陽気者

今年も今年を振り返るブログを書いて今年のレーベルとしての今年の活動報告に今年も代えさせていただこうという今年の企みのもとで日記のようなメモのようなテキストデータを見返しつつ今年も書き進めてみようと思います
去年は現代社会を批判するような知識人ぶった物言いの記事を書きましたが
私が慕う本物の知識人が近いニュアンスで至極真っ当な指摘をしておりますので私の言動はともかく是非彼の声には耳を傾けてほしいと思います


ということで今年は私事を中心に振り返って参ります
まずはじめに断わっておきたいのは今年の九月あたりから将棋に興味を持ち始めて私の生活習慣が一変してしまうという事態に陥っているためおそらく来年は将棋を中心に据えた一年になるであろうということです
ですから今年のように当レーベルから作品をリリースしたいという作家さんが現れるという奇跡が起きない限り来年は当レーベルからの作品リリースは無いでしょう
何せほぼ毎日のようにニコニコ生放送AbemaTVそして有料サイト将棋プレミアムなどネット放送だけでも何かしらの対局を生配信していてそれらをなるべく欠かさずに観戦しているわけですから
さらに昨今の対局は随時デジタル機器で記録されリアルタイムでネット上に更新されるのでその情報も逐一受け取りつつ様々な対局に目を向けなければならないのです
考えてみればとてもいい時期に将棋に目覚めたともいえるわけです
さらには藤井フィーバーやひふみんのタレントとしての成功
ここへ来てベテラントップ棋士たちを脅かす若手棋士たちの台頭が目立ち始めたりドワンゴ主催の叡王戦がタイトル戦に加わったり
そして12月には現代将棋の代名詞ともいえる羽生善治竜王永世七冠という前人未到の偉業を成し得るという将棋界にとっても様々な転機となるような話題が多かったためこのような状況から
今年将棋に目覚めたのは運命
などと軽く勘違いもしている次第なのです
ちなみに将棋に目覚めるきっかけとなった対局は羽生善治当時王座と挑戦者中村太地当時六段による第65期王座戦五番勝負第1局で今もっとも興味のある戦法は藤井システムです


さて音楽的には何となく孤立状態になったまま長い時を過ごしているので来年以降もその傾向は増々強くなるであろうと思われます
そんな将棋漬けの後半四ヶ月を経ながらも何となく新作をイメージしたりデモを作っては出来損ないのツボを叩き割るかのごとくボツにしたり最新の音楽に耳を傾けたり過去の音楽に耳を傾けたりもしておりました
ということで今年の私目線での音楽ニュースを振り返りつつ当初の目的であるレーベルの活動報告を始めたいと思うのですが
まずは私的ベスト十作品を挙げてみましょう

坂本龍一 async
LOYLE CARNER Yesterday's Gone
山中千尋 モンクスタディー
Spoon Hot Thoughts
Felicia Atkinson Hand In Hand
Jake Bugg Hearts That Strain
Ben Frost Centre Cannot Hold
The Necks Unfold
Kara-Lis Coverdale Grafts
Claro Intelecto Exhilarator

順不同で私が聴いた順に並んでおります
リンクの付いたものは私のレビューブログへ飛びます
教授の新作はその度になんの文句の付けようもないのですがこれについては正直まだほとんど理解できていません
おそらく理解しないままでいいのでしょう
と開き直りつつ音楽はいつまでも未知であるという
何においても悟ったような態度をとってはならないという教訓めいた作品にも聞こえます
次のはヒップホップ
なんだかテクノやエレクトロみたいなヒップホップばかりの中で
割とクラシカルで個性もあって良い作品だと思いました
その次はジャズ
今年はジャズ生誕100年そしてセロニアスモンクも生誕100年とあって彼のカバー作品が多く出ていました
その中でもこのアルバムは出色でアメリカの凄腕を従えてセッションしてやりました感が心地良いです
こういう類いの作品が私のベスト10に入って来るのはおそらく菊地成孔さんの影響です
ですが将棋にお熱なおかげで彼の人気ラジオ番組である粋な夜電波もここのところほとんど聴かなくなってしまいました
さてSpoonの新作ですがこれは傑作です
Spoon好きの知人に話を聞く度にそして新作が出る度に彼らの音楽に耳を傾けるも毎度私の耳が焦点を合わせられないまま聞き終わってしまうというすれ違いを繰り返してきましたが今作で彼らの良さがやっと分かりました
この不理解を解消してくれた功労者は何を隠そうプロデューサーのデイヴフリッドマンです
前作から関わっていたようですが今作は彼の独壇場といってもいいくらい音作りに特徴が表れています
Spoon版Deserter's Songs by Mercury Revといっても過言ではありません
その次のFelicia Atkinsonの作品も傑作です
アシッドムーブメント以前エレクトロニカ以降などいくつかに分断されていた電子音響という分野を繋ぎ直した一作です
と言ってる意味が自分でもよくわかりませんがとにかく凄い自信です
ジェイクバグは全然興味無かったんですが今作はさすがに評価せざるをえない良作でした
例えるなら前作までは大人は判ってくれない今作は大人になって色々判ったといえる作品です
これも意味がよく判らないと思いますが聴いてもらえれば判ると思います
Ben Frostの新作も彼の良さが引き出された一作で引き出したのはエンジニアのスティーアルビニです
まずもって彼に打診したベンフォレストのセンスが凄いのですが受けたアルビニもすごい
これもSpoonと同じニュアンスの私の不理解を解消してくれた一作でした
The Necksに関しては新作も感動しましたがそれ以上に一作目のSEXという作品に驚愕しました
89年にこのサウンドは先を行き過ぎています
まずもって何故今まで彼らの音楽を聴いていなかったのか不思議でなりません
おかげで彼らの作品をほぼ全て収集するはめになったのですが
1stの衝撃のせいで2ndで自ら迷走し色々やり過ぎしまってジョンスコフィールドみたいになっちゃってるので入手困難ですが2ndをオススメします
Kara-Lis Coverdaleは長尺の一曲EPなんですが非常に様々な要素がミックスされた現代版アンビエントロウミュージックです
そしてClaro Intelectoがやや滑り込みで入ってきました
ちなみに前作Reform Clubも良作でして加えてタイトルが二作とも直訳で解釈すると好感が持てるのですが
前作はクラブミュージックの改善という挑発的なもの
そして今作は陽気者と訳せます
すなわち未だにクラブに入り浸って朝まで踊り明かす輩に言い放った言葉と想像するとかなり風刺が利いていると思えます
他にも気になった作品は多々ありまして例えば
電気グルーヴ TROPICAL LOVE
Jamiroquai Automaton
ADULT. Detroit House Guests
Spatial A Music of Sound Systems
JAZZ DOMMUNISTERS Cupid & Bataille, Dirty Microphone
Colin Stetson All This I Do For Glory
Bruno Pronsato US Drag
Estrada Orchestra Jazzbeatjaatis
The War on Drugs A Deeper Understanding
Adam Baldych & Helge Lien Trio Brothers
もう十枚足してくれと言われればこのような感じになります
これらは時と場所によっては先の十枚と入れ替えることもやぶさかではありません
ちなみに全てAppleMusicで聴き放題です
この聴き放題という概念も近い将来の音楽にとって当たり前になっていくのでしょうね


次に今年の音楽的な話題を振り返ってみたいと思いますが
最も大きな話題はやはり当レーベルから私の関わっていない作品がリリースされたことでしょう
先程ちらとSpoon好きの知人という人物が出てきましたがその人物こそ
今年我がレーベルからアルバムを発表した關伊佐央その人であります
彼についてはプロフィールと作品リリース時に書いた紹介文がありますのでそちらをご参照ください
彼のアルバムを聴いているとブルースはあと100年死なないだろうなと大衆音楽の行く末を少しだけ予見することが出来ます

DOCUMENT || STATEMENT

DOCUMENT || STATEMENT

何より今年も当レーベルから新作をリリースすることが出来たことに代表として喜びを感じております
さらにダウンロード限定で私の未発表作品集をリリースしておりますのでそちらも合わせてよろしくお願いいたします
ということでレーベルの話題は以上になります
あとは専らAppleMusicにどんなアーティストが追加されたのかという話に終始しそうな勢いですが
今年は
YMO
プリンス
Aphex Twin
ユニコーン
奥田民生
福山雅治
などが追加されていました
アミューズの福山が追加されたのは興味深いところですね
そして一番嬉しかったのは
ECMの諸作品がほぼ全て追加されたことです
残念ながら廃盤していたりCD化していない作品は保留されているようですが
七年前に刊行され飛びつくように購入したまま持て余していた世界初のECMカタログ本を片手に一枚目から聴き漁っています
作品数から察するにECM作品を聞くことはおそらく今後私のライフワークになるでしょう
途中で挫折する可能性大だと先に弱音を吐いておきましょう


その他は個人的に感銘を受けた話題になりますが
ミュージックポートレートという音楽対談番組において今年は別の意味で話題になった斉藤由貴さんが紹介されていた
わたなべちひろ
という歌手が歌うジョンレノンのイマジンが今まで聴いたことの無いイマジンだったので驚愕し
なにかこの先百年のブルースの新しい歴史の始まりを見てしまったのではないかという心境にさせるような衝撃を受けたのは言うまでもありません


ついさっきも同じようなことを書いたような気がします
デジャヴでしょうか


彼女はまだ十代で天才少女のように騒がれてスティービーワンダーと比べられたりもしていますが何より声も良くてセンスも有りそうなのでバンドを作ってボーカルに誘いたいというのが私の第一感です
あとは待ちに待っていたクラフトワークの3DライブのDVDボックスがやっと発売になったのも嬉しかったです
このライブはアウトバーンからThe Mixまでのアルバムをライブ毎に一枚ずつ再現するというコンセプトで行われたツアーで四年かけて世界各地を回っており日本でも8日かけて8枚のアルバムを再現するパフォーマンスを披露しました
出不精な私はとにかくライブでも映画でもソフト化を待つの一点張りなのですがこれは想定よりも早く出て首をあまり長くせずに済んだ作品の一つです
音楽から逸れますが足掛け十五年ほど待ちわびていたアニメ美味しんぼのDVD化が2016年の12月から始まり今年の6月をもって完結するという奇跡が起きたことも是非ここに挙げておきたい私事であります
来年以降ソフト化を期待している作品を挙げるとするなら
池田亮司 superposition
アニメ 少年アシベ
でしょう
アシベは現在Eテレで放送中のGO!GO!ゴマちゃんではなく
90年から放送されていた少年アシベおよび少年アシベ2のことです
さすがに来年中の実現は難しいでしょうから調子に乗って来年当たり再評価してもいいのではないかという作品を挙げて今年の締めとさせていただくことにしましょう
それは今年の優秀作品をも押しのけて今私の耳に新鮮味を帯びて響き渡っています
その作品とは

Jelly Tones

Jelly Tones

です
言わずと知れた90年代テクノの重要作として各所で語られ尽くされたことでしょうが
あまりその歴史的な考察などは私の耳にははっきりと聞こえてきておりません
ちなみにAppleMusicでは聴き放題です
そしてこの作品以前のケンイシイ初期作品もまとめてリイシューされれば改めて彼が海外のレーベルから逆輸入的に日本で評価されるという一つのテクノ作家のモデルケースとして多大なる影響を与えていることも再認識されることでしょう
何よりもまずその時期の作品が入手困難だという状況が解せないところですがその辺りは本人の意向によるところもあるのでしょう
ですが来年早々には石野卓球氏の活動をまとめたボックスセットも発売されることですし
近年の90年代リヴァイバルの本格化とも相俟ってとてもいい頃合いなのではという見立ても出来なくは無いと思います
ていうか最近卓球さんマニキュア塗ってますよね
黒いのと黄色いのは観ました
タイガースファンでしたっけ
あとミュージックマガジンのベストアルバム2017はサンダーキャットが3回くらい出てきて作品や作家の雑食性の高さを改めて感じました
でも私のベストの中には入っていません
締めがグダグダして参りましたのでこの辺で


2018年も耳の更新を忘れずに
A HAPPY RENEW EAR!

關伊佐央ファーストアルバムDOCUMENT || STATEMENTダウンロード販売開始


https://itunes.apple.com/jp/album/document-statement/id1282256531
10月11日に発売された關伊佐央のデビューアルバムDOCUMENT || STATEMENTがiTunes StoreApple Musicでも販売、ストリーミングが開始されました。合わせてよろしくお願いします!

DOCUMENT || STATEMENT / 關伊佐央 Isao Seki KNS-009


1.海の底 2.夜の出会い 3.他人ごと
4.繋がらない 5.ぼうんやり
6.Silhouette 7.Share with sombody
8.Long sleeping 9.Bottom of the sea

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關 伊佐央 - vocal,acoustic guitar(1~5),electric guitar(6~9),electric bass(6~9) and drums(6~9) 谷口 圭祐 - contrabass(1~5) 藤巻 鉄郎 - drums(1~5)

シンガーソングライター關伊佐央ついにアルバムデビュー!!
100年先の音楽をも予見する現代ブルース!!
2017年10月11日発売。KNS-009 CD \2160(tax included)
→Amazon
→TOWER RECORDS


→iTunesでも配信中!!!

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9月下旬から大宮more recordsにて先行販売開始。
http://morerecords.jp

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◯アルバムへのコメント◯


その青年が、どこからやってきたのか知らない。

痩せた手足は奇妙に細長く、ひざのあたりにひりひりとした痛みを感じながら立っている。
大きな瞳は中空をさまよい、この世界への違和感にふるえているように見えた。

ひとり放り出され、深く息を吸い込むと、彼は喉をかすかにふるわせた。
その息は声になり、周囲の空気を幽かにふるわせ、ことばの形をとる前にほろほろと崩れ落ちた。
風が、彼のまわりでくるくると螺旋を描き、彼の体温を抱えて走り去った。

その一瞬の空気の揺らぎは、しかし、たしかに音楽のように聴こえた。


津田貴司(hofli/stilllife etc)

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關伊佐央の暗く硬質な歌世界。
それがここまで風通しよくふくよかに、スパイシーに、
軽やかで丁寧なコーティングがされたアルバムとして聴けることに僕はニヤニヤ。
いいねえ。いうことない。最高なバランス。最高な形。


suppa micro pamchopp

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彼と最初に出会ったのはもう随分と前、
お互い同じミュージシャンのサポートとして出会った。
その歌声を初めて聴いたとき、
何て日本人離れした声をしてるの だろうと思ったことが記憶にある。

その後もまだ駆け出しだった僕のやっているスタジオでUst配信してくれていたり、
もちろんライブも何度も観ている。
ジェフバックリィやレディオヘッドの トムヨーク、
はたまたASKAをも彷彿とさせるような美声、メロディセンスを持ちながら、
そこでも彼は常にエクスペリメンタルなサウンドや彼自身の美学を 追求していた。

そんな關君から今作のレコーディングの依頼。
彼のソングライティングに全パート彼自身の演奏、
ドラム藤巻君&コントラバス谷口君との即興的な演奏 と2部構成。
数ヶ月かけてすべて録り切り、僕の担当はここまで。
どんな感じで出来上がるのだろうと楽しみに待ってたが、
ようやく仕上がったという事で聴か せて頂いた。

フォーク、ブルース、フリージャズ、クラウトロック、ポストパンク、ポストロック、エレクトロニカなど、
様々な音楽を通過してきた背景とディー プなポストプロダクションに溶け合うエロスと狂気を孕んだ天性のヴォーカル、
まさに關伊佐央が今まで追求してきた美学が濃縮。
そこには確かに極上のポップ スが鳴り響いていた。


久恒亮(studio Zot / Alan Smithee’s MAD Universe etc)

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8/24、AM2:02、近所の公園でビール、
満ち足りたふうの心と身体は、深夜に彷徨い、
セキイサオを聴き、唖然とする


潮田雄一

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こんな凄い曲が作れるのか!と驚いた。
見くびっていたわけでは勿論なく、想像の上をいかれてびっくりしてる。
一筋縄ではいかない曲調、アレンジから連想し たのは中期以降のTim Buckley。
歌声から想起したのはVincent Gallo
SSWのアルバムにも聴こえるけれど、
バンドと言われたらそう受け取りそうな不思議な音像。
個人的には日が落ちてからの時間帯に聴くのが一番 好き。

關くんからアルバムへのコメントのオファーが来たのが8月の頭。
快諾して直ぐに音源データを送ってもらったんだけど、データだけじゃ満足できない、
一音楽 ファンとしてお金を払って手元に置いておきたい。

次はJeff Buckleyナイトではなく、普通に対バンしたい。カヴァー曲じゃなく、
お互いにオリジナル曲でやり合いましょう。俺も良い新曲揃えてるから、是非。


古明地洋哉
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試聴
http://www.youtube.com/watch?v=QASi5VTL2_8

關伊佐央 - Share with Somebody (OFFICIAL AUDIO)を先行公開!

10月11日発売の關伊佐央ファーストアルバム「Document || Statement」より「Share with Somebody」(後半エレクトリックセットによる1曲)をYoutubeにて先行公開しました。
https://www.youtube.com/watch?v=UAtUHU303pA

關伊佐央 - 他人ごと(OFFICIAL AUDIO)を先行公開!

10月発売予定の關伊佐央ファーストアルバム「Document || Statement」より「他人ごと」(前半アコースティックセットによる1曲)をYoutubeにて先行試聴開始しました。

https://www.youtube.com/watch?v=DZPOvCNs4_0&t=75s

川越ニューサウンドからアルバムデビューを飾るニューアーティスト・關伊佐央とは!?

KNS2017-08-03

当レーベルも本格始動して丸7年が経過、そして8年目にしてまたひとつ夢の実現が為されようとしています。
なんと今年のCDリリースは私こと代表庭野が制作に関わっていません!
混じりっけ無しのニューアーティストによるファーストアルバムがめでたくこのレーベルからリリースされます!
まるで他人事のようです、というか他人事です。
何の得も無いこんな弱小レーベルから自分の初のアルバムを出そうなどとはとても正気の沙汰とは思えません。
そんな奇特なミュージシャン・關伊佐央(せきを關とする辺りからその癖の強さは相当なものであると想像できるでしょう)とは、果たしてどんな音楽家なんでしょう?
彼との出会いはもうかれこれ10年以上前になります。
その頃彼はRed Chimneysというバンドで活動しておりました。
ボーカル、ギターの關君のマイクの傍らにはカオスパッド
ときおり自分の声にエフェクトを重ねたりマイクをドラムに向けてループを作ったりと、私が出会った頃にはすでに2人組になっていた彼らの演奏は色々な意味でソフィスティケートされており、生まれながらの都会っ子の私にもかなり刺激的であったと記憶しております。
その後も付かず離れずな間柄で彼の(これまでのバンド活動とは真逆にあるような)ニッチな企画に参加したり(ベックがやっていたアルバム一枚を1日でカバーする録音企画を真似てエルヴィスコステロのファーストアルバムをカバーしたり・・・)、彼のライブ演奏にサポート(エフェクト)で参加したり、あと仙台に日帰り旅行したり・・・そして何を隠そう、当レーベルから2011年にリリースしたmetaphoricのinitiative sense plansに即興演奏素材(声、サンプラー)を提供してくれているのでした。
そんな彼がソロ名義でアルバムを制作していると聞いたのは去年のこと。
そしてそのアルバムを川越ニューサウンドからリリースしたいとう話を持ちかけられたのでした。
正直、この子は一体なにを言っているんだろう?私は彼を目の前にして戸惑いを隠すのに必死でした。
だって、こんな世間的には実在していないも同然のインディーズレーベルの(レーベル名を◯で囲んだだけの判子のようなダサい)ロゴを自らの作品に刻印させて欲しいと言うのですから、こちらとしては困惑するのは至極当然じゃないかという心持ちでした。
と同時に私の頭の中の悪魔が囁くのです。
おい!代表・庭野!俺だよ!悪魔だよ!
丁度いいじゃないか?どうせ今年はろくに曲も作らずにネタも尽きてたんだろう?年1枚CDをリリースするっていうお前が勝手に立てた公約もこれで果たせるってもんじゃないか?しかも自分は一銭も使わずにだぞ!こんなしょうもないクソレーベルでも続けることに意義があるっていうんなら他人の回しで相撲でもとってみやがれこの似非代表!
気が付くと私は彼の作品リリースを承諾しておりました。
そんな私の浅ましくも卑しい思惑はさておき、発売日もほぼ決定して作品もマスタリングが終了。
そして出来立ての音源が私の元に届いたのは7月の終わり頃でした。


という長ったらしい前置きを経て、10月に発売予定の關伊佐央のファーストアルバムDocument || Statementを一足先に聴かせていただいた私の所感を書かせていただきます。


ここにある音楽は100年先の音楽をも予見した現代ブルースである。


アコースティックギターコントラバス、ドラムによるアコースティックセットDocumentサイドとエレクトリックギター、エレクトリックベース、ドラムを全て彼一人で多重録音したエレクトリックセットStatementサイドの2部構成による關伊佐央の美学が詰まったソングライティング作品集は当たり前になったポストプロダクションもさらりとこなし、再び彼のソフィスティケートされた感覚が呼び起こされたポップスアルバム。
前半はマッカートニー&レノンに武満徹が加わったトリオか!?後半はトムヨークと小山田圭吾ビョークの影が迫りつつある!?
つまりは癖の強そうなミュージシャンが集まったのに上手いことシンプルでポップな作品が出来た!みたいな!


21世紀もブルースの100年になるのか?


何かを補完するべくして生まれた關伊佐央のファーストアルバムDocument || Statementは10月発売です!