まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

あおはるっ!

あおはるっ! (MF文庫J)

あおはるっ! (MF文庫J)

ストーリー
夢を追いかける高校生たちが集うアパート「謳歌荘」にやってきた、新たな入居者・葵すず。
そこですずは、ラノベ作家を目指す新堂有、ロックを追い求める住吉小町、編集者を目指す源いずみという変わり者三人と出会う。
さらにこの謳歌荘には、ひとつだけ守るべきルール、大原則があって……。



内田俊先生の新作。前作が結構好きだったので読んでみました。
謳歌荘というアパートに集まった高校生たちが、挑戦と挫折を繰り返しながらそれぞれの夢を全力で追いかけていく、タイトルどおりの「青春」ストーリーです。
主人公は一応有ということみたいだけれど、どちらかというとすずの方が主人公らしく見えるかなあ。
まあ、わりと視点変更が多くて、群像劇のような部分もあるので、4人揃って主人公ということでいいのかも。


メインキャラ4人がいきいきしていて良かったですね。
まず何よりもすずが可愛い。何この小動物。癒される。頭なでたい。
天然のムッツリスケベさんというのがたまりません。無防備で危なっかしくて、だから放っておけない、外に出さずに大切に保管しておきたいタイプですね。
いきなり変人だらけのアパートに放り込まれて大変だろうと思いきや、意外とあっさり溶けこんでしまったのは、他の住人が進んで受け入れたからか、はたまた彼女自身もまた変人であったからか。多分両方ですね。
有と小町は、だいぶ似たところのあるキャラでした。とにかく夢に向かってまっしぐらで、不器用ながらも、必死でそれを追いかけている。
特に小町は凄いですね。ロックのために全てを賭けているように見える。その分空回りも多いのですが。
ロックの魂がどんなものなのか私には分かりません。というか、小町を見ていたらさらに分からなくなりました。さすがにちょっと暴走しすぎのような気もします。
とはいえ、彼女が自分の信じるもののために一生懸命なのだということくらいは伝わってきます。頑張る女の子は格好良いもの。つい応援したくなりますね。
いずみさんは、有たちとはまた違って、特殊な夢の持ち主でした。
正直言って一番共感しにくいキャラではあるのですが、現状でどうしようもできなくて、少しでも前に進むために自分のやり方であがいているところは、他の皆と変わらないのかもしれません。
素直に夢を追える高校生って、それほど多くないと思うんです。表に出すのも照れるものだし、そろそろ現実が見えてくるし。
そんな中でも、諦めることなく、まだそれを目指すことのできる有たちは、傍目から見ている分にはちょっと恥ずかしい部分もあるけれど、同時にきらきらと輝いていました。まだ大人じゃないんだもの、それでいいよね。


日常パートはかなり楽しかったのですが、後半のシリアスパートはずいぶんな駆け足だった印象。
ご都合主義的な展開は大好物なんですけど、もうちょっと丁寧に描いてくれても良かったかと思います。特にラスト付近はあまりに展開が早くて、重さがあまり感じられなくて、拍子抜けしてしまいました。
魅力的なキャラが揃っているので、続編ではぜひ、キャラの内面をさらに掘り下げていってほしいですね。
もちろん、明るくばかばかしいラブコメ分にも期待しています。一押しはすずだけれど、小町もなかなか捨てがたい……!


イラストはTivさん。女の子がふわふわしていてとても愛らしい絵柄だと思います。
赤面すずの破壊力がとんでもない。あと最後のイラストで気付いたけれど、この子こんなにちっちゃかったのね。


イワシを使った特殊な……が分からないんですけど。教えてエロい人。