まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

竜と勇者と可愛げのない私 before レミエルの伝説

ストーリー
魔人ハオスの手に落ちた生まれ故郷を救うため、冒険者ギルドを訪れた新米魔法使いクロード。
そこで出会ったのは、見た目十一、二歳ながら恐るべき剣の腕前を持つ少女レミエルだった。
彼女の仲間にしてもらうため、ドラゴン退治の仕事に同行するクロードだったが……。



レックスの祖母・レミエルをヒロインに据えた外伝。雑誌の方で二話目まで連載されていたのになかなか続きがこなくてしょんぼりしていたら、書き下ろしの三話目を加えて文庫化してくれました。
本編の方は完結しているのでこれが本当の最後の1冊となるわけですが、本編とほとんど関係ない内容であっても、終わった作品と同じ世界での物語がおまけでもうひとつ読めるというのは嬉しいことです。


最強クラスの魔法使いだった本編主人公・アンジュとは違い、今回の主人公クロードは魔法使いとしてはちょっと地味な部類の少年。
ド派手で強力な魔法は使えないけれど、弱いなりに工夫したり人一倍頑張ったりして戦う姿が好印象な主人公です。まあ、地味なんですけど。
彼の分を補うだけの格好良さを見せてくれるのがヒロインのレミエル。小柄な体と妖刀1本で敵をなぎ倒していく様は、さすがあのレックスの祖母という感じ。
そして3人パーティーの最後のひとりが、モーニングスターをぶん回す毒舌僧侶のアルマ。さらに眼帯付き、レミエルにぞっこんとキャラが際立ちまくっていて、パーティーの中では誰よりも濃いメンバーですね。
クロードとのかけあいは見ていて楽しいし、王道のギャップ萌えな部分もあるし、かと思いきや意外な暗い生い立ちに驚かされるしで、色んな魅力が詰まった子だと思います。今改めて振り返ってみると、なんだかんだでいちばん好きなキャラかも。
イラスト上でもかなり可愛いと思います。表情豊かで実にいい。特に裏表紙のSDキャラが最高。


初めは結構長く続きそうな雰囲気だったんですが、三話目からお話は急展開。一気に終盤へともつれ込んでいきます。
そして明かされる衝撃の事実。いやはや、これは読めませんでしたね。言われてみると確かに、彼の言動にはちょっとした違和感があったような気がしないでもないです。あと付けですけど。
クロードとレミエルの恋愛も、もちろん期待していました。ただやっぱり、多少唐突すぎた感は否めません。1冊しかないですしね。しょうがないんですけど。どうせならもう少し恋愛の変遷や発展していく様子を見たかったかな。
まあこうやってスパッと決めてしまうのも、またレミエルらしいかなと思います。クロードはたぶんこれからずっと尻にしかれていくのでしょう。


1冊で終わってしまうのがもったいない外伝でした。話と話の間の冒険とか、今後の展開とかも気になるところですが、そこはもう想像で補うことにします。
次は完全新作とのこと。そちらも楽しみです。


本編読み返そうかな……。