メディアに頼るの、やめてみるよ!


 一つ雑談を。
 
 今回のガーナ戦(10月4日)の日本代表選考に関して、ぼくは一つの実験をしてみます。それは、「報道を根拠にしたメンバー予想を控える」ということです。報道は、“出来る限り”読みません(ケガ人等、オシム監督の思惑とは関係ない情報は仕入れます)。


 理由は3つあります。「オシム監督のほうがはるかに(選手の)情報を持っている」こと、「メディア情報にはバイアスが掛かっている」こと、もう一つ「我々が確かな情報を手にできる“部分もある”」ことからです。これについて、一つずつ順を追って説明していきます。


【1】オシム監督のほうが情報を持っている


 言うまでもないことです(笑)。オシム監督は、J1の毎節最低2〜3試合には必ず足を運んでいる。それだけでなくビデオを手配し、間違いなく全試合をチェックしているはず。それらの情報は全て、オシム監督のインテリジェンスを通じて咀嚼され、取捨選択され、蓄積される。オシム監督は、「毎週土日に膨大な情報量を蓄積している」わけです。日本中の誰も真似できない質と量で。


 オシム監督が手にすべき情報とは「試合における選手のパフォーマンス」です。就任4試合の傾向を見る限り、試合出場のない選手の選考はない。オシム監督選考のヒントは、ピッチ上にたくさん転がっている、ということになります。


 そうなれば、圧倒的にメディアのほうが情報が少ないことは、言うまでもありません。プロ中のプロであるオシム監督が1試合に見る情報量と、彼らが把握する情報量は、まったく比較にならないわけです。


【2】メディアにはバイアスが掛かっている


 メディア・リテラシーの基本ですが。


 メディアにとってのオシム選手選考の手がかりは、「得点者」「関係者によるコメント」「オシム会見コメントの勝手な解釈」です。特に後者2つは、選手選考の文脈において非常に多い。オシム監督が、メンバー選考についてほとんど口を閉ざしているためです。だから、メディアは「関係者」によるコメントによって推測・伝聞記事を作成せざるをえない。選手選考についてメディアが流している予想は「伝聞推定」により成り立っており、必ずしもピッチ上の分析をした上でのものではありません。


 これまで、我々はこのような作られ方をした情報という「商品」に頼る必要がありました。 それは、我々が「時間がない」からにほかありません。しかし、現状ではそれにズレが生じ始めています。オシム監督は、Jリーグからのメンバー選考を中心としている。そしてオシムは代表合宿に集まるメディアの誰よりもJリーグを見ている。一方メディアは、全試合にリソースを割けない。幾つかの会場では、通信社からの短信に頼らざるをえないケースも多いわけです。そうなると、いったい彼らが報道している情報が一次情報なのかどうかすら、定義づけできない。


【3】我々が確かな情報を手にできる“部分もある”

 そこに、我々の可能性が生じます。インターネットが発達し、ケーブルテレビやCS放送も普及した今、ピッチ上の分析は自分たちの手でも可能です。独自情報とはいえないですが、「ピッチ上の情報」そのものは、メディア(の内部の人間)が物理的にフォローしきれない部分までカバーできる可能性があるわけです。

 しかし、それでは「時間がない」という我々のディスアドバンテージは解消されません。そこで、ぼくは一つの提案をしてみます。「各クラブのサポーターに情報網を持つ」ことです。信頼の置ける情報源(サポーター)を獲得し、彼らから「彼らの目でみた情報」を取得することです。このやり方では確かに「プロの目」による情報は得られませんが、場合によってはメディアによる情報よりも確かな一次情報を得られます


 もちろん、リスクもあります。サポーター情報そのものにもバイアスが掛かっている可能性があることです。ですが、それは「背負うべきリスク」だと思います。「学園祭で出されたカレーで腹を壊す」リスクとでも言いましょうか。ですが、店屋物の寿司で食中毒になるリスクだってあるのです。情報という食べ物にはリスクが付き物。だからこそ「背負うべきリスク」なのです。


 実際、ぼくはそうしたリスクを背負った上で情報源を持ち、発行されている出版物を幾つか知っています。それらの出版物の精度は、少なくとも大手メディアが垂れ流す報道よりもはるかにディープで、信憑性を感じるものです。


「メディアはああ言ってるけど、あいつはケガをしている」「報道されていないけど、あいつはものすごく調子がいい」そういう選手は、ぼくがJリーグ何試合かを観るだけでも何人かピックアップできました。こうしたやり方をすれば、ぼくたちは少なくとも「オシム時代のメンバー選考」において、メディアを凌駕する情報網を持てる可能性があるのです。なんとなく、ワクワクすることではありませんか?


 もっとも、その情報網の作り方までは提示することはできません。スタジアムで出会った人、紹介された人、一緒に飛び跳ねた人、ネットで出会った人、あいさつした人、議論をかわした人の中から、信頼でき、信頼してもらえる人間関係を作るしかありません。


 ということで結論。皆さん、「ともだちを大切にしましょう」(笑)。以上、つまらない雑談でした。

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