東京建築士会女性委員会公開シンポジウム


昨年から参加させていただいている東京建築士会の女性委員会主催で、5月19日(土)に「東京 -事前復興とコミュニティ」というタイトルでシンポジウムを行います。講師は、早稲田大学教授で事前復興まちづくりを提唱していらっしゃる佐藤滋先生、阪神大震災後の復興で東尻池コートという下町型集合住宅を設計された女性建築家の柴山直子さん、コミュニティデザインに日本各地で取り組まれている山崎亮さんです。東日本大震災を受け、東京での震災にいかに備えるべきか、ということを考えたとき、建築的な対策と同時に、協力して迅速に復興するための方法や、震災前に取り組んでおくべきこと、なども大きな課題です。日々ニュースなどで首都直下型地震南海トラフ地震などの巨大地震を想定した被害予測などが報道されていますが、まずは東京の現状を理解し、事前に取り組めること、日頃から培うことのできるコミュニティなどを考えるよい機会だと思います。お時間のある方は、ぜひ会場に足をお運びください。建築士会の会員の方はもちろん、一般の方、学生の方も大歓迎です。
申し込み等の情報は、http://www.tokyokenchikushikai.or.jpをご覧ください。(MK)

「雨デモ風デモハウス」 を見てきました。

KMKa2012-03-11

東京小金井市に建つ「雨デモ風デモハウス」を見学してきました。「雨デモ風デモハウス」は、雨や風、太陽光、太陽熱といった自然のエネルギーを利用して、冷暖房にかかるエネルギーを削減する「エクセルギーハウス」の技術が導入されたモデル住宅です。カフェが併設されていて、ライフスタイルやエクセルギーハウスを体験できる市民に開放された施設です。住宅で使用するエネルギーを削減する技術や工夫が盛り込まれたプロジェクトで、雨水冷房、太陽温水給湯と暖房、詰らない樋、ビオトープ、ゴミゼロカフェ、天然冷蔵庫など、住宅全体の温熱環境の形成に関わる技術から、樋や冷蔵庫など部位や機能に限定された工夫など、全体から細部まで様々な取り組みが盛り込まれた住宅です。
一番の特徴は、温熱環境の形成の仕方にあります。屋根の上には暖房用と給湯用の集熱パネルが載り、床下には3トンの雨水を貯めるタンクがおかれています。その雨水が冬は温められて住宅の壁や床を暖め(見学したときは室温18.1℃、天井と壁は21℃)、夏は2重になった天井裏に敷かれたファイバーグラスでできた布地を雨水で湿らせることで蒸発散効果を促し、小屋裏通風窓を開けて自然風を流し、小屋裏の空気を冷やす、という仕組みになっています(夏は室温が30℃くらいで天井と壁は26℃くらいだそうです)。吹抜けの天井は、冷放射に効果的な金属板で仕上げられています。実際に見学したときの体感としては、内部空間全体が暖かい(温度差が少ない)、エアコンによる風の不快感や音もなく静かで、空気が安定している感じがしました。
話として面白かったのは、キッチンのすぐわきにつくられた「天然冷蔵庫」です。外から見るとガラリ戸でつくられた倉庫といったところですが、内部の床と棚板がエキスパンドメタルでつくられていて、冬は外の温度で野菜やビールなどを冷やす、というものです。冬は温められた室内では食べ物が腐ってしまうから冷蔵庫にしまう、というある種の矛盾した行為を現代人はしている、ということで、自然の中に置けば腐らないのだそうです。ただし、現在は流通の過程で冷蔵庫に保管されるため、一端保管された食べ物は腐りやすくなるので、なかなか難しいそうですが、地元で栽培される食材などが地元に流通するしくみをつくれば、流通の過程において大型冷蔵庫で消費されているエネルギーの削減につながり、社会システムとしては、ものすごく省エネになるのだ、とのことでした。
省エネルギーには大きく二つの流れがあると思います。一つはどんどん過酷になる気候変動の中で快適な室内環境形成のために高効率の機器を採用して省エネルギーを実現するもので、もうひとつは少し不安定な室内環境(「不安定」というのは自然の外気の影響を多少受け入れるため、室温や湿度の変動は受け入れる、という意味)でも、自然のエネルギーでできるだけ賄おうというものです。震災後は自然エネルギーへの依存度が高まる傾向がみられますが、どちらが正しいとかいう問題ではないとおもいます(多分どちらも正しいのです)。どちらも電力やガスといったエネルギー消費を減らすという点では、方向は同じです。ただ実際に住宅を考える場合は、住まい方や住む地域によってある程度選択に迫られ、その違いによって大きく住宅をつくる方向は変わります。そこを間違えると、せっかくの高い設備が無駄になったり、設備不十分で不満を抱く結果となってしまいます。多様な省エネルギーの思想や最新技術が巷にあふれている昨今ですが、住まい方や地域性を十分把握した上で、省エネルギー技術や設計の工夫を取捨選択することが一番重要だと思います。(MK)
夏に冷放射する吹き抜けの天井
外部に開いた「天然冷蔵庫」

イケアの製品を上手に使う

KMKa2012-02-22


12月に完成したかば桜のキッチン、オーダーキッチンですが随所にイケアの既製品を使っています。
ひとつはシンクの上。ガラスのパネルを開けると・・・ステンレスの水切りが2台吊ってあります。
水切りをシンクの上の吊り戸内に設置してほしいというお施主さんからのリクエストがあり、吊り戸の幅いっぱいに金属製のカゴを付けることも検討したのですが、結構な幅がある上に、お鍋なども載せるので強度が心配でした。そこで、思いついたのがこのイケアのGrundtalシリーズのカゴ。かなり頑丈な作りで、お皿を立てやすく、水も切りやすくなっています。通常は壁にポールを取り付けて、そこに引っ掛けるようにできているのですが、今回ポールは上部に取り付けています。ポールをもう一本足して、その上にまな板を置けるようにしました。ポールには計量カップやフキンなども吊るせますし、イケアのカゴは簡単に取り外せるので、丸洗いも楽にできます。そして、キッチンの作業が終わったらガラスパネルを閉めれば、全部隠せます。イケアの既製品はとってもリーズナブルなので、コスト的にも◎で、お施主さんにも喜んでいただきました。(写真は上がパネルを閉めたところ、下が水切りカゴが見えているところです。)

次はこのキッチンのウォークイン・クロゼットについて報告します。(KM)

宮古島エコハウス

KMKa2012-01-22

宮古島エコハウスを見学しました。これは環境省の「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」によるモデルハウスで、宮古島の市街地と郊外に2棟建てられています。地域の気候風土や敷地条件にあわせて自然エネルギーを活用するように設計された住宅で、設計は地元の建築家伊志嶺敏子さんです。沖縄は、省エネルギー地域区分は6地域(蒸暑地)で、気候区分としては4地域(温暖地)の東京とはだいぶ違うので、断熱性能等の要件はだいぶ違ってきますが、住まいのつくり方やしつらえの仕方には共感できる部分が多くありました。
沖縄の島々は、サンゴ礁、砂浜、防風防潮林というように段階的に外海から守られています。さらに台風の強風を弱める防風林が家の廻りを囲み、「アマハジ」と呼ばれる犬走り、深い庇に覆われた縁側というように、島の外側から家の内部にいたる段階的な調節帯があり、過酷な自然環境から住環境を担保する知恵がいくつも重なっています。伊志嶺さんは、このような沖縄の住まい方の一つとして、外部環境からの「緩衝帯」を積極的にプランニングに取り入れて設計されています。花ブロックと呼ばれる沖縄で多く見られる穴あきブロックでサービスコートをつくり、日射を遮蔽したり、風を弱めながら内部に取り入れられるようにしたり、大きな庇の下で雨をよけながら半外部の生活を楽しむことができるような仕組みづくりが魅力的な仕掛けとなっていました。東京の夏もどんどん過酷になってきている昨今では、こういった「緩衝空間」を設けることは有効で、日射を遮ったり、視線や多少の雨を遮りながら通風を促すといった半外部空間を取り入れる工夫は積極的に取り組む課題だと思いました。
(写真上)郊外型エコハウスの軒下のテラス
(写真下)市街地型エコハウスのリビングから玄関をみたところ。玄関扉の外側の格子引き戸で視線をさえぎりながら玄関引き戸を開けて通風を促す。


(MK)

デザインの女子力

あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくおねがいします。
昨年はいろいろあって大変な年でしたが、是非今年は良い年にしたいですね。
KMKaも1月より、オープン・スタジオを始めました。(予約申し込み制・無料。詳しくはHPをご覧下さい。)
お話をしていく中でも、住まいや周りの環境をより楽しく豊かにするお手伝いができればと願っております。

年末には「住宅・インテリアの解剖図鑑」という本を上梓しました。この本は住環境の中の家具やしつらえを見直すことで、住みやすく居心地のよいインテリアができます、と紹介する本なのですが、紹介している作品は11人の女性デザイナーの作品です。裏テーマは「デザインの女子力」。今まであまり知られていない、モダニズムの女性デザイナーのデザインを掘り起こし、現在の生活にもあてはまるように見直そう、という試みです。

私たちもデザインの女子力を発揮できるよう、頑張りたいと思います!(KM)

住宅・インテリアの解剖図鑑

住宅・インテリアの解剖図鑑

 かば桜のキッチン

KMKa2011-12-17


下記に書いたキッチン・リフォームが今週完成しました。
キッチン・キャビネットを他の家具に合わせてかば桜で作っています。
通常メラミンで作られることが多いキャビネットですが、木が張ってあると重厚な感じになります。
少し余裕のありすぎた通路を狭めたのですが、収納力も作業効率も上がりました。
カウンターはコーリアンで、壁に黄色いタイルを貼りました。北向きのキッチンが明るくなります。

写真に写っているガラス扉の部分が今回のデザインの目玉のひとつ。
それについてはまだ工事が残ってしまっているので次回また報告します。(KM)

ガスオーブン

KMKa2011-11-28


現在、30年前のシステムキッチンのリフォーム計画をしています。
まだ結構きれいなのですが、消費税が上がる前に(!)思い切ってリフォームしたいということ。

食洗機、ガス・オーブンなど海外メーカーのものを使われているのですが、やはり三十年前の状況と今では随分変わってしまっています。
まず、食洗機はドイツのBOSCH社のものだったのですが、もう随分前に日本から撤退しています。
最近は海外の機器でも省エネがよく考えられているようで、節水で評判のいいスウェーデン製のASCOなども検討したのですが、幅450mmのものが良いというお施主さんの意見で、AEG(これもドイツ製)のものを導入することになりました。

問題はガス・オーブン。現在は電気オーブンが主流らしく、メジャーなメーカーの製品を探しても見つかりません。日本製のものはあるのですが、サイズが小さいのが難点。諦めかけたときに、やっとアメリカ製のものが見つかりました。ただ、ヨーロッパのものと違いデザインが洗練されていないのが難点・・・。

工事は来月から始まります。
どんなキッチンが出来上がるのか、またレポートします!(KM)