まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

聖剣の刀鍛冶15

聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J)

ストーリー
人々が見上げる火山の頂に、遂にその威容を現したヴァルバニル。
そのあまりに巨大な力を前に為す術のないセシリーたち。
一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦”をはじめようとしていた……。



長く続いた今作も、遂に本編完結と相成りました。
振り返ってみれば15巻。でもなぜか、20巻も30巻も続いたような気がするのはなぜでしょう。それだけ愛着があったということでもあり、それだけ密度の高いシリーズだったということでもあると思います。特に終盤の数冊は凄かったですね。
表紙はセシリーとルーク。ずっとセシリー単独だったのに最後になって出てくるルークさんがずるい。ちょっとうるっときちゃうだろ!


さて最終決戦です。敵は巨竜ヴァルバニル。人間たちとのサイズ感の差は、もはやアホかと笑いたくなってしまうほど。
圧倒的な力を前に、まさに総力戦というべき戦いを繰り広げる展開がたいへんに熱い。
そう、人間にはまだ奥の手が残されています。聖剣アリアが覚醒してくれさえすれば。セシリーとアリアなら。
全てをふたりに託して、ふたりを信じて、文字通り死力を尽くす。そんな皆が格好良すぎて、いやはや、もうどうしたらいいのか。
特筆すべきはやはり大陸最強のあの男ですかね。なんかいいから休めと言いたくなってきますけど、列集国の貴族騎士たちへの一喝とか、素晴らしかったです。オーガスタスとの敵味方を超えたライバル関係も実に良かったですね。
それから先代の聖剣殿には心からの拍手を贈りたい。あまりに素敵すぎるお姉さまぶりでした!


さんざん焦らされてきましたが、ここで目覚めなくて何が聖剣でしょうか。そうでしょ。信じてましたとも。
まあそれ自体は分かっていたんですけれども、聖剣アリアの前に“彼女たち”が現れたのには、さすがにぐっとくるものがありましたね。
セシリーとルーク、それからアリアとリサ。
シーグフリードとエヴァドニ、そしてフランシスカとイライザ・イヴァ。
最後の戦いについては、もはや言葉はいりません。最高でした。ここまできたら正義とか悪とか関係なく、全員が揃っていたからこそ、この満足感があるのだと思います。ありがとう。


終わりはちょっと予想外でしたけれど、ラスト1行に見事に持っていかれました。ちくしょう。
……ああ、終わっちゃったな。終わっちゃった。うん。
なんか色々思い出して頭がごちゃごちゃしてますが、しばらくはこの気持ちのよい喪失感の中でたゆたっていたいと思います。
といっても、まだ番外編が残っているんですけどね! ほんとの最後の最後まで、楽しみにしています。


やっぱりルークはずるい。このラストの後のあとがきで笑わせてくるんだからずるい。いやむしろ担当がずるいのか。