透明性を志向する政府〜日本:原口総務大臣が Ustream 会見を敢行! 米国:オバマ政権がソーシャルメディア・ポリシーをリリース!

4/9、原口一博総務大臣(http://www.haraguti.com/)は、Ustreamで会見した。これまでは、テレビや新聞のニュースを通じて知るしかできない大臣の会見だ。画期的だ。しかもリアルタイムに意見・質問もできる。その内容は、大臣にも視聴者にも画面上で共有される。会見では、郵政民営化や地域自治体をテーマに話をされたようだ。事前の告知は、約2時間前、大臣のツイッターアカウントからの図のツイートだけだった。

【図】Ustream会見の案内
ツイートにもあるように「テスト」であったので大々的な事前告知はなされなかったようだ。それにも関わらず1,200人もの人が会見を視聴したということだ。因みに、原口総務大臣ツイッターアカウント(http://twitter.com/kharaguchi)のフォロワー数は84,000人(2010/4/13現在)。ツイートを見逃した私は、残念ながらその歴史的配信を確認できなかった。後日のニュース記事でしか、その内容を知ることはできない。残念だ。残念なのは、私だけではない。総務省の広報室も同じ状況のようだ。事前の連絡は一切なかった。このため、国民から映像の発言を聞かれても答えることはおろか、発言があったかどうかを確認することすらできない。きっと担当者は今頃、大臣のアカウントをフォローして、タイムラインをこまめにチェックすることが業務に組み入れらたことだろう。大臣は、3月にも独断で「津波情報」をツイッターで配信して物議を醸した。「国民に大切な情報はなるべく早く伝えたい」「マスコミのフィルターなしに国民に意見を伝えたい」ということが大臣の思いだ。ソーシャルメディアの特徴として良く使われる「リアルタイム」と「透明性」だ。国民側からみても、政治を身近に感じることができたり、政治に参加する手段にもなる。管轄の総務省は、youtubeに「総務省チャネル」も開設している。

【図】総務省のチャンネル(youtube)
原口大臣や総務省以外でも、政府インターネットテレビ(http://nettv.gov-online.go.jp/)や衆議院審議中継(http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php)、参議院審議中継(http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php)など、政治活動を動画で配信するインターネット上のメディアは、ここ1〜2年で随分充実してきた。
ツイッターと政治(http://politter.com/)をチェックすると、4/13現在で登録されているツイッター議員(ツイッターを使用している政治家)は438人。2/2に「事件は現場でおきる〜キーマンは「コミュニティ・マネージャ」(http://japan.internet.com/column/webtech/20100202/8.html)」の稿で紹介したときは242人であったので、2ヶ月少々で、実に200人も増えている。すさまじい勢いだ。反面、テレビの政治討論番組での不用意な発言をしたり、ツイッターでも失言を発して、炎上を引き起こした政治家も少なくない。
政治活動にソーシャルメディアの活用が定着・拡大しつつあるなか、それを効果的に利用するため、また、国民・関係者が安心して交流できるためには、運用ルールを整備することが必要だ。

先週、米国政府に動きがあった。
4/7、ホワイトハウスは、ソーシャルメディア・ガイダンス(http://www.whitehouse.gov/omb/assets/inforeg/SocialMediaGuidance_04072010.pdf)をリリースした。部分的な内容だがソーシャルメディアに取り組む際の政府の方針(ソーシャルメディア・ポリシー)を表明した文書だ。

【図】ホワイトハウスソーシャルメディア・ガイダンス
本書は、OMB(アメリカの行政管理予算局。連邦政府予算の作成と管理,財政政策の立案,予算遂行上の諸調整などで大統領・各省庁に助言・勧告)が、政府関係者や監督官庁に向けたメモ」という形式で作成された資料には、ソーシャルメディアに政府関係者が関わる際のガイドラインを規定している。
冒頭では、大統領が就任時に「政府の透明性、国民が参加・協調できるシステム」を確立するメモを作成したことを紹介している。その志向に沿って、従来の条例で定められている「政府関係者・政府機関がソーシャルメディアを使用する前の承認手続き」を簡素化・廃止する条件等が記載されている。本件に関する掲示板サイトを読めば、「過去の法律を現在の技術に適用した場合の矛盾点を解消しているに過ぎない」という意見もある。しかし、この資料によって、実務担当者の裁量範囲が明確になる部分が広がる。部分的にせよ、ルールを策定してゆくことで、萎縮せずにソーシャルメディアに取り組める。