クラシック音楽における多様性について

なぜ、私がクラシック音楽のレパートリーが狭い範囲の限られた名曲に限られていることを厳しく批判するかというと、そこに文化の多様性、価値観の多様性、美意識の多様性、感情の多様性の不足が生まれるからだ。例えば、モーツァルトブラームスなどばかり弾いていたピアニストに、ブラジルやインドネシアの曲が弾けるだろうか?これは単にテクニックの問題というより、感情の解釈の想像力の問題といった方が良いかもしれない。そこでレパートリーから欠落するということは、そういう多様性に出会う機会が失われ、大切な文化が気づかれないまま埋没するということなのだ。