〈新憲法は、敗戦日本の希望の星だった!〉

1946年(昭和二十一年)私が満州からよれよれになって引き揚げてきた年の11月3日、新憲法が公布され、翌47年の5月3日にそれが発布されました。子供(小5)ながら、それは戦争から開放された大人たちの、ようやっと、という安堵のこもった喜びのため息が聞こえるようであり、つくづく馬鹿なことをしたものよ、という後悔と、そしてこれからは、もうあんな悲惨な戦争は決してしないぞ、という決意のようなものが聞こえてくるように感じたものです。その後中学校でも高校でも、先生達は顔を高潮させて、この新しい憲法が、主権在民や国民の平等と共に、なかんずく平和主義の思想が、世界に誇る最先端のいかにすばらしい憲法か、ということを繰り返し教えてくれました。実際、その後60年というもの、世界のどこかで絶えず戦争が繰り返されてきた中で、私たちが戦争を免れてきたのは、この憲法のお蔭だとずっと有難く思ってきました。改めて、日本の誇りだと思います。今それが忘れ去られそうで、この大切な私たちの憲法が、なんだか危うくなってきたような感じがするのは、とても寂しく、いやそれどころか恐ろしい気がしてきます。
 60年経ったって、忘れやしない、あの戦争の悲惨さは。誰がいったい戦争で幸せになれるのか!という悔しさは。馬鹿なことを繰り返すのだけはやめよう、若者や、子供達にあの愚かさを二度と味わわせてはならない。