まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ファンダ・メンタ・マウス2 トラディショナルガール・トラディショナルナイト

  • ストーリー

第三夫人としてマウスに嫁いできた華僑の少女、キンバリー・マァ。
そのマァ家が忠誠の証として用意していたヘロイン10キロが何者かに奪われた。
危険にさらされているキンバの命を救うため、再び立ち上がるマウスだったが……。


1巻で個性的すぎるハーレムが完成し、さてどの娘のターンが来るのかなと思っていたらまさかの新ヒロイン・キンバ登場。
今度は13歳ですよ、色々と大丈夫なんですかマウスさん。


相変わらず文章がぶっ飛んでます。
予想外のところで切れたり、つながったり、ノリだけで意味が取れなかったりといった文が、スピードに乗って次々に現れる。
性や薬物に関する用語が飛び交ってるわマウスの言葉遣いは小汚いわで、教育にはあまりよろしくない文章だけれど、それだけに生々しい。
アクが強すぎるといえばそうですが、逆に一度はまると抜け出せない魔性の魅力を持っているともいえます。
やっぱりこのテンポがいいんですよね。初めは抵抗があるのだけれど、調子づいたらどこまでも流されてしまいそうな、ぬるっとした喉越しがある。
なんといっても勢いがあるので、次に何が起こるのかとドキドキするし、アクションには迫力を感じるんですよね。


まこともネーネもほっといて、美月が大活躍していました。
1巻でもわりと出番があったし、あくまでサブキャラ的な立ち位置かと思っていただけにちょっと驚きです。
困難を乗り越えて今の居場所を手に入れた彼女にまたも襲いかかる闇。
ひとりでそれに立ち向かおうとする美月。
決して強いわけではなくて、弱い自分を奮い立たせながら必死で戦う彼女は素敵だけれど、やっぱり心もとない。
いよいよ危機が迫ったとき、呼んでもいないのに彼女の前に現れ、救ってくれるのは、そう、あの男です。
ああ、やっぱりこの男はヒーローなんだなと思う瞬間でした。
本当に彼は、何を考えているのかさっぱり分かりませんけど、格好良いんですよねえ。
他人のためにここまで本気になれるのはもう、ヒーローを通り越して変人の域ですが、それでも魅力的なことには変わりがありません。


いくつもの陰謀と思惑とが絡み合い、ひとつの結末へ向かっていくさまが見事。
何人もの黒幕がいる裏社会、そのぐちゃぐちゃした怖さを突きつけるように見せてくれる。
そしてそんな中にもしっかり人と人との関わりが息づいていて、より一層それが大切に思えてくるんですよね。
彼らはみんな、それぞれの幸せを求め、見つけて、自分の人生を自分で選んで歩んでいきます。
必ずしもハッピーエンドで終わるとは限らないけれど、きっとそうやって歩いていけること自体が、彼らにとって幸せなことなのでしょう。


恋する美月は可愛いなあ。でもそれ以上にくそったれが可愛かったりするから困ります。