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貧困問題(の研究と実践)をやってきている著者が、日本の貧困問題と、その捉え方を分かりやすく示したもの。
文章は分かりやすいし、理論的にも色々な論文やデータがふまえられているしで、非常にいい本。
途中出てくる事例で、涙が出た。42ページから掲載されている、貧困のため老いた母親を殺して自殺を図った人の例。自分が母子家庭で育った一人っ子ということもあるんだろうけど。それ以上に、この人の例は、さまざまな社会的圧力によって貧困になったことがよく分かる例で、人を貧困にし、結果として殺してしまう現在の社会に腹が立って涙が出た感じ。
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- 作者: 湯浅誠
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/04/22
- メディア: 新書
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著者は、この問題に対して問題意識を強くもっており、その問題意識を元にきちんとした論を組み立てている。
「自己責任論」だとか、「生活保護受ければいいじゃん論」だとか、「生活保護は不正受給ばかり論」だとか、「貧しい人も負担しろ論」に対する反論もきちんとされていて。
また、「貧困に陥る人は『溜め』がない場合が多いので、『溜め』を確保していくことが重要」だとか、あるいは、「人は、『五重の排除』(教育課程からの排除、企業福祉からの排除、家族福祉からの排除、公的福祉からの排除、自分自身からの排除)によって貧困状態に至る」ってことなど、著者がこれまで主張してきた論もきちんと説明されている。
おそらく、「貧困をどうするべきか」ってことには、著者と異なるスタンスを取る場合もあるだろうけど、どんなスタンスを取る場合でも、「現代日本の貧困とは何か?」ってのを考えるための基盤として、共有されるべき本かと思った。
あと、
なぜ貧困が「あってはならない」のか。それは貧困状態にある人たちが「保護に値する」かわいそうで、立派な人たちだからではない。貧困状態にまで追い込まれた人たちの中には、立派な人もいれば、立派でない人もいる。それは、資産家の中に立派な人もいれば、唾棄すべき人間もいるのと同じだ。立派でもなく、かわいくもない人たちは「保護に値しない」のなら、それはもう人権ではない。生を値踏みすべきではない。貧困が「あってはならない」のは、それが社会自身の弱体化の証だからに他ならない。
貧困が大量に生み出される社会は弱い。どれだけ大規模な軍事力を持っていようとも、どれだけ高いGDPを誇っていようとも、決定的に弱い。そのような社会では、人間が人間らしく再生産されていかないからである。誰も、弱い者イジメをする子どもを「強い子」とは思わないだろう。
人間を再生産できない社会に「持続可能性」はない。私たちは、誰に対しても人間らしい労働と生活を保障できる、「強い社会」を目指すべきである。(p.209)
ここ大事。