カラーマネジメント技術 簡易レビュー
PhotoshopやLightroomでレタッチを行った際、どのディスプレイでも
同じ色合いで表示されるのか、気になったことはないだろうか?
プリンターでプリントアウトした際、ディスプレイで見た場合と
違った色合いで印刷されてしまったりした経験があると、
どのディスプレイでもプリントアウトした結果とマッチング
させたいという願望が起きることだろう。
いざ、マッチングさせるため、キャリブレーションを行う機器を導入して、
試行錯誤を行っても、簡単にはマッチングできないことに気づく。
求める結果はディスプレイとプリンターの色合わせをしたい、という単純な
ことなのに、それを正しく行うには、膨大な知識が必要となる。
そういった正しく色合わせを行う際に必要な情報は、あまり見かけることがなく、
最初の足がかりさえ、おぼつかない状況に愕然としてしまう。
「カラーマネジメント技術」は、プリンター、ディスプレイの
メーカー技術者や大学教授らによって、専門的な見地からカラーマネジメントの
技術を紹介している。
数式を使って、色空間を表現したりと、かなり難解な部分も含まれるが、
正しくCMS(color management system)やsRGB、色空間について学ぶには
ぜひ一読したい書籍だ。
sRGBという規格は1999年に標準化されたものであるが、その当時はCRTが
ディスプレイの主流であった。現在LEDをバックライトにした液晶ディスプレイが
主流となり、sRGBの規格よりもより広い色空間を表現できるようになっている。
このことは当たり前のことのようだが、ナナオのCRTが発色がきれいで、
液晶ディスプレイは仕方なく移行しているのがうんぬん…など、古い知識を
アップデートしてきれいに整理してみるには非常に助かる内容だ。
ガンマ値が2.2である理由もよく分かったし、人間の芽は輝度特性が
γ=1/3だとか、印刷時に網点の微細化印刷を行えば、色再現域が広がることなど、
実に細かな専門知識が日本語で読める機会があるのは有難い。
結局どうしたらディスプレイとプリンターの色合わせができるのか、には
この書籍内には直接的には答えは見つからないけど、色合わせの手法や方針が、おおよそ
正しいのか誤っているのかを予測できるようにはなると思う。