ハイエナどもの群れからの生還

 今日も原付で走ってましたら。ご存知のとおり都下は交通安全期間中。いつもよりは抑え目でみんな走ってます。こしにきも遠慮がちに走ります。そしてバイクが大量に走ったり沿道の店で売られていることで有名な某通り。通行する二輪車の数も増えてきて、自動車の隙間を埋めていきます。こしにきの原付も車の間をすり抜けていき、そこがちょうど交差点…。
 ウゥゥ〜〜〜! うんざりするほど聞きなれた白バイのサイレン音。

 おい誰だよ運の悪い奴(笑)!

 ウゥゥゥ〜〜!

 やっぱりバイクの誰かを追っかけてるよ。ダメだよ交通安全期間中に無茶しちゃさぁ(笑)。

「ちょっと運転手さん停まって〜!」

 は!? 俺!?

 道端に停める私。
「はい、運転手さん黄色い線を越えて追い越しましたね」
 正直、確かにすり抜けの過程でやったかもしれなかったが、そんなに危険な局面でかけた追越ではなかった。それに、その前の交差点で自動車が二、三台くらい、黄色い線をまたいでの追い抜きの車線変更をかけたのを私は目撃しており(そのせいで線をまたぐことに対して注意が散漫になっていたのも確かだったかもしれないが)、そこで私だけパクられるのは感情的にまったく納得がいかない。
「いやいやいや、してないですよ」
「それは運転手さんに認められてる自由ですので認めなくても結構です。でも私も、交差点に立ってる警察官二人の合計三人が見てるんですから」
「そんなこと言われても確かにして無いものはして無いんですよ」
「ああそうですか。そこは認めなくても結構ですが切符は切りますから」
「いやいやいや、認めて無いのに切符切られても困りますって!」
 明らかに、私のことを見る目が「面倒な奴を捕まえたな」という表情になってる白バイ警官。
「それだけじゃなく運転手さん、いろいろ違反してるんですよ。まず信号機から数メートルでの追い越し、追い抜きの禁止でしょ? あと、運転手さんが言うとおり線をまたがないで走ってたとしても無理な追越を右側からかけたら交通安全義務違反というのになります。いま交通暗転義務違反の反則金と点数についても調べますからね(なんか規則の分厚い本をめくる振り)!」
「えー!? ちょい待ってください、後学のために質問するんですけど…」
 こまごまとしたことについて質問する私。細かい、クサいところについていくつも質問するんで明らかに引く白バイ警官。
「わかりました、じゃあそれについて認めませんっていうことについての書類を作るんであとは署の方に出頭してそこでお話しするようになりますがいいんですね(なんか青切符とは違うほかの書類をちらつかせる)!?」
「そんなこと言ってもやってないもんなぁ…」
「そこから先は裁判になるかもしれませんよ?」
「はあ、まぁ仕方ないです」
「そんなこといっても、ずっと下向いて走ってるわけじゃないでしょ!?」
「いや線がきわどいところ走ってるの自分で知ってて走ってるんだから、下ばっかり向いて走ってましたよ。ましてや今は交通安全週間ですから」
「これまでに違反とかあるの?」
「あ〜、いっぱいありますねぇ。あと1、2ヶ月で一年たって綺麗になるんですけど、あと1点で三鷹の交通安全センターですよ」
「なに、次で免停なの?」
「正確には再教習に行かなかったら免停です」
「…じゃ、免許証見せて」

 と手を差し出す警官。ここで相手に渡したら終わりだということを某巨大掲示板情報で(笑)知ってた私は整理番号を指で隠して見せるだけでとどめた。
「なに? 渡すのヤなの!?」
「イヤですねぇ」
「…わかった。みせないなら切符切る」
「なんですかそれ!?」
「だって別に切符切るって言って無いのにそんな非協力的なことするんだもん!」

 なんだそのわがままっ娘ぽい言い草は!

「いや渡したら切符切るじゃん!」
「切らないから一応確認させて! 今回は注意にするから!」

 このあたりが引き際かなと感じて素直に渡す。それを観ながら勤め先とかを聞いてくる警官。そして、なんで君たちは規則を守ろうとしないんだ、ぼくらは切符切るのが目的なわけじゃない、きみたち自身の安全のためなんだよ、ぼくらも鬼じゃないんだとかお説教モードに入る。警察庁の予算には反則金による収入の額が見込みで組み込まれていることも知っているし、弱いものをいじめる規則を自分で作って取り締まって、確かに鬼はそんな巧妙じゃないですねとか思ったけどもちろんそんなことは言わなかった。
 というわけで我ながら殊勝に頭を下げて白バイにお引取り願ったのでした…。これで失敗したらここ三ヶ月でバイク関連の修理や違反金が10万超えるところだったぜ。まったく東京って恐ろしい。

 整理して考えてみると、警官それぞれの性格により対応も違うのだろうけど、本人が違反をあくまでも認めないとなると打つ手がなくなるとまでは言わないまでも警官にとっても面倒なことになるみたいですね。私に対して遣ってきたのは、どこまでも本人に認めさせようとする誘導尋問的なものばかりでした。複数人の警官が見てた、とかこのままだと出頭したり裁判になる、とか、自分で気づかなくても線を越えた可能性もあるよな? とか。あと、免許証を切符を切るために自ら差し出させないと切ることが出来ないというのもまんざら嘘でもなさそう。こちらが渡さないと観て対応が明らかに変わりましたし。

 ま、交通違反はよくないですが、国がアホな規則で交通社会の弱者から小銭をカツアゲしてむしりとろうとしているのは紛れもなく事実。我々としても自己防衛の手段で武装するしかないです。献金してすこしでも優遇してもらえるようになるならまだしも、コレは払ったほうが悪人だから完全に捨て金。無駄な金は上納しないようにしたいものです。