まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

とある飛空士への誓約3

ストーリー
バルタザールとかぐらが卒業し、清顕たちは三回生へと進級。
模擬空戦や休日のお出かけを通して、清顕はイリアとの距離を少しずつ縮めていく。
しかしミオからは避けられてばかりで、ペアで臨んだ索敵訓練では清顕が被弾、負傷してしまい……。



えぐっ。えぐい。この展開はえぐすぎる……。
巻を通してひたすらミオをいじめ続けるお話になっていました。いやあ、ミオとイリアどちらの方が好きかといったら、イリアなんですけれども、さすがにこれはミオの方に入れ込んでしまいますね。
2巻があんなだったので、ミオにとって辛い物語になるだろうということは分かっていたつもりでしたが……はあ。


バルタ、かぐらは卒業。セシルはあまり登場せずで、今回は清顕とイリア、ミオとライナの4人がメイン。いわば、清顕とイリアが「表サイド」、ミオとライナが「裏サイド」というところでしょうか。
清顕やイリアはまさに光り輝く主人公コンビらしい活躍ぶり。飛空士としての技量も順調に伸びつつあって、将来の空戦への期待感もたっぷり。
まさかまさかの初デートまでこなしちゃって、もはやイリアルートまっしぐら状態です。
デートでもそうでしたが、清顕とイリアの間のやりとりはまた一段とやわらかくなりましたね。イリアの笑顔まで飛び出すようになったのには驚きました。イリアという女の子は、知れば知るほどどんどん可愛くなっていきますね。
共に学年トップの飛空士というだけあり、お似合いのカップルともいえますが、イリアが感じている「悪い予感」が気になるところ。


一方の裏サイド。暗躍するライナと、追い詰められていくミオのコンビ。一般的に見れば彼らはヒールなんでしょうけど、この作品においてはふたりもまた主人公です。
特に今巻におけるミオは清顕以上に主人公だったといっても過言ではないですね。残念ながら喜劇の主人公とはいきませんでしたが。
清顕とイリアの仲に嫉妬しながら、自分には嫉妬する権利もないのだと気持ちを抑え込む。感情を表に出さない。喋らない。近寄らない。ただただ任務をこなすだけ。
小さい頃に清顕と交わした約束。本当なら清顕の隣に立っているのはミオのはずだったのに。ああ、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。
清顕とのペア訓練で起こった事故。まあそれ自体はなんだ、相変わらず調子に乗った清顕はダメだなということくらいで別にいいんですが、その後がひどい! どうしてこんなにミオばっかりいじめるの!
あまりに生々しくて、この場面は読んでしばらく憂鬱でした。勘弁してもらいたいです。


にわかに巻き起こる戦い。平和な日常はあっという間に壊れていきます。
ギスギスした展開が続いたところでのバルタの活躍が嬉しかったです。やっぱり彼は作中でいちばんの癒し役だと思うんですよ。出てくるとホッとするんですよね。
表面上は何の気なく、自分でも知らず知らず、仲間たちのことを思っているところが可愛い。うん、バルタちゃんツンデレ可愛い。
それから格好良かったのがライナですね。最初から最後まで抜け目のない彼ですが、ライナはライナなりに、仲間たちを大切に思う気持ちがあると信じたい。みんなを朝焼けに誘ったことなどを考えると、きっとそうなんだろうと思います。
物語は大きく動き出しました。ひとつだった「エリアドールの七人」はバラバラになりつつあります。
敵味方に分かれた彼らが世界をどのように動かしていくのか。あの誓約はどのように果たされることとなるのか。今後の展開が大いに気になりますね。
個人的にはそろそろセシルにスポットライトが当たってほしいかなと思います。次巻も楽しみです。


バルタとセシルがくっつく可能性は……?