まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ノーゲーム・ノーライフ1 ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです

ストーリー
ニートでヒキコモリだが、ネット上では都市伝説とまで囁かれる天才ゲーマー兄妹・空と白。
ある日二人は、神と名乗る少年によって異世界へ召喚されてしまう。
そこは神により戦争が禁じられ、全てがゲームで決まるという夢のような世界で……。



作者とイラストが同一人物ということで一部で話題になった作品。
元々好きなイラストレーターだったし、漫画家でもあることは知っていたのですが、まさか文章まで書くとはねえ。
少々迷ったのですが、周りの評判がやたら良かったので試しに手に取ってみました。
なんとも残念なことに……実に面白かったです。いやあ、ほんとに面白かった。面白かったんだけれども、なんだろうこの、そこはかとなく湧き起こる、何かに負けてしまったような悔しさは!
イラストも素晴らしいのに、本文までこれですか。いやはや、参ってしまいますなあ。
強いて言うならば、ダッシュと三点リーダと傍点付きの文がやたら多くて、初めは結構読みづらかったです。
でもそれも、ぐんぐん加速していくストーリーに引き込まれていくにつれ、いつの間にか気にならなくなっていました。
小うるさくも感じられるけれど、慣れてみれば、これもまたひとつの味というやつですかね。


何よりも、主人公・空白兄妹の天才っぷりが超格好良い!
人間社会ではダメ人間だったふたりが、いざそのゲームの才能を存分に活かせる世界へとやってきて、どんどん勝ち上がっていく様子に惚れぼれさせられます。
相手の考えを読む才能に長けた兄・空と、単純に頭脳の出来が段違いの妹・白という組み合わせがまたいいですね。
ひとりずつではまともに他人とコミュニケーションさえ取れないくせに、ふたり一緒なら文字通り最強。正直負ける気がしません。
特に、他人の感情や思考を全て操っているとしか思えない空の能力があまりに圧倒的でした。ゲーム外のやりとりでもその力は存分に発揮されていて、カマをかけたり罠にはめたりしながら、相手の裏をかいていく姿は見ていてとても楽しいです。
普通に世渡り上手にもなれると思うんですが、なんでこの人、現実世界で友だちのひとりも作れなかったんだろう。いや、深く考え過ぎると悲しくなってくる気がするからそっとしておきましょうか……。
そんな空から騙されて散々な目に遭ったステフが不憫可愛い。ちょっと可哀想な気もしますけど、彼女はオモチャにされているときが一番輝いているからこれでいいのです!
あと、兄の性癖に理解がありすぎる妹は良し悪しだと思いました。


とりあえずひとつの山を登りつめて、さあ、ここからがいよいよ本番ですね。
この先に待ち構える敵はいよいよファンタジーの住人たち。魔法を駆使する相手を前に、ただの人間である空と白が、いったいどこまで勝ち続けることができるのか、わくわくが止まりません。
予告によれば、次の対戦相手はフリューゲルとワービーストとのこと。ううん、楽しみ。
それからもちろん、今度のステフはどんな風に遊ばれてしまうのかということにも興味津々。白の直視に耐えうる、でも読者の期待を裏切らない、絶妙な一線で! どうぞよろしくお願いします!


イラストは……もちろん榎宮祐さん。相変わらずといいますか、鮮やかなカラーリングが目を引くイラストですね。
セーラー服の白かフリフリドレスの白か。それが問題だ。


ピンナップのお風呂イラストがギリギリすぎて思わず●REC