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2015-02-06 如月恭介先生の 優しい悪魔 読書感想文

如月恭介先生の 優しい悪魔 読書感想文

| 15:21 | 如月恭介先生の 優しい悪魔 読書感想文を含むブックマーク 如月恭介先生の 優しい悪魔 読書感想文のブックマークコメント

優しい悪魔

優しい悪魔

終盤、何ページにも渡って、文字が涙でかすみ続けた。

この物語は、ある種、神話の形をとっているが、完全に現代社会メタファーとして成立している。

しかし、純粋神話としても、もちろん成立している。

それどころか、オカルト政治ドラマSFとしても、成立するそういう構造になっている。

序盤は、X-Fileみたいな感じなのかなという印象で、MMRキバヤシ想像しながら読んでいた。

しかし段々と、そのイメージはそこに留まれない。

作中において神話の神々の形をとっている者たちが、あまりにも人間なのだ

そこで読者は気がついていく。

これは、実は現代政治経済帰結していく可能性のある、ある種の完全な格差社会の風刺なのではないか、と。


そうであるならばそこでは、

欲深く、能力の秀でた「神」とは、実は世界中の富を独占するエリート富裕層を指す。

人類と、彼ら超富裕層(神)とでは、もはや接する事のできるテクノロジーにさえ格差が生まれている。

現代においても、超富裕層ゲーテッドコミュニティ(作中で言えば、アガルタと言える)を形成し、彼らだけの閉鎖された街を作り、独自行政を作り始めている。

考えてみれば、原爆を生み出したのは某ユダヤ人科学者であり、経済を支配して各国の政府をコントロールしているのはユダヤロビーであり、

彼らは現に、彼らの国(現実ではエルサレム)を取り戻そうと戦争火種を自ら作っていく。

自分たち土地を地上にもはや持たぬ彼らは、作中においてシェルターのような地底都市に暮らす神々として風刺されているのではないか。

そしてまた、作中で重要なのは、神々の世界現実世界においてはゲーテッドコミュニティ)内においても、階層社会存在するということだ。

神々の中にも、格差があり、その最底辺酷使され、上層へと不満を鬱積させる。

その不満故に、神々は自分たちの地上の王国を再建し、神々の最下層階級よりもさらに下の人類を、奴隷として使役することで不満を取り除かねばならないのだ。

作中において、「悪魔」は、その超絶な階層社会自分から降りて、身分を捨てて人類の側に立った者たちを指している。

そして物語は、欲深いエリート達(神々)と現代社会との二項対立へと駆動されていく。

彼らが自分たちの選ばれし奴隷組織するために作り上げた教団。そして、人類でありながらも、どこかで傲慢さを持ってしまう人々。

神々でありながら、それを捨てて人間になるもの人間でありながらも、どこかで本当の神性を秘めたもの

それらが複雑にもつれあい、絡み合いながら、誰も想像もしたことがないような風景が、作中に広がっていく。

最後には、涙が待っている。

題名真意が、そこで示される。

そしてウィスキーを飲むと不老不死になれるかもしれない気がした。

如月恭介先生の、美しく火花を散らす果てしない想像力がけたたましく噴火している。

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