まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔弾の王と戦姫

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)

ストーリー
王の下、武に優れた7人の“戦姫”が7つの領地を治め、隣国に恐れられる強国・ジスタート。
その隣国ブリューヌの若き伯爵ティグルは、ある時かりだされた戦で、敵方の大将である戦姫・エレンと出会う。
得意の弓でエレンを討ちとろうとするティグルだったが、その圧倒的な剣技の前に敗北、捕虜とされてしまい……。



周囲から、面白い面白いと評判を聞き続けながらもなかなか読めずにいた今作。ようやく手に取ることができました。
はい、噂に違わず面白かったです! 美少女の出てくるファンタジーは大好物であります!
地に足のついたファンタジーでありつつも、先の読めないストーリーにわくわくさせられ、ぐいぐいと引っ張られるままに読み終えてしまいました。


戦場で敵として出逢った少年と少女。物語の導入としてはまあ、王道といってもよいでしょう。
伝説の剣を手にし、人間離れした剣の技で戦場を駆ける美少女! いいじゃないか、いいじゃないか! これだけでテンションが上がるってもんですよ。
一方、主人公・ティグルの用いる武器は、剣でも刀でもなく、なんと弓。
主人公が弓の名手というのはなかなかに物珍しく、ここでまたぐっと興味を惹かれました。
このふたりの初対決がまた、実に格好良いのですね。普通なら命中どころか矢が届きもしない距離から馬の頭を狙いうつティグルと、風を切って飛んでくる矢を剣の一閃で見事に退けてみせるエレン。
一瞬でこの両者に惚れ込んでしまいました。出逢うべくして出逢ったとでもいいますか、「ああ、間違いなくこのふたりがこの物語の主人公なんだな」と思わされる邂逅の一場面でしたね。


エレンの捕虜となりながらも、敵国の兵士たちからまでも尊敬を集めるティグルの弓。
弓を軽んじるブリューヌでは馬鹿にされてばかりだったティグルですが、ジスタートではちゃんと評価をされていて、こちらまで嬉しくなってしまいますね。
弓もそうですが、何よりそのまっすぐな心根のおかげで、エレンはもちろん、リムやルーリックといったジスタートの人々と、次第に親交を深めていくティグルの姿に胸が温まります。
ルーリックとの関係もなかなか捨てがたいのですが、やっぱり個人的にはリムですね! なんですかこの娘、めっちゃ可愛いんですけど。
毅然とした副官としての顔を保ちつつも、そのきりりとした表情の裏にほのかな優しさが垣間見えて、とても魅力的。
実は作中一番のいじられキャラなのではないでしょうか。さらなる活躍が見たいものです。


終盤の展開の気持ちの良さが素晴らしい。捕虜としての落とし所はつけつつ、領民を守るために国を超えて助けに現れるティグルさん素敵。
なんといっても敵が分かりやすく悪役してますから、尚気持ちが良いのですね。勧善懲悪はいつまでも色褪せないエンターテイメントなのです。
ティグルとエレンの戦いっぷりがまたいいですね。なんだ、相性抜群じゃないですか。向かうところ敵なしといった感じ。
そしてファンタジーといえばこれですよ。竜との戦い。うんうん、押さえるところはしっかり押さえてあるからにくいよなあ。
さて、とりあえず窮地は脱したものの、大変なのはこれからです。新たに得た力と共に、ティグルは無事に領地を守り抜くことができるのでしょうか。
ティグルをめぐる、エレンとティッタの微妙なバトルにも注目していきたいですね。早いところ2巻も読んでしまうとしましょう。


イラストはよし☆ヲさん。表紙のエレンがなんとも艶っぽく、思わず視線が一部分に……。
ティグルvsエレンのイラストも良かったです。弓を引き絞るティグルさんの横顔が格好良い。


最終的には7人の戦姫が全員出てくるのかな?