この記事は、私たち窓口のサポーターである高橋眞知子さんよりご寄稿いただいたものです。
私の個人的な経験ではあるが、学校時代の歴史の授業は年号と教科書通りの既成事実を組み合わせそれを丸暗記するだけで、いたって四角四面のお粗末なものだった。
だから嫌いになった。
その偏見は長年にわたり、音楽史を学び始めたところでやっと解放された。面白さに目覚めたのである。
ここで一冊のオランダ歴史書をご紹介する、その前に私とこの国の関係についてひとこと記しておこう。
パリとアムステルダムを往復し始めたのが、もうかれこれ40年近く前のこと。
パリのとあるアンサンブルに所属していたがアムステルダムでも演奏仲間を見つけた。
二国間を練習や演奏会のためにあしげく通ったその結果、オランダ移住を決心したのである。
それ以来、仕事を通じて小国の北から南まで様々な都市、町、村に及ぶまで巡った。
そして年数経つほどにオランダの持つユニークな体質に魅入られてきた。
ついこの7月である。そこは東京の郊外八王子の書店。
目に飛び込んできた書籍があった。
読みたいものが向こうからやってくる、これは稀にある現象ながらそのタイミングの良さに、いや驚いた。
それが
桜田美津夫氏著、物語 オランダの歴史・大航海時代から「寛容」国家の現代まで(中公新書2017年5月25日発行)
である。
参考文献やオランダ関連年表を含めて全322ページ。
著者は1955年岡山生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。現在、就実大学人文科学部教授であられ、専攻は16〜17世紀オランダ史とのこと。
内容は16世紀から現代に至り、政治経済、宗教、美術、日蘭関係など多岐にわたる。
著者の言葉
「本書では、小国でありながらもしばしば世界の注目を集めるいまのオランダという国が、いったいどのようにして形づくられてきたのかを、努めて事実本位に描き出していく。歴史上の人物たちについては、なるべく本人の言葉を紹介するように心がけたが、引用文の邦訳は、特に断りがないものについては筆者自身によるものである」。
なるほど、挿入される書簡、言葉によって登場人物の所作や心情に血が通う。
状況把握がたやすくなる。
末文には著者から読者にオランダ語辞書の推薦もある。
オランダ在住者には必読書ではなかろうか。
2017年10月 高橋眞知子
物語 オランダの歴史 - 大航海時代から「寛容」国家の現代まで (中公新書)
- 作者: 桜田美津夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/05/18
- メディア: 新書
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