ではどこにアイデンティティを預託すればよいだろうか

人のサービスにアイデンティティを託すな、という話があったようなので、ではどこにアイデンティティを預託すれば良いのかを考えたいと思います。これは死なない研究をする上において本当に重要な問題だ。個人的な感触からいえば、既存のシステムに頼ってアイデンティティを他人や他人との関係に預けすぎると容易に死へ至る("貴方への愛こそが私のプライド"、は本当に酷い歌詞だと思う、しかしこれがすばらしい歌詞だというあなたの意見を否定するものではありません)、遅くても不惑の年を迎える前に自らの大事なものを絶たざるを得なくなる。かといって、もっと遠い音楽、たとえばピクシーズに託せば趣味が分かりやすすぎるといわれ、はてなを揺るがす大騒動に発展し、宗教団体に託せば預託を取り下げた後もライター稼業に影響するなどの不利益を蒙る。これがここ最近はてなで私が得た知見です。よって、アイデンティティの預託先はよくよく考えなければならない。
結論からいうと、アイデンティティはその道のプロに託すべきです。世の中のありとあらゆる集団や、動きに対してアイデンティティは預託できる。直接接触が無くても思い入れさえあれば良いのでそれはもちろん架空の存在に対しても行える。国であるとか、Web 2.0であるとか2chであるとか、あめぞうとか、ゲーハーとか。*1。それら預託先の大半はアイデンティティの受託によって運営を継続している営利団体ではない。しかし、世の中にはアイデンティティの受託によって成立している営利団体、いわばプロの、アイデンティティ受託業者も多く存在する。具体的には各種プロスポーツチームやハロープロジェクトなど。私としては特にハロープロジェクトの利用を強く推したい。強く推せる。
プロ野球選手に対して毎年毎年あんな大金(二億とか三億とか!)を払っているのに何故プロ野球は成立しているのか、はよくわからないので特に触れませんがハロプロが何故成立しているのかはわかる。ハロプロが成立しているのはおそらく写真の売り上げが膨大だからです。写真一枚一枚は安価ですが、ハロプロに近付くためには大量の写真を手に入れなければならない。格好いい言い方をさせてもらえば、写真一枚一枚はハロプロに近付くための階段の段一段一段です。ファンはアイデンティティを託す対価として写真代を支払っているわけではないがいわば暗黙にそれを強制される。しかしもちろん見返りは大きいのでこれは幸福なシステムだ。本来は対価を受け取る方法がない、アイデンティティの預託から収入を得、システムが存続できる。プロ野球についてはどうして成立しているのかわからないがただで応援して一喜一憂できるのだから、かなり優れている感じはする。しかしこれを突き詰めると私は巨人ファンにならなければいけなくなるので特に考えません。
伝統的で露骨なアイデンティティ受託産業にアイデンティティを託すなどということは私のより上位なアイデンティティに関わるのでそれをすることは出来ない、という意見も理解できますがそこは割り切ってしまった方が良い、割り切ってしまおう、ということです。それくらい強固で安定したシステムがそこに成立しているので。
ところで、上記のような観点からはてなはなぜアイデンティティ預託先として優れていないかというと、アイデンティティの預託に全くコストがかからないため、他のユーザにとってはそのようなユーザが単に不利益として存在することになるからです。であるから、単純に考えるなら、はてなは開発者の写真を売り出せば良い。どうでしょうか。

*1:余談ですが、国から職場、さらにその他へのアイデンティティ委譲は非常に急激に起こったのでこれをひとつ官から民へのモデルケースとしてというような面白エントリを書ける人は書いて欲しいです