・。

家シリーズの第3弾。
少年の視点で、忌まわしい何かがある家の過去と怖ろしい出来事の真相が明らかになっていくという枠組みは全2作と共通ですが、どちらかと言えば本作はミステリ寄りの要素が強い作品。
三津田作品としては比較的ライトな部類に入りますが、主人公の優真が過去に迷い込んだ異界の、「何かが迫ってくる」恐怖が徐々に大きくなる描写などには、やはり「らしさ」が滲み出ていると言えるでしょう。
結末部分で、それまでとは違った「ゾッとする」感覚を与える演出なども好み。