〔仮説社PublicRelations〕No.225

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〔仮説社PublicRelations〕No.225
2016年3月31日
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★目次★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

『たのしい授業』1月号の反響
 「編集委員のおたより」を中心に(後編)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 『たのしい授業』について,毎月,主に編集委員からですが,た
くさんの感想をいただいています。でも,『たのしい授業』の「編
集委員会ニュース」欄で紹介できるのは,スペースのつごうで,ご
くごく一部。そこで,このメールマガジンで,そのほとんどの部分
をご紹介させていただいています。
 今回は,2016年1月号の反響(後編)のおたよりを紹介しま
す。かなり長文です。
 なお,「おたより」は原則として原文のままです。表記などは統
一していません。


◇◇◇ 2015年1月号「他人(ひと)とつきあう」 ◇◇◇


●荒居浩明(神奈川・小学校)
 今月号で一番よかったのは,
◆松田心一さんの「仮説実験授業に学んだ学校経営」です。
 仮説実験授業に関わって気になることの一つが,「仮説実験授業
と関わる人間は,教師でなければならないのか,または常に子ども
たちと関わっている人でなくてはならないのか」ということでし
た。と言っても,普通にそうでない人もたくさんいます。例えば,
仮説社の社員さん,退職された方々。これから教師をめざす方々。
それ以外にもいます。だから,気にする必要ないじゃないかと思わ
れますが,どうしても,授業書をするか否か(できる機会があるか
ないか)ということが気になります。
 授業してないやつが言うなよ! なんて言われないとは思います
が,授業してない側からすると,暗黙の了解でそう思ってしまわな
いかということ。言えるものも言えなくなってしまう。授業してい
る側からすると,してない人の発言に勝手にそういう前提で話を聞
いてしまうなどのことはありはしないかなどと考えてしまいます。
 前置きが長くなりましたが,そういう意味で,今回の松田さんの
「仮説実験授業に学んだ学校経営」の話は,たいへんたのしく,ド
キドキしながら読ませてもらいました。
 具体的なことはありすぎて書くのを控えますし,まだ続くのでそ
ちらを読んでからにしたいです。今言えることは,松田さんのよう
な方が,自分の学校の校長先生だったらいいなぁということです。
そう思えるような内容だっただけに,「仮説実験授業から学んだ」
ということが,たいへん考えるに値する,世の中でも,社会でも通
用することがたくさんあるのではないかということです。技術的な
ことだけではなく,むしろ,仮説実験授業から学んだ哲学というも
のなのでしょうか。
 小見出しになっている「若い人が意欲のもてる職場に」「親のク
レームで困ったら校長に」「〈研究の自由〉を保証する」「先生よ
りも子どもの味方」「〈全職員による話し合い〉よりも大切なこ
と」などなど,どれをとっても,仮説実験授業から学んだことが生
きている,いつも自分たちが思っていたことが,実践されていると
いうことです。こういう校長先生が増えるといいなぁと思えるので
す。う〜ん,次回がたのしみです。
◆佐竹重泰さんの「同僚とのつきあい方」は,とても具体的に何を
したらよいか,気にしたらよいかをずばり書いてありました。同僚
とのつきあい方って,どの世界でもとても大切なこと,無視できな
いこと(しない方がよいかもしれないこと)なので,こういうこと
を教えてもらえると本当に助かります。
 「いいことはいいと伝えよう」,特にこれは大事だなぁと思いま
す。
◆小川洋さんの「穴うめシャウト」は最高です。ずっと前から推薦
していましたが,やっと載ってくれてうれしい限りです。空いた時
間にも,○○会のようなときでも,バスの中でも,いろいろなとき
に使えます。
◆峯岸昌弘さんの「心に残る授業“卵は立つか?”」
 立春前にして,いい話題だと思います。峯岸さんは,『たのしい
授業』誌に載るということは,本当にたのしいことなんだから,ぜ
ひやってみてみんなに知らせようとされています。
 できそうでなかなかできないことですが,子どもたちの関係は本
当にいいのが目に見えます。また,定番でやっているというのは,
本当に多くの子たちが喜んでくれること,授業している方もたのし
いということがよくわかります。実践記録が心を打ちます。
◆宮地仁美さんの「1年生の涙」が,とてもいい雰囲気で読めまし
た。笑顔もいっぱいだけど,涙もある学校生活ですからね〜。
 晃君のお父さんの職場での「サソリの標本」の結果が気になる。
どうしても知りたいって感じ。
◆岡田恵一さんの「人を受け入れる幅」。
 いい話でした。特に,恵一さんから見ると「いい雰囲気のクラ
ス」なのに,管理職から見ると,「えらいこっちゃ」……というと
ころが,納得できる。基準が違うんですよね〜。
◆小笠原智さんの「ゲンシマンお祝いカード」。
 とってもたのかったです。仮説社フェアで実際に行なってわかっ
たのは,ひもを引っ張ってカードをだすときの音です。
 「ピュン ピュン ピュン ピュン ピュン」とはじけるような
音が,とってもかわいくて素敵です。それだけでもたのしくなりま
す。ぜひ作ってほしいです。
 ラミネーターを使うのがコツかな。
◆皿谷美子さんの「おりぞめアートフラワー」。
 まだやったことはありませんが,仮説社フェアでやっているのを
見たら,とてもたのしそうでした。こういうことを思いついて,実
践して,報告してくれるのは本当にありがたいです。
 それ以外には,
◆板倉先生の「私の研究史と発想法」
◆畑中真一さんの「子どもと先生の笑顔のために」
がよかったです。
 次回の松田心一さんの記事が特にたのしみです。

●岡田克己(神奈川・小,校長)
◆11月の編集会議の時話題になった裏表紙,なかなかいい具合に
なりましたね。ちょっとした「仮説紹介」にもなっていて感じいい
です。また,表紙も明るく楽しげでリフレッシュにぴったりです。
 さて,1月号の感想です。
◆松田心一「仮説実験授業に学ぶ学校経営:たのしい授業・たのし
い学校をめざして(上)」
 校長は学校のあらゆることの責任者であり代表です。名誉なこと
や嬉しいこともあるけど,悩みや苦労もあります。
 その昔,「君が代・日の丸問題」で対立関係にあり,管理職とい
う名称からか,先生たちのやる気を削ぐ悪者という感じでした。
が,今や学校はいじめや子どもの貧困,学力低下など喫緊の課題に
対し,一丸となって事に当たらなければならない時代になってきて
います。そんな折,校長の胸の内をこうした形で読めるのはありが
たかったです。
 お母さん先生を支援したり若い先生の意欲をかき立てたり,ク
レームの処理を買って出たり研究の自由を保障したり……。
 そして,何よりも子どもの味方である立場を貫いている所がすご
く嬉しくなりました。これが,「仮説実験授業に学ぶ」ということ
なのですね。
 読んでいると,聞き分けのない保護者に対応したり横暴な先生・
教育長の理不 尽な要求に立ち向かったり,ドキドキする場面も出
てきます。どの校長にもこんな場面が必ずあります。でも,避けら
れません。誰にほめられるわけでもない,そっと胸の奥にしまって
おく虚しいできごと。そんなこともあります。でも自分の正しいと
思う道を貫いているのだということを知ってほしいと思います。
 確かにせこくて威張ってばかりというような人もいますが,そう
いう人でも(だから?),イヤな思いもいっぱいしているものです
よ。
◆佐竹重泰「同僚とのつきあい方」
 こういうことなら自分でもできる,そんなことがいっぱい詰まっ
ていました。
板倉聖宣「私の研究史と発想法」
 毎回楽しみにしています。ますます板倉先生の生き様が好きにな
ります。

●栗原正治(群馬・小,教頭)
◆松田心一「仮説実験授業に学んだ学校営─たのしい授業・たのし
い学校をめざして(上)」
 この記事を一番はじめに読みました。自分の現在の立場から,
「全くそうだよな」と思えることが多かったです。各項目だけをあ
げても,管理職の目標とすべきことだと思えるものです。管理職は
みなさんに気持ちよく働いてもらうことが仕事だと思います。具体
的にどうするのかは,子どもたちに気持ちよく学校生活を送っても
らうことと基本的には同じことだと思います。だから,仮説実験授
業をすることで学んだことを応用すれば,当然うまくいくはずだと
いえると思います。
 「どうすれば気持ち良く過ごせる学校になるか」といろいろ試し
ていける日々は,なかなかたのしいです。
 学校経営での実践報告や研究が,もっと出てくるといいと思いま
す。これまで,学校経営という視点からの記事はあまり無かったで
す。
 でも,大量退職時代を迎え,管理職にされてしまう人や,やって
みてもいいかなと思う人などが,授業書をやっている人の中からも
出てくるでしょう。また,管理職にならなくても学級で子どもたち
や同僚と付き合うときに応用することがあるかも知れません。です
ので,こういった記事が時々載るといいなあ(「あなたが書けば」
といわれそうですが)。続編に期待してます。
◆佐竹重泰「同僚とのつきあい方」
◆岡田恵一「人を受け入れる幅」
 この二つもよかったです。ボクも子どもの頃から人と付き合うの
は得意な方ではありませんでした。でも,授業書のおかげで自分に
自信をもつことができて,いつの間にか,他人とそれなりに会話を
したり,付き合ったりできるようになったようです。
 この二つに書かれているように,授業書は「いろいろな人がいる
ことの良さ」にも気づかせてくれると思います。
◆中村 文「先生のよさを出して─《三態変化》の授業でのできご
と」
 この校長先生ステキです。一体何がこの先生のゆとりを生み出し
ているのでしょうか。それと,これまでを振り返って,管理職批判
でなく自分の成長と感じ取れる中村さんもすばらしいと思いまし
た。
◆林 泰樹「月の顔─「学校がいやだ」と言う子とつきあう」
 いつも林さんの視点はすごいなあと感心しますが,今回もそうで
した。浩次君を排斥せずに,いいところを見つけて受け入れていこ
うとするのがすごいです。
「1対1で話をしているときは,けっこうかわいい表情をする」と
いうことを発見できるところに感心しました。それも,授業書があ
ればこそ何だという実例付きなのがいいです。
板倉聖宣「私の研究史と発想法─偶然におきた事柄をどうキャッ
チするか(3)」
 相馬藩の人口の話は,当時どこかで読んで,社会の問題も実験で
きるんだと感動したのを思い出しました。こういった研究の経緯を
改めて読めるのもたのしいです。

●日吉 仁(佐賀・小学校)
◇まず表紙にビックリしました。正直言うと,慣れるまで時間がか
かりそうです。(笑)違う本みたい。そうそう,裏表紙の次郎さん
の表情が絶妙で笑いました。「はみだしたの」は,すごく読みやす
くなったなあと思います。
◆林泰樹さんの「月の顔」は,自分の普段のことについて考えさせ
られました。浩次君のエピソードを読むと,相当なお子さんだと思
うのです。給食を食べな い,学校の床に触れることができない,
というのは普段の生活でかなり支障が出ます。加えて勉強はしな
い,何か不幸なことがあると担任のせいというのは,並大抵の大変
さではないように思えます。これが毎日続くと,ぼくなら嫌いに
なっちゃいそう。
 でも,浩次君と林さんのやり取りを読む限り,林さんと浩次君の
関係は悪くないように感じます。林さんの普段の対応がいいからで
しょうし,仮説実験授業をすることで,「自分にとって,有益なも
のを提供してくれる人」と認められているんでしょうね。
 ぼくの今年のクラスには,浩次君ほどじゃないけど大変な人が複
数います。毎日いろいろな事件やトラブル,担任のぼくの思い通り
にならないことが起こっているのですが,ぼくの場合は結局叱るだ
けで終わっていることも多い…と思いました。授業だけでなく,子
どもの立場に立って対応することも,仮説実授業から学んでいきた
いと思いました。
◆久朗津祥江さんの「大丈夫だー!」はよかったです。帰りの会
のシンゴくんも素直でいいなあと思ったし,「大丈夫だー!」と答
える友だちもすばらしいけど,久朗津さんの電話のやり取りがいい
です。実験結果という見方を子どもに示せるあたり,懐が深いとい
うか,すばらしいです。こういう発想も学びたいです。
◆岡田恵一さんの「人を受け入れる幅」もよかった。ぼくの今年の
クラスはけっこうめちゃくちゃで,ぼくもクタクタ。来年受け持ち
たいという人は,たぶんいないと思われるのですが,ぼくは最近に
なって「来年も受け持ちたいなあ」なんて思っています。それは
やっぱり,仮説実験授業を通じて,人を受け入れる幅が大きくなっ
ているからだと思います。毎日,同じようにできないことがあった
り,トラブルがあったりするので,「あ〜もう!」という気になり
ますが,その一方でちょっとしたうれしい出来事もいっぱいありま
す。それは,いろいろなことをやらかされても,子どもたちに対す
る〈いいイメージ〉がぼくにあるからじゃないかなあと思います。
仮説実験授業なしで,子どもたちをそんな風に見ることができただ
ろうか…と考えると,ぞっとします。岡田さんの資料を読んで,仮
説実験授業に出会えて本当によかったと思いました。
◆松田心一さんの「仮説実験授業に学んだ学校経営」もよかったで
す。「若い人が意欲の持てる職場に」というところが特によかった
です。こういうことをビシッとやってくれる校長さんのいる学校に
行きたいですね(幸いぼくの学校の校長さんもとてもいい方で,近
隣の学校からうらやましがられています)。逆に言うと,そういう
校長さんが当たり前ではないということなのでしょうが…。

●長沼麗子(茨城,会社員)
◆穴うめシャウト(小川さん)
 問題集,むずかしいけれど解きたくなりますね。解けないような
問題もつくりたくなります。6文字や7文字の問題だとかえってや
さしくなってしまうのかもしれませんね。おとなもついハマってし
まいそうです。
◆仮説実験授業に学んだ学校経営(松田さん)
 わたしは会社員ですが,上司・部下の関係,会社の方針・命令等
で学校と似たような悩みを抱えながら業務に当たっているので,と
ても力づけられました。長いものに巻かれろ,見て見ぬふり,聞こ
えても聞こえぬふり,でやり過ごしてきたために,自分もまわりも
大きな損というか罪をつくってきてしまったと思います。
 おや変だぞと感じたら,軌道修正を図る勇気を持って行動してい
くこと。実際は摩擦や反発もあって苦しい立場に置かれることもあ
るでしょうが,正しいこと,楽しいことのためなら力が出せそうな
気がしてきました。つづきを読むのが楽しみです。
◆心に残る授業 卵は立つか?
 これまでも何度か卵立ての記事はありましたが,感動が伝わって
きます。驚き,うれしさ,意外性,発見等たくさん詰まった実験で
すね。写真からも真剣さ,集中力が感じとれます。
◆天然物理生活(吉野さん)
 だるま落としが下手くそなわたしは,衝突の力学を読んで,だる
ま落としの達人になりたい,と思いました。物理はむずかしくて苦
手だなあ,とあきらめていましたが,この連載記事のおかげで関
心・興味が高まってきました。次回も期待していますよ。
◆同僚とのつきあい方(佐竹さん)
 いいことはいいと伝えよう,という言葉がとても気に入りまし
た。気持ちを言葉にして伝えることは大切なことだと最近ようやく
わかってきました。特にいいことこそ相手にしっかり言うことでお
互いの気持ちがぐっと近く,あたたかいものになると思います。共
有文化も上手に持ち込んで,楽しさの相乗効果もはかりながら,人
と仲良くつき合っていきたいなあ,とあらためて思いました。
◇表紙が一新し,ちょっとさびしい気持ちになりました。グラフで
見る世界は,ときどき掲載されるとのことでほっとしました。今月
の問題? 期待しております!

●荒川康夫(埼玉・小学校)
 1月号は,紙面変更とあって,力の入った記事が多かったです
ね。特に印象に残ったの記事は次の5つです。
◆松田心一さんの「仮説実験授業に学んだ学校経営」
 管理職のレポートは久しぶりです。ずいぶん際どい話もされてま
すね。
 校長の役割を,子どもの側に立って考える。先生がたを地域・保
護者から守る。この2つの発想から事に当たれば,きっと理解して
もらえる,理解してもらえなくても主張を通せば(無理なく)理解
者が増えるということが分かりました。
◆中村文さんの「先生のよさを出して」
 文さんもずいぶん理解のある校長先生に当たったものです。校長
といっても保身に走る頭の固い人ばかりではないことを知ったこと
と思います。中村さんの普段の実践がこういう校長先生を引き付け
たのかもしれませんよ。子どもと一緒に授業を受けたりして,たの
しい校長先生ですね。
◆岡田恵一さんの「人を受け入れる幅」
 どんな意見も発言を保証する仮説実験授業をしていると,人を受
け入れる幅が出てきますね。管理職にどう評価されようとも(本当
にそうなのか分かりませんよ)自分のクラスの子が「みんないい
子」に見えるというのはとっても素晴らしい自己評価だと思いま
す。
◆宮地仁美さんの「1年生の涙」
 《足はなんぼん?》の授業でふだん大きな声を出さない友梨佳
ちゃんが大きな声で「ありがとうございました」とトンボにお礼を
言ってる姿は本当に感動的でしたね。
◆林泰樹さんの「月の顔」
 学校がいやだという子との付き合い方,ほんとうに難しいです
ね。ちょっとのことでこだわって何もやりたがらない子っているん
ですよね。その子の性質と特徴を見抜き,軽い感じで付き合う──
これってなかなか難しいですね。はたから見れば甘やかしているよ
うに見える。でも大事なのは,少しでも授業や行事にたのしく参加
してくれることですね。
 そこを考えれば,付き合い方が見えてくる。これは担任した人で
ないと分からないかもしれません。

●長崎平和(東京・塾講師)
◆グリーンページの手書き,板倉さん語録。忍藩といえば,藩がで
きる前にあった忍城の豊臣軍との攻防をすぐに思い浮かべます。そ
うです。小説『のぼうの城』です。先に映画を見て,それから原作
を読んで,思わず忍城まで行ってしまいました。そして石田治部が
陣取った古墳の上にも登って,そっから忍城を眺めたりしてきまし
た。◆吉野さんのページ。予想を確かめるために実験する。まさ
に“研究”じゃないですか。吉野さんは塚本さんに出会えてラッキー
でしたね。たぶん吉野さんは知らないと思うけど(^^;),「予想が当
たる感動は予想したからこそ味わえる」って,『科学と方法』に
載ってたヘラクレイトスの言葉「予想しなければ予想外のことは見
いだせないだろう」になんか似てますね。
◆松田さんのお話はすごく興味深かったです。ぼくはずっと学校外
の先生だったので,学校内のことはわかりません。よく塾業界の人
たちは学校の先生を批判してますが,学校の先生は授業外のことで
大変なんだなあ。
◆久朗津さんの記事も,とってもよかったです。まさに「仮説実験
授業を2年間続けてきたから」ってェの。うらやましいと思ってし
まった。ぼくがいる業界では「2年続ける」なんてあり得ない話で
すから。
◆岡田恵一さんの記事を読んで,ふと「実験がなけりゃァ,討論は
ねェよな」って思いました。「論破」って言葉が流行ってるようで
すが,「論破したって実験しなきゃほんとにその論がよかったのか
判らないよ」って思うぼくも仮説実験授業にどっぷりな人間なんで
すね。

●上澤篤司(東京・小学校)
◆特集「他人とつきあう」の企画,いつもに増して興味深く拝読し
ました。企画をありがとうございました。
 現場に入ったとき,子供の指導で悩むことはあっても同僚との関
係で悩むことなど考えもしませんでした。そうしたことで悩むの
は,自分か相手か,どちらかが「あきらかに変人」である場合だ
け。自分は「あきらかな変人」ではないので(笑),そうした人に
会わなければ大丈夫……などと,大きな勘違いをしていました。
 ところが,経験を積んできたはずの私も,この話には悩むことが
多いです。サークルやその他教員の集まりで最近よく話題に出るの
がこの手の話です。それも,若手教員ばかりでなく,ベテランも。
悩んでいる知人が素晴らしい実践をしている人であったり,相手が
特に「変人」でもなく,周りと上手くやっている人であったりとい
うこともよくあり,考えさせられることが多いです。
 また,期間をおいて企画して欲しいテーマでした。
◆中村文さん「先生のよさを出して」
 中村さんの正直な心の描写が微笑ましく,楽しく読みました。校
長先生も度量 の広く,ステキな方だということが伝わります。最
後の振り返りで,
「人間関係が上手くいかなかった頃を振り返ると,私自身が『みん
ないろいろ言ってくる!この人達みんな私の敵だ!』
『この人達とは分かり合えない!仲良くなりたくない!』という雰
囲気をもろに 出していたのかな?という気もします」
と,書かれているところ,納得しました。
 腹が立つし,悲しいけれど,そこを超えて,いかないと,前へは
進めないんですよね。
◆佐竹重泰さん「同僚とのつきあい方」
 ベテランでもこうした小さな気遣いをしているという点,とって
も参考になりました。そして,その,小さな気遣いこそが大事なの
だということも。
 「自分とは教育に対する考え方ややり方が違うタイプの人のいい
ところが見えてくるようになったのは,仮説実験授業をする中で
〈自分にとって苦手な子どもたちの素晴らしさが見えてくる経験を
たくさんしてきた〉ことが大きいと思っています」
という言葉,痺れました。そうですよね。子供たちのこうした場面
をたくさん見てきているはずなのに底を広げて考えていくことをあ
まりしていなかった気がします。ありがとうございました。

●高木仁志(街角かがく倶楽部:瀬戸)
◇今月号から表紙とかフォントとかイメージ刷新という感じです
ね。現代風と言うか,若者向きと言うか,今までの『たの授』に慣
れきっていた者からすると,どうしても違和感がぬぐえませんが,
これもきっと“慣れ”の問題だと思います。しばらく見守りたいと思
いました。
◆まず心に残ったのは,「配膳式カルタ」の記事。「おたよりの
ページ」に高野和廣さんが「配膳式カルタ」のことを〈熱いものが
こみあげてきました〉という形で紹介されていましたね。実は,今
年に入って最初の書写の授業で,その「配膳式カルタ」のことで感
動したことがありました。その日は,今年最初の授業だったので,
心の中で「〈漢字の書き順〉カルタを使って配膳式カルタをしよう
かな〜」とは思って教室に入ったのですが,ちゅうちょして,まず
〈書写ノート〉を進めていたのでした。
 すると,一人の男の子がつかつかと前に出てきて,「お正月はカ
ルタでしょ」と言うではありませんか。ボクは感心してしまいまし
た。1,2学期と「配膳式カルタ」で楽しんだことを忘れていな
かったのです。それで,急遽ノート書きは止めて,〈配膳式カル
タ〉を始めたというわけなのです。
 そしてさらに,それと同じことが,次の書写に行ったクラスでも
起きたのです。
 今度の子は「お正月はカルタでしょ」とまでは言いませんでした
が,「カルタはしないの?」と催促したのです。それで,ここでも
早速〈配膳式カルタ〉を始めたというわけなのです。まさに,「恐
るべき〈配膳式カルタ〉」だと思ったことでした。
◆長い記事では,板倉先生の「私の研究史と発想法」の中で,「私
は,〈偶然に知った知識を活かす〉ことを心がけて,その知識をも
とにして新しい研究をする機会をうかがっていたので,普通の研究
者よりもずっと物知りになったのです」という言葉が心に残りまし
た。
◆その「偶然」という言葉が,山田正男さんの「アリがタイなら倉
庫」の中でもやはり「偶然をチェックすることが大事だ」という板
倉先生の言葉が紹介されていました。
 その「(偶然という)少数例をバカにしないで追っかけると,大
きなモノがあるかもしれない」という,何か創造的なことをするた
めのとてもいい“ヒント”をもらったなあという気がしました。
◆それから,佐竹重泰さんが「さらっと“たの授”」の中で紹介され
た木下富美子さんの「わりばし手品」は準備も簡単で,ちょっとは
まってしまいました。子どもたちにも人気で,たのしいひとときを
過ごすことができました。超オススメのものづくりです。

●久朗津祥江(北海道・小学校)
◆今年から表紙,思い切りましたね! なんかPHPとかいう雑誌
でしたっけ?あんな感じがします。
表紙の感想
・特集や記事がわかりやすいです。
・いかにも「教育雑誌」という感じがします。(いいか,悪いかわ
からないけど)
・表紙も写真がいいな〜と私は思います。例えば,子ども達が楽し
そうに実験結果を眺めている写真とか。
1月号の感想
◆人を受け入れる幅/岡田恵一さん
 知らず知らずのうちに自然と仮説実験授業って,子ども達同士が
お互いを受け入れる幅が広がっていきますね。
 岡田さんとまったく同じように感じます。そして,教師も同じよ
うにいろんな子ども達を受け止められるようになってきて。
 紹介してくれた林 泰樹さんの文がまたいい。学級経営を円滑に
しようと思って仮説実験授業をやっているわけではありませんが,
自然とその効用はクラスの中で生まれます。たぶん,それは「科学
は,民主的な社会にのみ生まれ,民主的な社会を守り育てる」から
なんだろうなと思います。
◆月の顔/林 泰樹さん
 なかなかの男の子で,大変で面倒くさそう……などと思ってしま
う私。なんかやって注目されたいんだろうなぁ〜。私だったら,め
んどくさくなって,「じゃぁ,そこで見てて」なんて言って,あん
まり構わないでいたりするかも(冷たいなー)。でも,さすが仮説
教師歴30年の泰樹さん。受け入れる幅が広いなぁと思いました。
ちゃんと,突っ込んであげたりして。
 仮説実験授業をしたからって悪事をすぐにやらなくなるというわ
けではないけれど,少しでも機嫌がよくなるような授業が増えた
ら,彼も変わっていくんでしょうね。
◆仮説実験授業に学んだ学校経営/松田心一さん
 この記事を読んでちょっとカルチャーショックの私。
 私の勤めている十勝は組合が強いので「女性職員の優遇措置法」
は新卒時代(25年前)から当たり前のことして認知してました。
 校内人事も割と本人の希望を優先しつつ,校内事情を考えて校長
さんの突飛もない考えだけでことが進まないようになっています。
(校内人事について,本人の希望優先にしちゃってもめることもあ
るんですけどね……)
 「仮説の会に行くのに年休でこようと思ってたけど,年休取るの
に管理職にあれこれ言われイヤな思いした」なんて話も聞いたこと
ありますが,ここ十勝ではそんなことありえません。
 「権利を行使して何が悪い?」とあれこれ言われたときには絶対
に誰かが管理職に文句を言ってくれます(というより私は自分で言
えるけど(笑))。
 だから,こちらの管理職は平教員に「法律知ってないの
かー?!」とイジメられるので,割とちゃんと勉強しています。
 組合がめんどくさくて,イヤになっちゃうこともありますが,こ
ういう法律なんかをちゃんと教えてくれたのは組合でした。だか
ら,いつやめようかな〜なんて思うこともあるのですが,教えても
らった義理でなかなかやめられない私。松田さんの記事を読んで
「高い組合費を払っているけれど,それなりに恩恵はあるのか
な?」なんて思い,以前三郎さんが「組合は保険みたいなもの」と
言っていたことを思い出しました。保険も相対評価してみないとわ
からないな〜。
久朗津さん12月号の感想
 12月号の感想も送ろうと思いながら時が過ぎ・・・
◆戦争とその終わり/根本 巌さん
 すごく勉強になり,よかったです。ちょうどポツダム宣言のこと
が気になっていただけにタイムリーでした。
 研究会は知りたいことを教えてくれる人がいるのでほんとにあり
がたい組織だなぁ〜と思います。
◆イメージすることのたのしさ/伴野太一さん
 資料の書き方がとてもいいです。子ども達の意見だけじゃなく,
その途中途中に伴野さんの「心の声」があるのがいい!
 教師側の視点が見えて資料が格段に面白く読めますね。私もマネ
します。
◆51パーセントで大満足/小川 洋さん
 仮説実験授業研究会は生き方まで教えてくれますね。ありがた
い。

●岡本賢司(徳島・小学校)
◆「月の顔」(林泰樹さん)
 子どもたちと生活していると,子どもの言動に対して「どうしよ
うか…?」と一瞬判断に困ることがあります。そのこと自体は小さ
なことでも,そのときに杓子定規な対応をしてしまうか,子どもに
合ったうまい対応ができるかはとても大きなことだったりします。
なかなか,いつもいつもそのうまい対応がとれるわけではないので
すが,長年,仮説実験授業を続けてきたせいか,幾つかの選択肢を
もつことができて,最悪の選択肢は選ばずにすむようになってきた
なあと感じています。林さんのように子どもたちに接することがで
きればいいなあと思いながら,授業書を積み重ねていきます。
◆「仮説実験授業に学んだ学校経営」(松田心一さん)
 ボクは,管理職になることを拒み続けてきました。それは,自分
のまわりの管理職を見ていて,ちっともたのしそうにも誇りが持て
ているようにも見えないからです。そして,自分のやりたいことを
やりぬくことはできそうにないと思うからです。それでも,ときど
き松田さんのような管理職の話を聞くと,「すごいなあ」と思いま
す。こういう,たのしそうな管理職が増えてくれると,「ボクもな
ればよかった」と思えるかもしれません。そうなれば,子どもたち
にとってたのしい学校が増えているということになるのでしょう。
◆「私の研究史と発想法」(板倉聖宣さん)
 毎月たのしみにしています。板倉さんがどのような問題意識を
もっていたのか,またさまざまな場面でどういう判断をしてきたの
か,とても興味深いです。今回は,遠山さんが亡くなったあと,
『ひと』から手を引いたあたりの話がとても気になりました。もち
ろん,板倉さん本人の思い・判断の部分ですからそこに踏み込むこ
とはできませんが,情に流され,まわりの期待に流されるのがふつ
うだと思うのに,そうしなかった。その判断の基準がどこにあった
のだろう…と,いろんなことに流されっぱなしのボクは考えてしま
います。

●樋口みどり(広島・ヨガ講師)
◆表紙,ちょっとびっくりしましたが,写真もあって,わかりやす
かったです。
◆佐竹重泰さん「同僚とのつきあい方」
 まず,佐竹さんが50歳を過ぎられていることに驚きました。 
私はほとんど全国大会に行ったりしないので,皆様の年齢をあまり
知りません。文章だけだを読むと,佐竹さんって,35〜40歳位か
な〜と今まで思っていたので,ビックリです。考え方が,既成の枠
にしばられてないのでしょうか? 小原さんもすごーく若い人の感
性のような(年齢を知っているだけに,いつもすごいなあと思いま
す)。
 この文章の中に引用されている板倉さんの言葉もよかったし,
「イバらず,ツッパらず,なまいきにならず」のエチケット,ま
た,〈共有文化〉をもってきて仲良くなるといいなど,わかりやす
いです。
 最後のほうに,「自分とは違うタイプの人のいいところが見えて
くるようになったのは,仮説実験授業をする中で,自分にとって苦
手な子どもたちの素晴らしさが見えてくる経験をした」からだとい
うことが書かれていましたが,私もそう思います。これはとても大
きなことだと思います。
◆中村 文さん「先生のよさを出して」
 校長先生の小さいガッツポーズ。「大人」の対応。いい学校なの
でしょうね! 私も福岡出身なので,福岡の学校が楽しそうだと嬉
しいです。
◆岡田恵一さん「人を受け入れる幅」
 この題に示されたことは,仮説実験授業を考える上で,大事なこ
とだと思います。〈仮説〉って,科学が学べること以外にもステキ
なことが沢山あって,「人を受け入れる幅が広がる」ことも,その
一つです。林さんの引用文「いろんなタイプの友達がいて,授業が
楽しく進んでいく」……実感です。
◆久朗津祥江さん「大丈夫だー!」
 〈仮説〉で人を受け入れる幅が広がるにともない,人は色々だと
いうことがわかる。それを子どもたちがわかる。なんと素晴らしい
ことでしょう。
◆松田心一さん「仮説実験授業で学んだ学校経営」
 女性の先生への声かけや,トイレ掃除など,だまっていれば表面
的にはいいことも,ちゃーんと冷静に見て,キチッと言ってくれ
る。みんなが安心して働けますね。
 進路の希望も,自分の子どもでも経験しましたが,本人の希望を
無視して,よかれと思ってすることは,いい結果にはなりません
ね。やはり本人ですね。だから,大変だったと思いますが,教育長
にもピシャっと言ってくださって,子どもも保護者も嬉しかったと
思います。

●飯田哲夫(山梨・教育委員会
◇1月号の特集は「他人とつきあう」というものです。テーマはと
ても広く,ある意味,誰にとっても切実なので,どんな内容か期待
できます。子どもとの関係が教師・担任にとっては一番ですが,最
近は同僚との付き合い,管理職との付き合いで悩んでいる方も多い
かと思います。子どもとの付き合いは,「たのしい授業(仮説実験
授業)」を両者の間に挟み込むことで,良好になります。
 が,大人同士の関係は難しい。
 逆に,仮説をしているということで,ぎくしゃくする場面もある
のでは……と本誌を読む前に予想しています。
 さて,どんな記事でしょうか。
◆(1)佐竹重泰(小学校)「同僚とのつきあい方」
 佐竹さんの気持ちに共感しました。仮説実験授業やたのしい授業
で同僚と繋がれる同僚はそう多くない,というか少ない。ある種の
孤立感は否めない。人間関係が得意でないというタイプは少なくな
いし,むしろ得意でないから,仮説実験授業やたのしい授業の価値
に惹かれるということもある。引用された板倉さんの次の言葉が光
ります。
「今の教育界では,教師仲間の間での協調関係を第一に重んずると
いうのが当たり前になっているようであります。しかし,それは教
えること自身の喜びというものがほとんど発見されていないからだ
と私は思うのです」
 この言葉の意味が実感できるのは実際にたのしい授業を実践をし
た人ではないでしょうか。
 だからといって,人間関係に摩擦を起こす必要はないわけで,
「イバらず・ツッパらず・ナマイキにならず」という小原さんの提
唱したエチケットは重要。
◆(2)宮地仁美(小学校)「一年生の涙」
 子ども一人に焦点をあてた記事が読ませる。特に友梨佳ちゃんの
観察記録が読ませます。「失敗や間違いを極端に嫌う感じ」,「勉
強ができるのに,ほとんど手を挙げません」というタイプの子が
「仮説の問題は間違っても前々平気みたい」に変わること,ここに
は人間関係とも関わる問題がある。真面目で潔癖なタイプは,場の
空気に同調することが赦せないのではないか。仮説は自分を曲げて
同調しなくても,社会的に参加できる。そこに自由を感じる,とい
うことでしょう。
◆(3)中村 文(小学校)「先生のよさを出して」
 中村さんの学校の校長先生の態度,距離感,そこに好感が持てま
した。管理職が授業を見てまわるというのが,教職員評価と連動し
て,山梨でも常態化しています。見に行く管理職にも遠慮(?)も
あり,見に来られる教師にも緊張が…という実態が多い気がしま
す。が,中村さんの校長先生の感じはとても自然に思われました。
こういう参観が望ましいなと思います。
 管理職が「こんな授業でないとダメだ」という強いものがあると
堪りません。大抵こういう管理職は「授業の形式」で判断します。
「授業の前に,今日の目当ての確認があるか(板書されている
か)」,「一斉授業でなく,ペアやグループなど相互の学び合いを
適切に取り入れているか」等々。中村さんの校長先生にはこういう
点がなさそうです。たぶんこの校長先生が参観する基準はそういう
形式でなく,子どもたちが楽しく,「とても素直に育っている」か
どうかなんでしょう。そこがとても良いなと思いました。
◆(4)久朗津祥江(小学校)「大丈夫だー!」
 6年生のシンゴ君,やはり個人を追跡した記事が良い。ついやり
すぎて迷惑をかけているから,周囲の好感度も低いシンゴが,「ま
たシンゴか〜」という空気に耐えられず,無断帰宅して「オレなん
かいないほうが」と自分を責める。だが「探しに行こう」という何
人かの子どもがいる。先生はシンゴに予想させる。「みんなはいな
いほうがいいと思っているか?」と。ダメな人間は一人もいないと
か,みんなはシンゴを認めているとか,語りかけないところが良
い。「何をするにも仮説実験」の方法論が生きている。人の心はわ
かるようでわからない。見えない影に怯えて自己肯定感を下げるこ
とはないと伝える記事。
◆(5)林 泰樹(小学校)「月の顔」
 浩次君によくつきあっているなと思わせる記事。反抗的な非協力
的な態度のすべてが「学校がいやだ」に起因していると思うと,
ちょっとばかり気遣いをしても仕方ない気がするが,そこは林先
生,ほんとうによくつきあっているなと思う。わずかだが接点が見
いだせる場面にほっとする。いやな学校の楽しいところ,学校と担
任との接点になるのが,仮説の一場面(「燃焼」と「月と太陽と地
球」)であること,やっぱりと思わせる。
◆(6)松田心一(元中学校)「仮説実験授業に学んだ学校経営(上)」
 職場の中での人間関係,教育行政との人間関係,その生々しい部
分が書かれています。特に,教委との関わりで,研修を認めるか,
進路指導の圧力の場面。ふつうなら力関係で,反抗しないでいる方
が楽です。しかし,それで満足できない松田さんです。押しつぶさ
れず松田さんはきちんとぶれないで対応します。それは佐竹さんを
はじめ多くの仮説の教師の気持ちと同じです。
 基本は判断の優先順位が明確に確立されているところ。自分の立
場より,職場の公平性,子どもの気持ち,その原点がぶれないこと
が信頼を生んでいる。続きが楽しみです。
◆(7)板倉聖宣「私の研究史と発想法」
 板倉さんのすごい所は,社会科学にまで斬新な研究を切り開いた
こと。特に人口に着目した点。その発想の源流に英国の『政治算
術』との出会いがあったという。ここから二宮金次郎につながって
ゆくところが研究のスリリングなところ。そういう部分が興味深
い。
 雑誌『ひと』は僕自身が巨摩中出身だったこともあり,白井さん
の歴史のプランで授業を受けたころもあり,また僕の中学の信玄堤
アウシュビッツ,美術の作品など載ったこともあり,なるほどな
あ,そういうことがあったんだ,と思いました。

●池田修二(神奈川,小,特別支援)
◆まず表紙,新鮮ですね。目を惹きます。本文は行間が広くなりま
したか? 老眼になっているので,とても見やすいです。ありがと
うございます。内容は読み応えのある記事が多かったと思います。
◆「仮説実験授業に学んだ学校経営」松田さん
管理職のあっち場からの学校経営,集団生活への思い。「みんなが
動きやすくなるためには?」が随所に感じられました。〈下〉も楽
しみです。
◆「私の研究史と発想法」板倉さん
11月になくなった井上正規さんとの話を思い出しながら読みまし
た。公立学校を仮説の先駆者として,井上さんへの追悼文を書いて
いますが,板倉さんの文章と重なる部分もあるので感慨がありま
す。他に,
◆佐竹さんの「同僚とのつきあい方」
◆坂下さん紹介の「エナジースティック」
が印象的でした。



編集委員ではありませんが……3人

●木下富美子(埼玉・新人育成教員)
新年号は読みごたえがありました。
◆中村文さんの「先生の良さを出して」が現場で若い人がどきどき
しながら,でも,仮説実験授業をえらびとった自分を信じて,たの
しい授業を待っている子どもたちの方を向いて歩いているのが素
敵。応援します。
◆松田心一さん「仮説実験授業に学んだ学校経営」。これはまさ
に,仮説実験授業をやってきた人が自分の頭で考えるくせがついて
いて,自分の道を選ぶ生き方をしてきたら,教育長であろうが,静
かに原則を曲げない,子どもの方を向いていく,まさに仮説実験授
業を体現している人生だと思いました。産休の先生への対応も柔軟
であっぱれ。松田心一さんにヒューマン賞。
◆久朗津祥江さんの「大丈夫だー」も感じ入りました。
子どもたちも先生も仮説実験授業を受ける中で,自分と同じように
考えない人もいる。それが当たり前と言い切れるあったかさを共有
してていいです。
◆佐竹さんの「同僚との付き合い方」
板倉聖宣先生の「私の研究史と発想法」
◆吉野由起さんの「だるまおとしに夢中になる」
もよかったです。
『たの授』を読み終わって,明るい今年が見えてきました。

●葉貫正憲(鹿児島・元校長)
◆中村文さん「先生のよさを出して」
仮説実験授業やたのしい授業でこどもたちにたのしさを存分に提供
している中村先生。新しい校長先生の自分に対する評価が気になっ
て,何を聞かれても答えられるよう,Q&Aを考えながらの面談,
ドキドキ感が伝わってきました。
いい校長先生ですね。原子分子の授業や国語の時間に《三態変化》
をやっているのをひそかに応援してくれているのですから。校長と
しても,子どもたちと先生が好ましい関係であることに喜んでいな
がら,内心はとまどっている部分もあるかも。しかし,そういうこ
とを正面切っていわないのは,他の先生とは一味も二味も違った中
村先生の授業の魅力を感じているからなのでしょう。
校長としては,いくら授業がたのしくても(いいと思っても),一
応,指導計画というものもありますし,それを守ってもらうのも校
長の役目ですから,なかなか複雑な心境ではないかと思われます。
校長さんに「あっぱれ」ですね。ただよくあるのは,校長は好意的
にみてくれていても,ゴマスリの上向き教頭だと,いろいろと難癖
つけられることがあるので気をつけなくてはなりません。たぶんこ
の校長さんは,教頭には中村先生を評価していることをきちんと話
しているのではないでしょうか。
中村先生のような先生を応援できるのは,この校長さんのような形
でしかできないのではないでしょうか。こういう校長があちこちに
登場してくれることを期待したいと思います。
◆松田心一さん「仮説実験授業に学んだ学校経営」
仮説校長の学校経営奮闘記は,さすが松田さんだと感心しました。
まず法的根拠を先生方の勤務に有利になるよう考えること,ここが
よかった。
先生って(自分も管理職になるまではそうだったけど)授業のこと
には本気に なるけど,法的なことには無頓着になりがちです。校
長の中には,授業を空けられたくないため,あるいは,教委にいい
顔をしたいため,ちょっと先生方にイジワルなことをいったりする
人もいるからなあ。また,先生方も自己規制して自分 から休みを
とろうとしなかったり,無理をしてしまったりということがありま
す。それが普通だと思っているようです。ですから,松田校長さん
のようなことに出会うとビックリしてしまうのでしょうね。一事が
万事の感ありです。

●松田心一(鹿児島・元校長)
◆板倉さんの「私の研究史と発想法3」で,「仮説実験授業をやり
さえすれば〈たのしい授業〉ができる」と板倉さんご自身が確信さ
れたのが1963年とのこと。仮説実験授業を提唱された直後である
ことに改めて驚きました。仮説実験授業の成果に自信を得て「これ
からは科学史よりも科学教育の改革に専念したい」と上廻さんに決
意を述べられたことを見聞きしていましたが,それでも再発見した
ような感慨を覚えました。「アリガタイなら倉庫」とも関連して,
〈偶然のキャッチ〉で思い出したのは,最近の日本のノーベル賞
賞者の談話で聞くのは,ほとんどが「偶然の発見(=キャッチ)が
キッカケで,その追求の成果」ということです。板倉さんの言葉と
重なる感じがします。だから,仮説実験授業もノーベル 賞級であ
ることは間違いなし!!
◆林さんの「月の顔」を読んで,林さんが「焦らず,オタオタシナ
イデ,動揺することなく」浩次君に対応しているのがとてもいいで
すね。でも実際に担任としては大変だろうと想像しますが,「月に
一度くらいはたのしい授業の時間が作れたらいい」という林さん。
この余裕もきっと長年仮説実験授業に取り組んできた先生ならでは
の豊かさではないでしょうか。
◆久朗津さんの「大丈夫だー!」では,シンゴが自宅に帰ってし
まった時の電話での会話がいいです。「自分なんかいない方がい
い」と思い込んでるシンゴに,予想を立てさせて実験させてみる。
確かめさせる。とても良い方法だと思いました。仮説実験授業を2
年間続けてきて,先生と子どもたちが大きく成長している姿が読み
取れて胸を熱くしました。
◆岡田さんの「人を受け入れる幅」を読みながら,私自身も岡田さ
んと同じように仮説実験授業を通して〈子どもたちや同僚とのつき
あい方〉に幅ができ広がった一人だと思っています。だから,ワガ
ママな自分をそっとしておいてくれる環境,職場,社会,つまり個
人を尊重することの大切さを学び取らせてくれる仮説実験授業のス
バラシサを改めて確認しています。まさしく授業を通して民主主義
を身につけてしまう仮説実験授業の凄さを感じます。
◆佐竹さんの「同僚とのつきあい方」で,小原さんがアドバイス
ている「イバらず・ツッパらず・ナマイキにならず」は生き方の極
意かもしれませんね。いい言葉です。それを座右の銘として(?)
実践してきた佐竹さんもステキですね。私がこれに気付いたのは
40代になってから。それも仮説実験授業や板倉発想法を生き方に
関連付けて考えるようになってから。おかげで他人の評価を気にせ
ずに,自分のやりたいことをやれるようになってきたように思えま
す。
◆中村さんの「先生のよさを出して」もよかったです。校長先生の
素敵さもさることながら,中村さん自身が自己ガードしていること
による付き合いのまずさの原因を自覚し,そこから成長していく姿
がとても素敵です ね。
◇結びに,私の「仮説実験授業に学んだ学校経営」についてです。
仮説社の渡辺さんを中心に編集部がよくまとめてくださったおかげ
で,いろいろな方々から好評を得ています。正月をはさんだことも
あって,年賀状に「とてもよかった」とか「続きが楽しみです」な
どと添え書きをいただいたり,直接電話やメールでエールを送って
くださったり,この3週間ほど反響の大きさに驚いています。身に
余る光栄を得ています。ありがとうございました。後編が心配に
なっています。
 
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
仮説社のメールマガジンをお読みくださいましてありがとうござい
ます。弊社発行の月刊誌『たのしい授業』や書籍をお読みくださっ
ている読者のみなさまや,仮説実験授業を実践,あるいはこれから
実践してみたいと考えている方などに,弊社の新刊情報を少しでも
早くお知らせできたらと思い,このようなメールマガジンを発行し
ています。そのほかにも,『たのしい授業』の情報,新しい実験器
具やおもちゃの情報もいち早くお伝えできればと思っています。当
メールマガジンへのご要望などございましたら,下記メールアドレ
スにお寄せくださいますようお願いいたします。
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