放射性廃棄物の最終処分場、誘致を表明 滋賀・余呉町

asahi.com2006年09月20日より→cache

 原発の使用済み核燃料の再処理過程で出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、滋賀県余呉町の畑野佐久郎町長は20日の町議会で、原子力発電環境整備機構の公募に応じる意向を明らかにした。観光資源として期待した近畿最大級の丹生ダム建設のメドが立たず、深刻な財政難を立て直すためには、多額の電源立地交付金が見込める処分場を誘致するしかないと判断した。

 これまで公募に応じた自治体はないが、高知県東洋町、同津野町長崎県新上五島町などでも誘致の動きがある。滋賀県嘉田由紀子知事は「近畿1400万人の水源県に、多くの人が不安に思う処分場はふさわしくない」と反対の意向を表明しており、誘致が実現するかは不透明だ。

 余呉町福井県境の山あいにあり、人口約4千人。65歳以上が3割を超える。一般会計予算は今年度26億円余りで、10年前より10億円以上減り、07年度は赤字に陥る見通し。

 処分場の候補地となれば、文献調査(2年程度)の段階で年2億1千万円、概要調査(4年程度)では計70億円近い電源立地交付金が国から支払われることから、余呉町は以前にも処分場の誘致を検討。県の反対から、昨年10月、いったんは断念を表明したが、7月の知事選後、畑野町長が高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設がある青森県六ケ所村を視察するなど誘致を再検討していた。


最終処分誘致検討の自治体次々と

東奥日報2006年9月17日(日)より→cache

 使用済み核燃料の再処理に伴って生じる高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分候補地への応募を検討している自治体が、鹿児島県や高知県などで次々と浮上している。最終処分事業については、本県がなし崩し的に処分地化することを懸念する県民世論を背に、三村申吾知事が国などに全力で取り組むよう要請してきた経緯がある。このため電力関係者は、事業に進展がなければ、来年夏に予定されている六ケ所六ヶ所再処理工場の本格操業の支障になりかねない−として事態の推移を注視している。

 最終処分候補地の選定をめぐっては昨年、鹿児島県笠沙町滋賀県余呉町で誘致の動きがあったものの、いずれも県の賛同が得られずに断念。最終処分問題の難しさをあらためて印象付けた。

 しかし、今年八月以降、鹿児島県宇検村原子力発電環境整備機構の説明を受けていたことが明るみに出たほか、高知県東洋町が同機構の担当者を招いて勉強会を開いていたことが報道された。さらに同県津野町では、住民が町長と議会に候補地に応募するよう求める陳情書を提出した。

 鹿児島、高知両県知事とも最終処分場誘致には否定的で、先行き不透明だが、三町村の動きが、関心を寄せている他の自治体の刺激になることを電力関係者は期待する。

 電事連幹部は「韓国では中・低レベル廃棄物の処分場をめぐり、四地点が誘致を競った。日本でも、同じ時期に多く自治体が名乗りを上げれば誘致合戦になることも想定され、反対派の攻撃が一地点に集中することもない」と話す。「再処理工場受け入れ時のような、県レベルでの取り組みが不可欠になる」(青森県幹部)との見方も。

 厄介者扱いされがちな高レベル廃棄物の最終処分地に自治体が関心を寄せる背景には、三位一体改革に伴う地方交付税の大幅削減があるようだ。

 最終処分事業では、過去の地震などを調べる「文献調査」に応じただけで年間二億一千万円、地層を実際に調べる「概要調査地区」になれば、年間二十億円が地元に交付される。国は八月、文献調査に伴う交付金を年間十億円へと引き上げる方針まで打ち出した。

 「財政難で県の支援も期待できなくなった町村にとって、目の前にぶら下がったニンジンは大きい」と、ある関係者。

 最終処分問題は六ケ所再処理工場の本格操業にも影響してくる。六ケ所村には海外からの返還ガラス固化体が貯蔵されているほか、再処理工場操業に伴いガラス固化体が新たに発生するためだ。

 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき閣議決定された処分計画では、「概要調査地区」に続く「精密調査地区」を平成二十年代前半をめどに選定。この中から最終処分地を決め、平成四十年代後半に処分場を操業する予定だが、調査・手続きに要する時間を考えれば、ここ一、二年のうちに「概要調査地区」への応募がなければ間に合わない。

 電力関係者は「再処理本格操業に三村知事の了解を得るには、アクティブ試験(試運転)で大きなトラブルを起こさないことはもちろんだが、最終処分事業で何らかのプラスの材料が欲しい」と話している。

余呉町長「誘致を再検討」

高レベル放射性廃棄物最終処分場
Kyoto Shimbun 2006年9月1日(金)より→cache

 滋賀県余呉町の畑野佐久郎町長が、昨年10月にいったんは断念した原子力発電の使用済み核燃料に伴って生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場の誘致について、町議会の全員協議会で再検討する考えのあることを表明していたことが、31日に分かった。

 全員協議会は8月8日にあり、畑野町長は使用済み核燃料再処理施設のある青森県六ケ所村を視察した様子を報告した上で、「(3段階ある候補地選定の調査の第1段階に当たる)『文献調査』だけでも受け入れを検討したい」と発言した。議員からは「誘致を断念した舌の根も乾かないうちに、言い出すべきではない」などと反発する声もあった、という。

 畑野町長は再検討に至った理由について、「リストラにも限度があり、このままではいずれ町財政は破たんする。財源確保のためと原子力廃棄物は必ず出ることなどを町住民だけでなく近畿の人や国民みんなで考えてほしいから」と話している。

 文献調査を受け入れると、現行では年間2億1000万円の交付金が周辺も含む地元自治体に支払われる。これまでに、余呉町のように誘致に名乗りを上げた自治体は複数あったが、周辺自治体や県の強い反対で立ち消えになっている。

 このため、経済産業省資源エネルギー庁は、交付金を来年度は年間10億円(限度額20億円)に増額するよう手続きを進めている。

 昨年10月、余呉町が誘致を断念した背景には県の反対があったが、今回の畑野町長の発言について、県企画調整課は「琵琶湖を抱える県としては誘致が適当でない、との考えは変わっていない」としている。
 高レベル放射性廃棄物は、原発の使用済み核燃料から出る「核のごみ」をいう。その最終処分場確保は原発事業の最大課題とされ、廃棄物をガラスで固め、ステンレス容器に封入して地下300メートルより深い層に保管することが計画されている。

余呉町長、誘致を再検討 放射性廃棄物最終処分場

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 余呉町の畑野佐久郎町長が、原子力発電所の使用済み核燃料を再処理した際に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、誘致を再検討する意向を町議会に示していたことが31日分かった。同町は原子力発電環境整備機構(東京都)の最終処分場候補地の公募に応じることを検討したものの、「琵琶湖のある県としてふさわしくない」と県の理解を得られず断念した経緯がある。

 畑野町長は8月8日の町議会全員協議会で、町財政が切迫している▽国全体で議論する場をつくりたい−などの理由で誘致を再検討する意向を示した。今月13日に開会する町議会で正式に表明した上で、町民説明会などを経て誘致への合意を得たい考え。同町は人口約4000人で、過疎化や近隣自治体との合併破たんなど財政再建が大きな課題の1つとなっている。

 最終処分場は同機構が平成14年12月に全国の市町村から候補地の公募を開始。応募した自治体には調査段階でも多額の交付金が見込めることなどから鹿児島県笠沙町など財政難にあえぐ自治体が公募を検討した。しかし住民の反対などで断念するケースが相次ぎ、正式に応募した自治体はない。

核廃棄物処理施設 東洋町でも応募の動き

http://www.kochinews.co.jp/0609/060910headline01.htm
高知新聞ニュース2006年09月10日より→cache

 安芸郡東洋町が高レベル放射性廃棄物の最終処分施設の候補地への応募を検討していることが、9日までに明らかになった。既に町執行部と議会は原子力発電環境整備機構(原環機構・東京)の職員を招いた勉強会を開いたが、正式応募するかどうかを含め今後のスケジュールなどは未定。同施設をめぐっては、高岡郡津野町でも候補地への応募を求める陳情書が同町議会に提出されている。県内の2つの町で応募に向けた動きが明らかになったことで、周辺自治体を巻き込んだ議論が活発化しそうだ。

 高レベル放射性廃棄物は、原発の使用済み核燃料を再処理してできる極めて放射性の強い廃液。原環機構はガラス固化体にして青森県六ケ所村の中間貯蔵施設などで30―50年間冷却した後、地下300メートルより深い場所に埋設。約50年かけて処理する計画だ。

 候補地に正式応募した自治体は全国でない中、津野町では応募を求める陳情書と誘致反対の陳情書が町議会に提出され、12日に町議会特別委員会で取り扱いが審議される。

 東洋町の田嶋裕起町長は本紙の取材に対し、原環機構が公募を始めた14年末の時点から候補地への応募に関心を持っていたと説明。今年4月以降、町幹部の意見を聞いた上で執行部として情報収集を進めてきた。

 8月上旬には同機構の職員を町役場に招き、執行部と町議10人全員が出席して勉強会を開催。施設や交付金の内容などについて説明を受けた。今月に入り町議会と田嶋町長が、あらためてこの問題を協議。田嶋町長によると、「議会と執行部が一緒になって、これからも勉強を続けていこうという総意が得られた」としている。

 現段階では候補地への正式応募を含め、今後のスケジュールや候補予定地など具体的な方向性は決まっていない。同町は今後、町民や周辺自治体に対する説明などを行っていくとみられる。
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 同施設は自治体から応募を受けた後、資料を基に過去の地震などを調べる文献調査(約2年)▽ボーリングなどによる概要調査(約4年)▽地下施設を設けての精密調査(約15年)などを経て、最終的に選定される。

 文献調査の段階で年間最大2億1000万円、概要調査の段階で同20億円(計70億円が上限)の電源立地地域対策交付金が、応募自治体や隣接自治体に交付される(国は文献調査段階の交付金を増額する方針)。

「放射性廃棄物地層処分シンポジウム2006 in 四国」を開催へ

EICネット「国内ニュース」7/217より←cache

 資源エネルギー庁は「放射性廃棄物地層処分フォーラム2006 in 四国」を平成18年8月25日に香川県高松市サンポートホール高松第2小ホールで開催する。時間は14時から17時まで。
 地層処分は、放射性廃棄物を地下数百メートルの安定している地層岩盤中の処分場に永久に収納する処分方法。
 今回のフォーラムは、高レベル放射性廃棄物とはどんなものか、なぜ地層処分が必要なのか、地層処分はどのように行われるのか−−について、多くの人に知ってもらうとともに、地層処分地選定について理解を深めてもらうことを目的としたもの。
 地層処分をめぐる状況などに関する概要説明の後、えひめエネルギーの会副代表の藤井宣恵氏、東北大学多元物質科学研究所教授の杤山修氏、資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室長の吉野恭司氏らが参加するパネルディスカッションを実施する。
 また会場の外には「高レベル放射性廃棄物地層処分模型展示車」を展示する予定。
 参加希望者は、住所、氏名、電話番号、放射性廃棄物地層処分に関する意見を記入の上、ハガキ、FAX、電子メール、資源エネルギー庁の「放射性廃棄物ホームページ」の申込みページ−−のいずれかで18年8月18日までに申し込むことが必要。宛先は四国新聞社広告局地層処分シンポ係(住所:760−8790(町名等不要)、FAX番号:087−833−8993、電子メールアドレス:koukoku1@shikoku-np.co.jp)【資源エネルギー庁
記事に含まれる環境用語
放射性廃棄物

高レベル廃棄物最終処分地の選定作業後押しへ、エネ庁が交付金拡充方針

電気新聞/ニュース7月21日付→cache

 経済産業省資源エネルギー庁は、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定作業を後押しするため、電源三法交付金による支援を拡充する方針だ。

 最終処分地の選定は公募方式で行われており、応募した自治体には「電源立地地域対策交付金」が交付される。現在、同交付金は選定作業の初期段階に当たる「文献調査」で年2.1億円を交付限度額にしているが、エネ庁はこれを十数億円程度まで拡充する見込み。応募期間などに一定条件を設けることなども検討する。07年度予算の概算要求に盛り込む。

 最終処分地の選定作業は、自治体の自主性を尊重する??公募方式??で行われている。

 最終的に処分地を決定するまでには「概要調査地区」「精密調査地区」「最終処分施設建設地」の3段階の手続きを行う仕組み。例えば「概要調査地区」の選定では、まず市町村自らが候補地として応募した後に、文献などから地層を調査する「文献調査」を実施。その後、文献調査の対象となった市町村の中から概要調査地区を選定する。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、02年末から全国の市町村を対象に、候補地選定に向けた公募を開始。これまで西日本地域を中心に複数の自治体が応募に向けた動きを見せたが、実際に応募するまでには至っていない。

 現在の最終処分計画では「平成40年代後半」をめどに最終処分を開始するとされている。概要調査地区も「平成10年代後半」をめどに選定するとされており、ここ1〜2年の間に市町村から応募があるかが焦点となっている。

 このため、総合資源エネルギー調査会経産相の諮問機関)原子力部会の小委員会では、国やNUMO、電力会社などは最終処分地の選定にむけた取り組みを強化することを決めた。

 今後、エネ庁は電源三法交付金を拡充するほか、幅広い国民への広聴・広報活動などを強化する。NUMOも地域の将来を描く「地域共生モデルプラン」を策定するなど、地元により密着した活動に力を入れる。原子力安全・保安院も高レベル放射性廃棄物の安全規制をまとめており、来年の通常国会に原子炉等規制法の改正案を提出する見込み。