グレゴリウ〜ウラノポリ

6時半起床。9時頃まで朝ご飯を待つことになる。この日は日曜だったためか、フィーストの日だったようだ。かなり豪華な食事が朝から出た。普通のギリシャのレストランに行ったらでてくるようなものにありつくことができた。ジャジキ(ヨーグルトとニンニクとキュウリがベースト状にされたもの)、ムサカ(ナスとひき肉の料理)、ギリシャ風サラダ、桃、白ワインである。どれもおいしかったが、歩いたあとに食べた他の食事に比べたらちょっと物足りなかった。やっぱり疲れと空腹は食事をおいしくする。ただ、もちろんここの食事はおいしかった。結局アトスでとった食事はどれもおいしかった。


9時半過ぎに船が来る(このために朝ご飯を食べ終わったらすぐに出てきた)。運良くキャンセルが出てウラノポリまで行けることになる。ダフニという港町で出国手続きをして、いよいよアトスを出ることになった。来た道をどんどん船が引き返して行く。アトスが後方に大きく見える。ずっと大きく見えていたが、ちょっと目を離したらすごく小さく見えた。その瞬間僕はアトスを出たことを感じた。どんどん小さくなって島は視界から消えた。その間になんとなくアトスで親切にしてくれた僧侶達の顔が浮かぶ。何故か特にプロドロムで会ったひげの薄い若い僧侶を思い出す。彼の物腰の柔らかいがはっきりとした世界観を持った話し方を思い出す。彼の人生はそこでいつか終わることになるんだろう。毎日を祈りに捧げて。それで自分は大丈夫だと思える強さ。何故か泣きそうになる。僕はこれから俗世界でもがきながら自分の信じられる世界を見つけていかなくてはいけない。