プロ用HD/CINEMA映像機器と5D MarkIIや高画質家庭用テレビの狭間の妙な感じ





REDONEやノンリニアで沸いた数年前の熱狂はすっかり日常に吸収され
巨大な資本を投下して進めてきたデジタルシネマはある意味危機的だ
5D/GH1/LED-REGZAの部屋からInterBeeの会場に来ると感動がない
似た様に感じた人は多いと思うが、それこそが今の業務用映像機器の危うさの正体だ

5D MKIIやGH1がわずか数十万円で大衆化してしまった精細で立体的な映像は
本来数千万もする各社のフラグシップシステムを頂点とした商品体系をぶち壊した
アンダー100万カメラEX-1の高画質+メモリ記憶のショックぐらいがちょうど良かった
それなら最上位はシネサイズ+テープ、中心は2/3サイズ+専用メモリという
メーカーとしても採算の取りやすい価格体系で開発投資の流れも今まで通りだし
ユーザーもシネサイズを夢見ながらも自分に見合ったシステムを入れれば良かった
それがおまけで付けられたデジカメの動画機能の画質があまりに素晴らしすぎて
大切なのは従来のフローやブランドの信頼を継続する事より感動を伝えられる映像だと
しごく当たり前の事に気づいてしまった

しかし放送・映画・映像業界というのは何兆円ものお金が動く巨大な産業で
特に日本にとっては今や数少ない圧倒的なハードの世界シェアを持つ牙城である
ハイビジョンにしても1970年からNHKと機器メーカーが30年もかけて開発したもので
アナログのMUSEはデジタルの波によりおしくも世界規格を寸前で逃したが
現実的には日本の技術が世界標準となり圧倒的な競争力を持つ
しかもレンズからカメラ・編集・送出・テレビまでを全て国内メーカーで完結でき
デジタルシネマの流れでは今までドイツとアメリカが占めていた映画機材にも参入し
スチィールからテレビ・映画・上映まで映像機材に関しては全て日本で押さえるつもりだった

10年前フルサイズのデジカメを初めて販売したのはコダックだったし
この数年あたかも映像界のGoogleのごとく注目されたREDONEもアメリカメーカーだ

しかしいま映像業界に青天の霹靂と言って大げさでないショックを与えたのは
キャノンの世界最安フルサイズデジカメ5Dのモデルチェンジ時に付け加えられた動画機能だった
これはEPSONがプリンタ業界での勝負のためにPM-700というフォトプリンタを売り出したところ
世界中の銀塩フィルム業界をわずか10年程で消滅させてしまったことと何か重なって感じる
当時新宿のNSビルでPM-700の開発チームの方とお会いした時には
銀塩を駆逐するなんてことはあまりに大きすぎる話で本気で考えてはいない様子だった

InterBee2009自体もAdobe/Appleのブースも無く
不況だけではなく暗中模索による空白の様な静けさを感じる様な趣きだった
3Dテレビも相変わらず眼鏡かプリズム方式で何が進化しているのか分からない
4Kのパネルを見ても家にあるREGZAとの違いさえ分からず感動しない
システムに関しても相変わらず「テープからファイルベースへ」なんていってるし
まぁ10GbitLANやUSB3.0がもうすぐ立ち上がるから変わると思うけど
面白かったのは巨大なクレーンと
本物のPLマウントFUJINONを見た事だ
日本製映画レンズが本気で世に出ることは感慨深い




サウンドは二極化か
ミキシングコンソールからはシンボルであったVUメーターが消え液晶パネルに置き換わっている

DAWだと思えばまだいいが、タッチパネルでWindows7をパソコンより先に行ってる辺りが気になるし
なにより本当にWindowsが走っていたりする
MACはOSを外販していないしLinuxだと開発やメンテが面倒なので
Windowsをコンソールに使う流れはさらに強くなり、本当にパソコン化していく感じがする

しかしマイクやスピーカーだけはデジタルには出来ない

自作っぽいスピーカがとてもいい音を出していた

映画とスポーツ以外ではなかなか普及しないサラウンドだが
今までの様な傘の様なパラレルマイクでなく一体型の登場で普及しそうだ


三研のブースで聞いた花火大会の一体型マイクでのサラウンドには驚いた
花火はスピーカーでは再現できない音と思い込んでいたが
あれはスピードや音圧よりも空間再現の問題なのだなと思った
個人的には3次元もいいけど既に環境の出来ているサラウンドの魅力はまだまだマーケットがあると思う


なんだかよくわからないがレーザーでスピーカーを計測していた



それにしても未だにボーカルマイクの最高峰は半世紀も前から使われているノインマンU47というのは素晴らしい
ステージ用ボーカルの定番はSM58、高校時代は5万円ぐらいしたが今は9,800円で買える
モニタースピーカーはYAMAHA-NS10Mの時代が長く続いて今は何かと期待して見に行ったが
ジェネリックやダイナオーディオなど入り乱れて定番は無いようだ
ヘッドフォンはSONY MDR-CD900STが絶対的だが、スピーカーに定番がないのはやりにくいと思う
何故NS10Mが終息したか知らないが今時は超小型でもしっかり低音が出て驚くが
モニタと比べるとスピーカのキャリブレートは極端に難しい
だからこそこんなに沢山のメーカーがあるのだろう
しかし何故ヨーロッパのスピーカーはこんなに高価なのか
と話がそれてしまいました・・・