でも誰かとならば人生は遥かに違う!!

  

   ちょっと長かったから2つに分けてみた
 
  @合唱コンクール



  ある日、指揮者がみんなの前で言った。

 「この前の合唱練習もそうなんですけど、静かにしてくださいって言っても、

  全然静かになんないし、男子なんかT君とかM君とかふざけてばっかで困るの

  で、次から真面目にやんない人は合唱しなくていいので、ちゃんとやってく

  ださい。」


  この時、担任が・・・誰よりもこのクラスの合唱を良くしようとしていた

 担任がキレた・・・グレた。

  「もういいよ、こんなクラス。合唱コンクール2週間前にまだこんなこと

   言ってるんだもん。やんなっちゃった。もうやめていいよ。

   休日練習もやるって言ってたけどやんなくていいから。

   だって、指揮者には悪いけど、みんなやる気ないんだもん。」

 その言葉を最後に、担任は去っていき、合唱練習も見向きもせず、

 何も語らなくなってしまった。

 「見捨てられた。」

 クラスメイトが何度も口にした。

 

  でも、実行委員会の女子と指揮者が立ち上がった。前から立ち上がってい

 た。

 まだ諦めていなかったし、自分から立ちあがっていた。




 真面目に合唱をしていない人に立ってもらった。

 H、T、M、Y、Perfume Love、Sの6人が立った。

 6人は反省を言った、座った。


   理科の時、Tが

  「tkさ、合唱ってダルくね?休日練習とか意味わからんw」

 と伴奏者に愚痴っていた・・・伴奏者はあいまいな返事しかしなかった。



  今日は白鈴(クラスや学年でやる総合学習の時間)が4時間連続であり、

 そのうち2時間がクラスに割り当てられた。

 担任は何も言わないから、指揮者が時間を割り振った。

 「今から、1時間自由にしていいです。でも、1時間後には必ず・・・

  必ず戻ってきて合唱練習をしてください。」

 みんなクラスをダッシュで散って行った。

  あるものは校庭へ、あるものは理科室へ百物語をしに(カーテンが黒くて

 真っ暗になるから)

 私はガンドゥーと生徒会室へ行った。彼女は合唱コンクールのパンフレット

 を印刷しに、私は廃棄物ミュートで即席防音をした夜空ちゃんをめいいっぱい

 吹いた。



  音楽の教科担任が合唱指導をしてくれた。途中から担任がクラスに来た。

 一通り合唱練習をした後、担任が言った

 「吉川Ⓢ、ジャックn、元赤眼鏡君、てぶらしかいちょうの4人だけで

  合唱曲の1番を歌え。」

  (私はどうだかしらないが、)パートで1番歌に一生懸命な人で歌った。

  パートで一人ずつ、もちろん味方などいない・・・本当の一人だ。

 でも誰も怖気づかず歌い切り、(ジャックnはヘタだけど)

  「上手い!」

  とみんなに言ってもらえた。担任は
 
  「肝が据わってるっチューのはこーいうことだ。」

  と言った。

  



   次に、H,M,T,Yの男子と、小町屋Ⓢ(女子)が歌わされた。

  小町屋Ⓢは女子一人で歌い切り、H君は一生懸命歌った。

  彼の頑張る姿は初めてみた。ウルッときた。・・・何人かは泣いた。

  


   次に、クラスのガキ大将的存在のPerfume Loveともう一人、S君、そして

  真面目に歌えなかったT、M、Y君が歌った。クラスの男子の5分の1だ。

  ガキ大将とSはやっぱり肝が据わっていた。お前らならやってくれると思っ

  ていた。もう何人かは泣いている。


   

   ・・・・それでもなかなか歌わない三人がいた。

  いつもギャーギャーと騒いでふざけているT君、チャラチャラ

  していてよく居眠りするM君、勉強はできるけど無口なY君だ。

   BGMのように流れる伴奏・・・・その時、

  


  「めぐりくる・・・・」  


  M君が歌いだした。今までどんなに言っても聞かなかったあの男が・・・

  ここで耐えきれなくて泣いた女子は何人いただろうか・・・私もヤバかった

  ・・・でも今まで歌ってこなかったせいか声が小さい

  「頑張れ、頑張れ」

  女子が応援した。

  


   ・・・とうとう、TとYは最後まで歌えなかった。歌えた人は担任が

  座らせた。二人は壁にもたれかかるようにして立っていた。顔は赤く、

  でもクラス合唱の輪に入れずに・・・・

  苦しかったであろう、でも、最後まで空気が読めなかったことが、勇気がだ

  せずいつものように適当に生きていたことが仇となった。

   


   彼らはすぐに帰った。残った人たちで今後の合唱について話し合ったり

  「M君が歌ってくれてヤバかった・・・ウルッときた(/_;)」

  と笑いながら言ったりしていた。

  M君はマスクをしていてもわかるくらいにこにこしていた。




   ジャックnはもう、適当に歌わない。

  このクラスのことも見直した。絶対最優秀賞を獲る・・・他のクラスには

  渡さないと思った。Y君もT君もわかってくれるはず!


 
   ただ一つ気掛かりなのは、

  「女子にだって真面目にやっている人が多いだけで、パート練習とかで適当

   にやっている人は適当だよね。声小さいよね。」

  と言っていたガンドゥーの言葉である。