まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕は友達が少ない CONNECT

僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)

僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)

ストーリー
高校時代の柏崎天馬は、自分に付きまとってくる同級生・羽瀬川隼人に戸惑っていた。
ある日、隼人から女子を紹介してほしいと頼まれた天馬は、知り合いの留学生・ノエルとの会合を設定する。
ところが隼人は、ノエルが連れてきた友人・アイリに一目惚れした様子で……。



小鷹以外のキャラクター視点からのお話を集めた、番外編的な1冊。
番外編ではありますが、作者曰く「バリバリの本編の一部」ということで、あのキャラの過去エピソードが描かれたり、このキャラがそのシーンの裏で考えていたことが明かされたりと、本編の内容にも大きく関わる超重要な巻になっていました。
今回収録されたお話を読んでいるか読んでいないかで、今までの物語の受け取り方がだいぶ変わってくると思います。やっぱりただの日常コメディじゃなかったんだ……。
しかし、なんだ、これはえぐいですね! めっちゃえぐい! ステラさんや幸村のエピソードもなかなかのものでしたが、やっぱり凄いのは理科。いや、理科さん。理科さんが裏の主人公すぎて辛い。
小鷹視点からは平穏な日常のいち場面だったはずなのに、理科が語り手に変わるだけで、こうも印象が違ってしまうとは。ずっと後になってからのこんなひっくり返し方ってありですか? まったく、勘弁していただきたいものです!


表紙のロリっ子はてっきり星奈だと思っていたのですが、小鳩ちゃんだったようです。そして右がお母様。知ってしまうと、一気に切なく見えてきてしまいますね……。
天馬と隼人の高校時代の話から始まる、柏崎家、羽瀬川家、そしてステラさんをめぐる一連のストーリーは、物語が始まったときからなんとなく気になっていた謎を色々と解き明かしてくれました。
柏崎家の美人家令さんに、まさかこんな秘密があったなんて。今までのお話にも伏線が張ってありそうです。これだから油断がならない。
ステラさんも大した器の持ち主ですが、そんな彼女さえも圧倒してしまう星奈はまさに生まれながらの女帝。思えば、小さい頃の星奈についてはほとんど語られていなかったように思います。また機会があったら、ぜひ小中学時代の星奈の話も読んでみたいものですね。


上にも書きましたが、理科の一人称で描かれる「クオリア」の破壊力がとんでもない。下品でおちゃらけた、変人だけれど憎めない後輩という理科のイメージを一気に吹き飛ばしてしまう1編でした。
いやはや。理科はいったい、どこまでが演技で、どこからが本気だったのでしょうか。1巻から全部読みなおして検証してみたい気分です。
自他共に天才と認めつつ、こちらから見たらどうしてもそうとは思えなかった理科ですが、7巻から8巻、そして今回でようやく分かりましたね。やっぱり彼女は天才でした。悲しいほどに。


気軽な読書のつもりで手を伸ばしたのに、やたらボリュームがあって疲労感でぐったりです。
なんだかんだで一番頭にモヤモヤを残していったのは「カムパネルラ」でしたけれどね! 本当のリア充とは、息をするようにリア充しているもんなんだなあ……。ダメージでかすぎ。珍しく夜空が格好良いところを見せていたのに、リア充のせいで消し飛んでしまった感さえあります。
そんな夜空ですが、ラストにまた爆弾を落としていってくれました。次は星奈のターンだとばかり思っていたのに、この分だと夜空メインになりそうです。
どちらにせよ、大きな一歩を踏み出した隣人部が、この先どんな未来へと向かっていくのか、楽しみで仕方ありません。続きが待ち遠しいですね。


アニメで本気の理科さんの姿が見たい。