まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

とある飛空士への誓約4

ストーリー
清顕、イリア、ライナは、かぐらも所属するセントヴォルト海空軍最強の戦闘機部隊「ヴォルテック航空隊」に配属される。
荒くれものどもが集う部隊で、新たな仲間たちとの絆を育んでいく清顕たち。
そして“あの別れ”から一年後の夏、セントヴォルト海空軍は総力を結集して、ウラノス飛空要塞の攻略に挑む……。



前巻の衝撃から1年後。ミオ、バルタ、セシルがいなくなり、次第にばらばらになっていくかつての仲間たち。
それぞれのメンバーとしては(まあ、一部を除いて)着実に技術を磨き戦功を上げ、順調に進んでいるように見えるけれど、近いうちにまた大きな戦いが待っていることは明らかで、もう戻ってこない大切な時間を刻一刻と消費しているような、そんなピリピリとした不安感でいっぱいの巻でした。
だいぶ久しぶりのような気もする空戦や、清顕とイリアの淡い恋、そして驚きのラストなどもあり、色んな要素満載で楽しかったです。


学校を卒業し、最前線の精鋭部隊に配属された3人。いや、かぐらも入れたら4人ですか。
新しくできた仲間たちは、普段は下品で下世話でどうしようもない連中ばかりです。でもいざ戦場に出ると、才能に溢れた清顕やイリアからしても感嘆してしまうような操縦技術を見せるのが格好良い。
その仲間たちのおかげでお酒も覚えた清顕たち。酔っ払って清顕に甘えるイリアが可愛いです。このノリで一気に次のステップへ進んじゃうのかなとも思いましたが、そこで清顕に一歩を踏みとどまらせるのがミオの呪いっていうんだからもう。
本当にやり口がえぐいというかなんというか。これまで何度も思ってきましたが、間違いなく作者はドSですね。


そして、遂に始まってしまう戦い。これまでずっとしてやられてきたウラノスに一矢報いるということで自然と気分は盛り上がりますが、それと同時に、次は誰がいなくなってしまうんだろうという怖さに包まれて、嫌な感じがします。
空戦の描写はやっぱり凄いですね。時速何百キロの戦闘機が飛び交うスピード感。ひとつ間違えれば命を落とす緊張感。そして、巨大なウラノス飛空要塞とセントヴォルトの大艦隊とが真正面からぶつかり合う壮大さ。見事という他ありません。
手に汗握る戦闘にワクワクはするし、次々と戦果を上げていく清顕が格好良くも見えるけれど、やっぱり失ったものは大きすぎて、気分爽快とはいきません。
かの敵との対決もありました。清顕とイリアがこの域に到達するまで、どれほどの経験を積む必要があるのでしょうか。そしてそれまでに、どれだけの別れと接することになるのでしょうか。


壮絶な戦いを切り抜けたその直後、風雲急を告げる事態がやってきました。
いよいよ本格的に7人の道が分かたれようとしています。彼らの誓約が、今後どのような形で果たされることになるのか。心配事だらけではありますが、彼らの絆を信じて、次の展開に期待したいと思います。
それから、最後に大きな爆弾が登場しましたね。もうただただ狂喜乱舞しましたが、この人が出てきたということは……困ったなあ、楽しみが倍になっちゃったじゃないですか……。


バルタさんは安定の萌えキャラ街道まっしぐら。