不思議なデバイス-SSD

新システムは至極快適だが、この快適さをもたらしている要素の大部分を占めるのは新しいMPUもさることながら、システムドライブをSSDにしたことだと考えている。慣れというのは恐ろしいものでそれが当たり前になってしまうと、あれだけ速く感じた仕事用のDELL Precision T7400のHDDの遅さ(SASシングル)が気になる程である。

そんなシステムを構成しているIntel® X25-M SATA Solid State Drive 80GBだが、ある時点を境に書き込みスピードが半分になってしまった。
といっても体感で遅くなった訳ではなく、CrystalDiskMarkのSequential Writeの値が半分になってしまったのである。

まあ、80MB/secが40MB/secになった所で常用している限りその違いが分らない訳だが、理由が分らずにカタログスペックの半分しか性能が出なくなってしまうこと自体、不気味この上無いのでいろいろと試してみることにした。

AHCIモードへの移行は勿論のこと、Intelのチップセットドライバをインストールし直したり、インテル® マトリクス・ストレージ・マネージャーを再インストールを行ったりと、ありがちな問題はほぼ除外したが書込み速度は元に戻らなかった。最後はやけくそになり、システムドライブをフォーマットした後にコンプリートPCバックアップから復旧を行ったりもしてみたのだが、それでも書込みの速度は40MB/sec〜50MB/secから変わらなかったのである。

しかし、ある事をすることによって元の速度(70MB/sec〜80MB/secのシーケンシャル書込み)が戻ったのである。

The Art of Analog Circuits, Entry page - DESTROYの作者である藤原武氏のHP
DESTROY - Vector公開

DESTROYは著名なHDDのサニタイジングツールであり、HDDの全てのセクタをいろいろな方法で上書きすることで物理的に消去するアプリケーションだ。
DESTROYはDOS上で動き、必要最小限のドライバがあればあとはBIOSで認識されているどんなハードディスクでも(USBのドライバがあればUSB HDDでも)処理の対象にできる。

SSDはその原理上、使い始めた時から絶縁膜崩壊のカウントダウンが始まっており、本来であれば余計な書込み負荷はかけたくないのだが、SSD上のデータを00hでリセットしたらHDDの物理フォーマットと同じ効果があるのではないかと思って実際に試したのである。

手順

1. DOSで起動
2. DESTROYを起動し、00hでシステムドライブの全てのセクタを上書き
3. コンプリートPCバックアップデータよりシステムドライブを復旧

この結果、ついに書き込み速度は導入当時に戻った。これでめでたしであれば良かったのだが、なんと今度はSequential Readの速度が190MB/secと、00hリセットの前と比べて-50MB/sec程下がるようになってしまったのである。更に悪いことに、何度かテストを行っていると書込み速度も悪い状態に戻ってしまったのである。失敗という訳だ。

結局最後まで原因は分からずじまいだったのだが、思うにSSDは何かのパラメタ(使用率?、使用時間?)がある閾値を超えるとなんらかのフラグが立ち、内部で行われている最適化(書込みの平滑化(ウェアレベリング)、読込み時のキャッシュの方針など?)に変化が生じるのだろうか。ここ最近で一気にメジャーになったシリコンデバイスだが、解らないことだらけだ。

小心者なんで本当はこれ以上余計な書込みを重ねたくないのだが、この辺の仕組みが分かるまで絶縁膜崩壊は止まりそうにない。