2010-08-14
インフルエンサー評価のスタンダード〜Klout Scoreってなに?
HootSuiteでは、ツイート左のサムネイルをクリックすると、そのアカウントのプロフィールをチェックできる。
【図 HootSuiteでプロフィールをチェック】
フォロワー数、フォローイング数、更新回数の下に[Klout]という表示が確認できる。
Klout Scoreは、「オンラインでのインフルエンス力の計測指標 」だ。つまり、この数字が大きければオンライン上での「インフルエンス力」がより大きいアカウントであることを意味する。前稿「クチコミを味方につける企業、恐れる企業―インフルエンサーを探すことから始めよう」で紹介したとおり、バージンアメリカ航空がタイアップ・キャンペーンも展開している。この他にもcotweetを初め、450を超えるパートナーがKloutのAPIを活用している。
対象はtwitterアカウントに限定されるが、 現在、最も広く用いられているインフルエンス力の評価指標ではないだろうか? フォロワー数が多ければ、きっとKlout Scoreも大きくなるだろう。現在フォロワー数世界一のアカウントは、ブリトニー・スピアーズだ。その数は540万人を超える。Klout Scoreを調べると"80"とでた。
約50万人のフォロワーをもつ孫正義氏@masasonは"86"、フォロワー数は7万人のコカコーラ@cocacolaは"91"だ。当然だが、単純なフォロワー数から求められているものではないことが分かる。
【図 コカコーラのKlout Score】
では、どのような考えでスコアを求めているのだろうか?図にあるとおり、以下の(1)-(3)の3つの評価指標が元になっている。これらを求めるのに、25種類を超えるパラメータを活用しているらしい。ナビゲーションバーから"Score Analysis"というタグをクリックして遷移するページで、其々評価指標の主な中間値(各4種類)が確認できる。
(1)True Reach(フォロワーとの意味のある対話ができているか?)
・主なパラメータ
親密なフォロワー数
フォロワーの@リプライ率
これ以外に"リスト数"等の情報も使用している。
(2)Amplification Probability(バイラルが起きているか?)
・主なパラメータ
総ツイート数
@ツイート数(対話数)
リツイートされたメッセージ数
発信ツイート/受信ツイート
これ以外に"フォロワーのツイート数"等の情報も使用しいてる。
(3)Network Influence(影響力のあるフォロワーを擁しているか?)
・主なパラメータ
フォロワー数/フォロー数
フォロー返し率
ユニーク@ツイート者数
ユニークリツイート者数
これ以外に"フォロワーのインフルエンス力"等の情報も使用している。
その内容をまとめたものが以下の図だ。使用しているパラメータ名は部分的に紹介されているが、具体的な計算式は明示されていない。このため、計算結果と入力パラメータの正確な関係は裏付けられなかった。
前出の@cocacola,@masason,@BRITNEYPEARSの3つのアカウントで具体的な数値をみてみよう。
【図 @cocacola,@masason,@BRITNEYPEARSKlout Scoreの計算指標】
(1)True Reachでは、@cokacolaが唯一得点が付いている。これに対して@masasonと@BRITNEYPEARSは、"NA"だ。この差は「親密なフォロワー数」、「フォロワーの@リプライ率」、「フォロワーのリツイート率」にある。例えば「親密なフォロワー数」を見てみよう。解説文章から推測すると、以下のような関係は「親密なフォロワー」ではないと評価しているようだ。
・たくさんのフォロワーがいて、直接交流をしていない人同士
・共通のフォロワーが少ない人同士
つまり、同じフォロワー数でも、フォロワー集団の種類・属性によって、結果が大きく異なることになる。また@cocacolaのツイートを確認すると、ほぼ全てが対話ツイートだ。「フォロワーの@リプライ率」が高いのも頷ける。しかし、@BRITNEYPEARSも@masasonも、一方的なツイートだけでなく対話ツイートも結構ある。しかし、@cocacolaが冒頭に”@”から始まるツイートばかりであるのに対して、その他の2アカウントの対話ツイートは単純に"@"から始まる形式ではない。@BRITNEYPEARSでは「コメント+(from @XXXX)」や@masasonでは「コメント+"RT"+アカウント名」といった記述をしている。このため、対話ツイート(通常"@+アカウント名"から始まる)とみなされていないと思われる。このあたりを配慮するとここまで大きな差異は生じないように思われる。
(2)Amplification Probabiilityを見てみると、対話ツイート数の多さが効いているようだ。それ以外の項目は全て@BRITNEYPEARSが群を抜いているのに@cokacolaのほうが高スコアになっている。項目以外にも、@cokacolaのリツイート数/総ツイート数は実に6割を超える。この割合は、実質的に読者に価値あるツイートをより効果的に広めている指標にもなるだろう。
(3)Networkでは、フォロー返し率、ユニーク@ツイート者数で@cocacolaが圧倒的だ。
確かに、@cocacolaはフォロワー数とフォロー数が他の2アカウントに比べて拮抗している。フォロー返し率と記載したパラメータは英語表記は[follow back]だが、100%超える値も存在するので、単純な割合ではないようだ。また、ユニーク@ツイート者数、ユニークリツイート者数は、ネットワークの広がりを測るにはよいパラメータだ。
@cocacolaは積極的に、多くの人と対話しているアカウントだ。多忙な有名人が運営する他の2アカウントよりも組織的に、きめ細かく対応できている。高スコアになることは合理的だ。一方、明確な計算式が提示されていないため、検証してゆくと釈然としない部分も少なくない。いずれにせよ、評価軸の定義は効果測定指標の策定には参考になるのではないだろうか?また、KloutではInfluence Mtrixという、アカウントの性格を16種類の類型化も試みている。
・発言数が多い「参加型傾向」か少ない「傾聴型傾向」
・発信内容が「クリエイティブ型(独自の発言が多い)傾向」か「共有型(他の人の発言やURLが多い)傾向」
・交流が特定の人に「限定される傾向」か「幅広く漂流する傾向」
・発言内容が「厳格な言い回し」か「やわらかい言い回しか」
といった特徴により類型化している。
【図 Influence Matrix】
発信者やフォロワーのキャラクター(性格)により、多様なバリエーションが存在する。インフルエンス力は、単純な数値(スカラー)で一元的に評価できるものではなく、指向性をもつベクトル情報として考えるべきだ。
2010-07-23
クチコミを味方につける企業、恐れる企業〜インフルエンサーを探すことから始めよう
■ある大物ブロガーの変節
7/1"Symbian-Guru.com"というブログが終了した。
【図 symbian-Guru.com】
このブログは4年近くにわたりRicky Cadden氏が運営してきたものだ。自身シンビアン携帯端末のヘビーユーザであり、ブログのタイトル通り「シンビアンのグル」と呼ばれていた。携帯関係の記事を多く執筆しており、その発言に注目している読者も多い。ソーシャルメディアを通じて広くメッセージを伝搬(バイラル)させる力を持つインフルエンサーだ。
Ricku Cadden氏は、これまでシンビアンOSを採用するノキア社が提供する携帯端末が関心の対象であった。しかし、今はandroid携帯に移ってしまった。ブログでは、関心が変わった理由が「ノキア社とシンビアン社の取り組み姿勢に絶望したことである」旨を伝えている。これまで「好感の持てるバイラル」を生み出していた氏が、一気に「ブランドを否定する」バイラルを生み出すに至ってしまった。ノキアにとってもダメージが大きい。翌日には、ノキアのオフィシャルブログに副社長Anssi Vanjoki氏が、Ricky氏を初めとしたサポータに戻ってきてもらうように努力するとのコメントを掲載している。世界で最も多くの携帯電話を販売しているノキアも、一人のブロガーの行動に注意と敬意を払っている。厄介だけど、頼りになるインフルエンサーとどのような関係を保てばいいだろうか?
先ずは、対象となるインフルエンサーを見つけることが必要だ。
■インフルエンサーの見つけ方
あなたの関与する会社・商品のインフルエンサーはどうやって探せばいいだろうか?
有名な企業・ブランドであれば「シンビアンのグル」のような存在を探さなくても、メディアが取り上げてくれるだろう。今時有名でない企業でも、コストや時間をかけずに見つけるツールがネット上に溢れている。googleでもブログ検索が利用出来る。一例としてTopsy(http://topsy.com/)をインフルエンサーを見つける例を紹介しよう。
tospyでブランド名で検索する。すると、該当する内容を含むページのURLごとにツイッターでバイラルされた件数が表示される。
例えば、図はtopsyで当社のがslideshareで公開している資料「Socialmediaの今を一時間で理解する」のURLをツイッターでツイートした人々の一覧だ。
【図 Topsyによる「Socialmediaの今を一時間で理解する」ページをツイートした一覧】
どのような見解を持ちながらツイートされたのか一覧で把握できる。また中には"Highly Influential"というマークが付いている人がいる。この人のアカウントのフォローワーは10万人に迫るレベルだ。topsyのブログページには、"Highly Influential"と記したアカウントの定義について以下のような説明をしている。
Highly Influential:roughly the top 0.2% most influential of all Twitter users
Influential: tags appear for the top 0.5% most influential Twitter users
計算方法は、過去からのリツイートと文章の内容を参考にしているらしいが、明確な計算式は見当たらなかった。何れにせよ、彼が関心を持ちリツイートしてくれれば、大勢の人がこの資料を目にすることになるだろう。
■インフルエンサーを活用する企業
ヴァージンアメリカ航空は、インフルエンサーの伝搬力評価サービスを提供するKlout社(http://klout.com/)とタイアップキャンペーンを始めた。
【図 バージンアメリカ航空のインフルエンサー対象キャンペーン】
キャンペーンの内容は、
・新たに就航するトロント⇔サンフランシスコ間の飛行機代を無料にする。
・wi-fiも使い放題
・就航記念イベントへの招待
というものだ。更に、図にあるような快適な座席も用意される。
【図 キャンペーンで使用する機内の様子】
対象はツイッターアカウントを持ち、そのアカウントがKloutの評価するインフルエンサー伝搬力評価で一定のスコアをもっていることが求められる。キャンペーンサイトでは、基準は明確ではない。適性があるか評価するボタンを押すと、ツイッターアカウントでサインインすることを求められ、後に適性があればメールで連絡が来るとのことだ。スコアだけでなく、ツイート内容やプロフィールなどもチェックされるのだろう。Mashableの記事(http://mashable.com/2010/06/21/virgin-america-klout-influencers/)では、Klout Scoreが42の女性に招待状が着た例が紹介されている。彼女のフォロワー数は3千件、ツイート数は2万件を超える。試しに、Klout Scoreを求めてみると63となった。(Klout Scoreについては次回紹介する。)
【図 Klout Score】
無料の飛行機に乗ってインフルエンサーは何をすればいいのだろうか?何もしなくていいらしい。フライトの際にサンプル商品を手渡されるので、気が向いたらその商品について話してもらいたいということが、唯一のリクエストだ。あくまで要望であり、責務を求めるものでもない。キャンペーンページには「ツイートを買収するつもりはない」と明示までされている。
そうはいっても、インフルエンサーにとっては、タダで快適な旅行中に触れる特別な商品だ。好意的な発言をしてもらえれば企業にとっては、絶好的なプロモーションになるだろう。ネガティブな意見があっても、対象(インフルエンサー)が限定されているので、通常よりは迅速な対応が可能だろう。バイラルを生み出す確率を高めるには、効果的な手法だ。
2010-06-29
「リスク回避の第一歩。企業アカウント一覧を公開しよう〜NHKのツイッタ活用事例」
「ツイッターの企業アカウントでは、担当者は実名を公開すべき?」こういった問合せを受けることが多くなってきた。実名公開すると、
・企業の透明性を高める
・顔が見えることで対話する人に安心感を与える
・担当者が責任ある発言をする(発言の信頼性が増す)
といったメリットが期待でき、総じて公開するべきとの雰囲気を感じる。確かに、ソフトバンクの孫社長が匿名で発言しても、今ほどのインパクトはないだろう。経営者以外にも営業担当者や人事担当者など「面識のない人と知り合うことが大切な職種」の人々の実名をホームページで掲載する例を多く見かける。事前にその人の発言を読むことで、初対面とは思えない打ち解けた交流が可能になることもある。
反面、
・担当者が退職したり、変更になった場合に連続性が失われる
・担当者に任命されたため、不本意ながらプライバシーの公開を強制させられる。
といったネガティブな問題もある。実名・顔出しに抵抗がないと言われる米国でも、前稿「企業 Twitter アカウントの整理法〜 AT&T の取り組み」で紹介したAT&Tのツイッターアカウントは、カスタマーサポートのアカウントだけが実名。それ以外は「組織名」となっている。透明性で名高いzapposでも、実名顔出し社員ツイッターアカウントは62%だ。もちろん会社として強要もしていない。
上記の得失を配慮して、用途によって使い分けることが求められる。
経営者とともに、全員顔出し・実名の職業がある。アナウンサーだ。こちらでツイッターアカウントをもつアナウンサーのリストが確認できる。このような人材の宝庫であるテレビ局の運用方法を見てみよう。国内のテレビ局で最も積極的にツイッターを活用しているのはNHKだ。twinaviでテレビ局アカウントのフォロワー数ランキングでは、1位@NHK_PR、2位@NHK_onairとなっている。
【図 テレビ部門のツイッターアカウント一覧(twinavi)】
公式アカウントも実に25件に上る。
これらのアカウントのうち、アカウント名にも名前が含まれ、アナウンサーが実名でツイートしているのは、堀潤アナウンサーのアカウント@nhk_HORIJUNだけだ。タイムラインは大変フレンドリーだ。
「今週もおつかれさまでした。今日のネクタイ、ツートンカラーでかわいかったです。」といったツイートに、
「えへへ照。ありがとうございます♪(´ε` )!実は青も入ってたんですよー!」
などといったNHKらしくない、柔らかいやり取りもある。人柄も推し量れる楽しいアカウントだ。今年3月に開始したニュース番組「Bizスポ」とともに開設アカウントで、1日平均10件程度のツイートがなされている。フォロワー数は1,800人程度だ。スポーツニュース担当ということで、柔らかめのツイートが生活者にも受け入れやすいだろう。自己紹介には部署や担当番組がしっかり書き込まれている。
この他にも、道傳愛子解説委員の@nhk_asianvoicesも実名だ。自己紹介に番組「NHK WORLDの公式アカウント」との記載がある。主に英語で日本の代表的なニュースを不定期にツイートしている。この他のNHKのアナウンサーが実名アカウントを用意している例は確認できなかった。明確な方針のもと、局内で運用ルールが確立し、徹底されているのだと考えられる。一方、巧妙な切り返しで有名なNHK_PRは広報担当のアカウント。フォロワー数は6万人を超える。1人でツイートしているが実名は非公開だが、フォロワーは個性をはっきり読み取れる。実名でなくても、しっかり個性を発揮できる証明にもなっている。同様に、@nhk_roboconや@nhk_bizspoなどの番組公式アカウントでも、特定の番組スタッフ1名が「組織名」で積極的に視聴者との交流を試みている。第二、第三の@NHK_PRが着々と育っている。しっかりと実名アカウントと組織名アカウントを使い分けながら、ツイッターへの取り組みを深化させている。
民放局はどうだろう。多くの女子アナがツイッターアカウントを持っている。1万人近くフォロワーがあるアカウントも少なくない。TBSはNHKに続いて積極的にツイッターに取り組んでいる放送局だ。全国ネットの民放局の中では、唯一公式アカウント一覧も掲載している。しかし表中、アナウンサーのアカウントは掲載されていない。
実際にはTBSのアナウンサーのアカウントは多数存在する。アカウントの自己紹介では、実名・顔出しは一貫しているが、アナウンサーによってTBSとの関係をプロフィールに記載していたり、いなかったりする。特に明確なルールは設定されていないようだ。図は竹内香苗アナウンサーのものだが、自己紹介の記述がない。
ツイート内容を読めば、テレビ番組や仕事のことを数多く発言されている。読者は本人のアカウントと判別できるので問題ないのかもしれない。しかし、今後なりすましアカウントが発生した場合、読者の錯誤を招くこともあるだろう。いわれのない風評被害を受けるリスクも考えられる。
社員が私的にソーシャルメディアに参加することを企業が妨げることは出来ない。しかし、いかに私的とはいえ、会社自身、取引先、会社が提供する製品(サービス)に関係することを社員の立場で発言する場合には、一定のルールを設け社員を教育することが、企業や製品(サービス)のブランド、そして社員自身を守るために大切である。同時に、世間一般に対して、企業の社員への指導方針や利用目的を表明し、アカウントの一覧を公開することで、なりすましアカウントに対する錯誤を抑制できる。
2010-06-23
企業twitterアカウントの整理法〜AT&Tの取り組み
internet.com, 事例 |
twinaviに登録されているtwinavi公認企業アカウントは3,500件を超える。今回は企業アカウントについて考えてみたい。例えば、twitterの活用成功例としてよく取り上げられる「豚組は、@butagumiと@hitoshiの2つのtwitterアカウントを使っている。オーナーの中村仁社長によると@butagumiは「表玄関」@hitoshiは「勝手口」と区別しているとのこと。なるほど、タイムラインを見ると@butagumiでは予約の確認、お礼のツイートが流れている。一方、@hitoshiでは、個人的なツイートやお知り合い達との対話が繰り広げられている。@butagumiに比べて、フランクなツートが多いように感じる。
たったひとりで2つのアカウントを活用する豚組と対照的なのが、米国家電量販店ベストバイだ。顧客対話用の@twelpforceは2,100人でひとつのアカウントを運用している。「ベストバイの Twitter 活用術〜従業員2,100人が、たった1つのアカウントで生活者と対話する」に当アカウントの詳細説明があるので参考にされたい。これ以外の公式アカウントとしては、@bestbuyがある。アカウントの使われ方をチェックすると、@twelpforceでは対話ツイートが大部分を占めるのに対して、@bestbuyでは"RT(リツイート)"が殆だ。主として対話用には@twelpforce、情報配信用には@bestbuyと使い方がなされている。利用者からすると、対話用は@twelpforce一つと分かっていれば、迷うこともなく疑問を投げかけることができるだろう。製品の情報が知りたい人は迷うことなく@bestbuyをフォローするだろう。
逆にアカウントを細分化する企業も有る。米国の通信キャリア大手AT&Tはホームページ内に、ソーシャルメディアのアカウント一覧ページを用意している。
インタフェースの内訳は、
・facebook FanPage:5件
・Flickr グループページ:3件
・youtubeチャネル:4件
・ブログサイト:4件
ATTのソーシャルメディア活用の特徴としては、ツイッターアカウントとFacebookファンページやブログを連携させて運用していることがあげられる。タイムラインを通り過ぎて消失するフロー型のツイッターに対して、ブログなどの蓄積型のメディアを組み合わせることで、届けたい人にリーチできる環境を用意している。広報アカウント@shareATTでは、Facebook、youtube、Flickrに同じ名前の企業ページを用意している。
アクティブなtwitterアカウント10件についてtwanalyst.comで分析してみた。
・事業分野による分類
@ATTNews:全社のニュース配信
@SmallBizInSite スモールビジネス向け情報提供
@ATTNewsと@ATTdealsは、ATTのPRアカウントになっている。ATTホームページへの誘導リンクが必ず含まれている。対話は一切ない。
一方、@BizSolutionsと@SmallBizInSiteの2つのアカウントは、他メディアを含めた関連ニュースや自社セミナーの案内などをリンクとリツイートで配信している。
・業務分野による分類
@ShareATT:広報
@ATTJOBS:採用
広報アカウント@ShareATTの「自己紹介」には、
Official Twitter source for AT&T announcements, product updates, sponsorship news & more.
とある。実際のツイートを見てみると、カスタマーサポート(@ATTCustomerCare)への誘導ツイートが相当数に上る。特に、カスタマーサポートアカウントへの告知媒体としての役割も担っているようだ。
カスタマーサポート(@ATTCustomerCare)では、Molly氏が「実名・顔見せ」で応対にあたる。「実名・顔みせ」は彼女だけではない。アカウントで公開されているリスト@ATTCustomerCare/teamには、19名のカスタマーサポートメンバーの個人アカウントも掲載されている。
【図】リスト@ATTCustomerCare/teamのメンバー
アカウント名の先頭には[ATT}で実名が後に続くというネーミングルールも統一されている。ツイートの中身をみてみると
「Can I help you with something? I'm with AT&T, please DM me if you need assistance.」といった内容が多数確認できる。「困っている人を積極的に探して、サポートする」ことに利用しているアカウントだ。また、全てのメンバーがDMでのやり取りに誘導しているので、運用ルールも浸透しているようだ。もちろん、プライベートな内容は一切ない。仕事にのみ使っている。
・独立ブランド、イベントによる分類
@ATTGolf:「Masters」,「AT&T Pebble Beach National Pro-Am」,「 AT&T National」の3大会のハイライトをツイート。ゴルフ大会が開催されている時期のみの利用。
@buzzdotcom:ATTの運営するコミュニティサイトのアカウント
@YPmobileでは、レストラン等を探している人を見つけては、勝手に付近のレストランを紹介している。もちろん、YPmoblieの該当レストランのURLも挿入している。いわゆる「アクティブサポート」を実践している。
このように、ATTのアカウントは、それぞれ目的・運営ポリシーが、はっきりしている。しかし、当初から一貫性のあるアカウント運営をしていたわけではない。最初に作成したアカウントは、@SmallBizInSite。すでに2年半が経過する。おそらく現場部門が自発的に運営を開始したのだろう。それから徐々に他の事業分野の配信系アカウントの運用が開始されている。機微な対話スキルが、組織的に求められるカスタマーサポートへの導入は昨年の8月だ。時間をかけながら対応可能なチームを育成してきた様子が伺える。
企業アカウントの利用者はあくまで顧客や生活者である。彼らへのリーチが目的であれば、彼らの立場に立って考えなければならない。ブランドが確立した商品・サービスがあれば、専用のアカウントを用意したほうが、生活者はコンタクトしやすいだろう。一方問い合わせは、アカウントを一本化した方が生活者が迷うこともなくなるだろう。対応の効率性等を思慮すると、運用側の都合(企業側の論理)を優先したくなるが、生活者目線を忘れないよう注意したい。
2010-06-08
広がるオープンガバメント〜総務大臣原口氏、農水省官僚原田氏のアプローチ
政府は、オープンガバメントを推進している。オープンガバメントとは「インターネットの双方向性等を活用することで、積極的な政府情報の公開や、行政への市民参加を促進する」ことを指す。インタフェース一覧も用意されている。経済産業省主催で、期間限定で国民の意見を募集するアイディアボックスや内閣府の用意した「ハトミミ.com」などここ1年間で様々な試みが始まっている。twitterアカウントも5件(うち一つはハッシュタグ)紹介されている。フォロワー数がもっとも多いのは、総務省消防庁が4/26に開始した「災害情報タイムライン(@FDMA_JAPAN)」だ。17,000人を超えるフォロワーを抱える。タイトルの通り「大規模災害時(日本国内における震度5強以上の地震発生時等)に被害情報を発信」するアカウントだ。フォロー数0の情報発信専門ツイートだ。原口総務大臣が3月2日に津波情報をツイートしたことで物議を醸したが、トップダウンの成果だろう。倣ってオフィシャルアカウントを用意した形だ。「認証済みアカウント」のマークも付いている。
twitterガイドラインも用意してある。日本の官庁でガイドライン公開している例は、私が知る限り初めてだ。
この他にも、「透明性を志向する政府〜日本:原口総務大臣が Ustream 会見を敢行! 米国:オバマ政権がソーシャルメディア・ポリシーをリリース!」で紹介した通り、原口大臣自らが率先垂範してyoutubeやustreamを活用して情報配信を積極的にすすめている。
「お役所仕事」は「融通が利かない杓子定規な仕事ぶり」を比喩する言葉だ。役人さんには自発的に業務を変えてゆくことなど出来ないのだろうか?そんなことはない。凄いアカウントを紹介しよう。
農水省官僚のアカウントだ。ご本人も仕事として取り組んでいると述べておられ、実名で活動されているので紹介したい。原田英男氏(@hideoharada)だ。
自己紹介には「職場は霞が関で畜産関係です。仕事の話はクビにならない程度につぶやきます。」とある。20-50件/日のペースでツイートを続けている。こちらは、フォロワー数は約4,800人。流行が明らかになった4/20以来、口蹄疫の情報をいち早く、正確にツイートされている。ツイート内容と農水省のホームページの更新情報は連動しており、発言の信頼性は高い。ツイートを読めば、悲惨な被害状況とともに、関係者の方々がゴールデンウイークも土日もなく、口蹄疫の対応に取り組んでいる様子がよくわかる。情報の拠り所にしている読者も少なくない。ツイート内容は、被害状況の報告や農水省の対応状況だでなく、海外の対応事例の紹介、口蹄疫の感染力、農家への気遣いなど広範に及ぶ。質問にも丁寧にリプライされている。twitterを活用して口蹄疫の情報を配信する狙いの一つに「事実関係を迅速に伝えて、風評被害を防止する」ことがある。実際に風評に動揺する人をたしなめる場面もある。相当の時間をさかないとこのような対応はできない。当然、口蹄疫に関する「獣医学的な知識」「法律的な知識」「過去の経験」など広く、深い知識がなければ、迅速かつ柔軟な対応は不可能だ。
しかし、このアカウントはあくまで個人のもの。農水省の公式アカウントではない。「オフィシャルアカウントは提案しているのですがすぐには無理のようです。」といった氏のツイートも有る。組織に提案をしているが、実現はできていないようだ。そのため、氏のプライベートなツイートも混在している。趣味・趣向や日常生活の内容も少なくない。とても人間味あふれるタイムラインになっている。これを読んだ読者から「農水省って、口蹄疫で大変なときでも、映画を見たり本を読んだり、音楽鑑賞する時間はあるんですね。」と厭味なツイートを投げかけると「そうですね。ご飯も食べますよ。」と応対している。精一杯業務をされているという自負も伺える。
氏は、「口蹄疫の情報」を発信するスタンス(ポリシー)を以下のように説明している。
・私のアカウントは農水省の公式ではありません。可愛いiPhoneを相棒に個人的見解をツイートします。
・農水省の公表情報や事実関係もツイートします。
・質問には即答できないものもあります。
質問に即答できなもの:そもそも私に知識がない、事実の確認に時間がかかる、本来業務で手が離せない場合などです。最も困るのは「こう言う話は本当か」で、内容が複雑なものほど私の説明能力を超えてます。私が把握できる事実関係はお知らせしますが、限界も。「ちょっと待て、そのRT、自信ある?」
・私の口蹄疫ツイートは事実関係は農水省HPアップ後にしてますが、質問への回答は適宜してるし。私はこれも仕事と思ってます。
・職務専念義務については、マスコミや消費者、生産者からの問い合わせに対する対応と同じと割り切ってます。が、管理側が割り切らないで首切るかもw。
・どうなるか分からんけど、守秘義務以外は余り気にしてない。生産者や消費者とこういう形で繋がることは、自分の仕事と思ってます。わたしは浜ちゃん?
組織からの指示でなく、信念を持って自発的に業務に取り組む姿勢、国民にしっかり向き合う姿勢には拍手を送りたい。「お役所仕事」という言葉の意味が変わる日も近いと期待したい。



















