【COP16現地速報】COP16におけるモラレス大統領の演説(翻訳の一部抜粋と映像)


(写真:モラレス大統領が演説しているCOP16会場の様子)
出所:http://www.daylife.com/photo/05OK9fG4Afdn4?q=cancun+bolivia


 12月9日、カンクンのCOP16会場においてボリビアのエボ・モラレス大統領は以下のようなスピーチを行いました。なんと哲学的なスピーチでしょう。

 「社会運動は、政策を変えていく力となって来ました。帝国主義を終わらせ、力あるものを倒し、社会運動は生命と公正、尊厳のために闘争を続けていくでしょう。世界の民衆とともにある政府が、未来の世代のために一緒に闘っていかなくてはなりません」(モラレス大統領のCOP16会場でのスピーチ)。このスピーチには、世界の抑圧された民衆を代表して地球温暖化の危機に真剣に立ち向おうとするボリビア政府の姿勢が如実に現れています。以下、特に管理人が感銘を受けた部分を一部抜粋してご紹介します。ここでご紹介しているのは、スペイン語のビデオ映像から「開発と権利のための行動センター」の青西靖夫さんが翻訳・整理されたものから一部抜粋したものですので、スピーチ全文は以下の開発と権利のための行動センターのブログでお読みください。

【開発と権利のための行動センター】
ボリビア:訪日後にカンクンに向かったエボ・モラレス大統領」
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/12/post-3621.html

 なお、同日行われたモラレス大統領による記者会見の模様は以下のサイトで英語通訳でご覧になることができます(会場からはデモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマン記者が質問したりしています)。
http://webcast.cc2010.mx/webmedia_en.html?id=248

 デモクラシー・ナウ!でも記者会見(エイミー・グッドマン記者による質問へのモラレス大統領の回答)の模様を放映しています(モラレス大統領は相当お疲れの様子で大丈夫でしょうか?映像の最後にヴィア・カンペシーナのデモ行進が出てきますが、日本から参加した農民連の幟も出ています!日本の農民運動もカンクンで闘っています!)。

【デモクラシー・ナウ!の動画】カンクン気候サミットのボリビア大統領エボ・モラレスウィキリークスの外交公電が暴露した「帝国の外交」
http://www.democracynow.org/2010/12/10/bolivian_president_evo_morales_on_wikileaks

「国連気候変動会議でボリビアエボ・モラレス大統領が、京都議定書の延長を放棄することは環境や生態系の大規模破壊につながると警告しました。ボリビアは、気候会議の進展具合や米国が後押しした昨年のコペンハーゲン合意に対する一番の批判国になっています。記者会見では、モラレス大統領はウィキリークスで暴かれたボリビアに関する米国の外交公電について、さらにノーベル賞受賞者マリオ・バルガス・リョサからの最近の批判に対して、意見を述べました。」


(写真:COP16会場で演説するモラレス大統領)
出所:http://www.daylife.com/photo/06qyfyG9T4fWL?q=cancun+bolivia


COP16におけるモラレス大統領の演説(開発と権利のための行動センターのブログ記事より一部抜粋)
【動画】COP16会場で演説するモラレス大統領(telesurの映像より/スペイン語
http://cmpcc.org/2010/12/10/discurso-evo-morales-en-cancun-durante-cop16/

「もしここで京都議定書をゴミ箱に放り込むようなことをしたならば、私たちはエコサイド(生態系虐殺)とジェノサイドの責任者となってしまうでしょう。それは多くの人々を死の淵に追いやるからです」

「私たちは世界の人々の決定に従っていかなければなりません。ここ、閉ざされたドアの内側ではなく、人々の苦しみからほとばしる思いが取り入れられていない文書を押しつけるのではなく、人々の提案に、どのようにこの地球を冷やしていくかという提案に耳を傾けなければなりません」

「そこでこの機会に私は、第一回「気候変動と母なる大地の権利に関する世界民衆会議」(コチャバンバ会議:引用者註)の結論*について話をしたいと思います」

「人類は地球なしには生きていけません。しかし地球は人間がいなくても存在し続けます。階級闘争について議論する時代は終わりました。いま、共存、母なる大地との調和について、議論すべき時なのです。自然、森、母なる大地について」

「これまでの数十年にわたって、国連では人権について、市民の権利について、経済的、政治的な権利について、また近年では先住民族の権利について承認してきました。そして今の新しい世紀は、母なる大地の権利について議論すべき時なのです。その権利には、バイオ・キャパシティを再生する権利、汚染なき生命への権利、母なる大地の均衡への権利が含まれなくてはなりません。人類は、政府は、母なる大地の均衡と再生産を保障する責任があるのです」

「しかし心配なことはグリーン・エコノミーです。私たちは自然を守り、森を守り、地球・大地を守るためにカンクンにやってきました。私たちは自然を商品にするためにここにいるのではないのです。資本主義の延命のために、森を炭素クレジットに、自然を商品に転換するためにここにいるのではないのです」

「森、自然は世界の人々にとって聖なるものなのです。資本主義の延命のためにあるのではないのです」

「もし気候変動の真の原因、資本主義について分析しなければ、この先いくつ議論を重ねたところで問題を解決することはできないでしょう。しかし、もし政府がやらないなら、政府がやるべきことを民衆がやらなければなりません。未来の世代のために、大統領そして諸政府に対して、歴史を築くことを呼びかけます」

「社会運動は、政策を変えていく力となって来ました。帝国主義を終わらせ、力あるものを倒し、社会運動は生命と公正、尊厳のために闘争を続けていくでしょう。世界の民衆とともにある政府が、未来の世代のために一緒に闘っていかなくてはなりません」

「私は、各国の大統領が責任を担っていくであろうと信じています。多国籍企業のためではなく、世界の人々のために、生命のために、人類のために、未来の世代のために、大地を守るために責任を担っていくであろうことを。ここにいるすべての人が、世界の人々に希望を与えることを願っています」

*「コチャバンバ民衆合意」のこと(引用者註/コチャバンバ民衆合意の全文は以下の記事をご覧ください)
気候変動民衆会議・合意文書 全訳(開発と権利のための行動センターのブログ)
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/04/post-c4fb.html

(翻訳文:開発と権利のための行動センターの青西靖夫さんの記事より一部引用/全文は以下のブログでお読みください)
 http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/12/post-3621.html