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2016-01-31 読書感想文:芥生夢子先生「四季」

読書感想文:芥生夢子先生「四季」

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四季

四季

廃墟のようなビルから廃墟ににた空洞を抱える少女飛び降りる。

誰の重い通りにもならないその少女に、”僕”は翻弄されながらお互いにすべてを失っていく。


"「別に私は不幸じゃないわ。ただなにもないだけよ」"


幸せになることを願い続けていたようには、見えない。

だが、少女は夢見ていたものが叶ってしまう事を軽やかに回避せざるを得ない。


そうである理由が分からないまま”僕”は少女を失う。そしてそのことの意味に囚われたまま

それまでと同じ"廃墟ににた空洞"のような日常に生きざるをえない。


だが本当の結末は、そうではない。

それらは”僕”の見た妄想にすぎない。


”僕”は何かに苛立ち、そして少女自由を束縛しようと試みた。

その結果、少女は失われた。

彼が少女を、埋めたのだった。


著者が描き出しているのは少女ではない。

その存在は徹底的に説得力を奪われている。

だがそれだけに一層、

翻弄され、自分勝手自己慰撫の妄想を作り出して出られなくなってしまった”僕”の輪郭はくっきりとしたリアリティを与えられ

物語の本当の姿を読者に伝えているように思った。