竜と勇者と可愛げのない私3

竜と勇者と可愛げのない私3 (電撃文庫)

• ストーリー

旅を続けるアンジュたちに、フェブロニアとの国境にあるセスタス城砦が魔王の娘に乗っ取られたという知らせが届く。
嫌がるレックスの尻を叩き、セスタス城砦奪回へと向かうアンジュ。
妙なことに、フェブロニア側のダリア城砦も別の魔王の娘に乗っ取られていたらしく……。


今度こそ次の四天竜に、というところで、またも立ちふさがる魔王の娘。
1巻を読んだ時にはもっとサクサク進むのかなと思っていたのですが、結構ゆったりしていますね。
丁寧なのは大歓迎だけれど、逆に終わらないのじゃないかとちょっと不安だったりも。


魔王の娘を止めるため、別の魔王の娘に協力するという興味深い展開。
今までは魔王の一族は悪だと決めつけていましたが、彼らにも戦う理由があることが分かって、状況が複雑になってきています。
「悪いやつが世界征服を企んでいるからやっつける」のなら話は簡単なんですけど、この場合、必ずしも魔王が悪ではないのかもしれなくて、旅の目的も揺らいできそうで面白い。
魔王討伐の旅に出たはずなのに、魔王を倒さないでハッピーエンドという可能性も十分ありそうです。そもそもレックスはそれを目指しているわけですが。


登場キャラがことごとく魅力的でした。
アイネイアとノェルは魔王の娘とは思えないほど優しくて仲の良い姉妹です。
魔王の娘っていう立場も大変ですね。ロンブローゾは楽しんでやっていたみたいですけど。魔人にも色々いるということなんでしょう。
フェブロニアきっての暗殺者・ジェイドは、アイネイアとの戦いでなぜかアンジュたちと共闘。
もう誰が敵で誰が味方なのか分からなくなってきました。とりあえず気のいいやつではあるけれど、いつ敵に回ることやら。正体にも驚かされました。
アンジュとレックスの関係もちょっとずつながら着実に進展してきているようで、ニヤニヤ場面もちらほら。
特にレックスはやきもちのようなものも見せているし、意外なほど早く落ちたなという感じがします。
一方のアンジュは、どんどん優しくなっていることは確かですけど、恋心を自覚するにはまだ少しかかるかも。
初々しくて微笑ましいこのほのかな恋の行く末がとても楽しみですね。


今回のバトルはボリュームたっぷりで満足。
注目はなんといってもアンジュの新型魔法です。凄腕魔術士の本領発揮といったところですか。
めちゃくちゃ格好良かったけれど、あまり無茶はしないでほしいな。この魔法はどうも嫌な予感がする。
レックスも頑張っていました。アンジュのことばで何かが吹っ切れたのでしょう。うん、愛だね。


最後にあのキャラが出てきて、なんとも気になる終わり方。
もうこの人がラスボスに見えてしまって仕方ない。次の巻が待ち遠しいです。